保守の源流を訪ねて

いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜

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西部さんの言葉は本当に晦渋だが、今時こんな人が一人ぐらいいてもよろしいか。

平和という言葉は「戦争が“ない”状態」、幸福という言葉は不幸で“ない”状態」、そうその通り、何故ならそうで“ない”状態の方が太古の昔から世界の常識であったのだから。そういったある種の諦念もなく、「世界市民」などと言って戦後60年踊らされてきた。

海外危険情報を「安全情報」などと言ってしゃあしゃあと報道して回るNHKワールド、「子ども」(このスペルに要注意)は絶対悪いことしないと言って甘やかしてきた先生方、看護婦というきれいな言葉を一瞬にして捨て去り看護士(師?)などと言わせるマスコミ。一体日本人の言語感覚はどこに行ってしまったのだろう。

大江健三郎のようなちゃめちゃな言語感覚には辟易するが、この想像力の欠如からは今や万葉集など生まれることないのだろう。

瓜食めば子ども思ほゆ、栗食めばまして偲はゆ、いづくより来りしものぞ、眼交(まなかひ)にもとなかかりて、安寐(やすい)し寝(な)さぬ

◆【保守再考】西部邁(40)「平和利用」−けじめなき言葉

 人間は言葉の動物だ。だからかえって、人間は自分の言葉によって訛(あやま)り、他人の言葉によって誑(たぶらか)される。その好例が「平和」という言葉であることについて、平和列島の住民も少しは気づいているのではないか。

 平和という言葉は「戦争が“ない”状態」をしか意味しえない。つまりそれは消極的な意味の言葉にすぎない。平和を維持するには、また平和のなかで生じる国民精神の退廃を克服するには、どうすればよいのかという積極策は、平和という言葉をどれほど呉(かまびす)しく叫んでも、何一つ打ち出されない。

 平和という言葉に積極的な意味が宿っていると思うのは、訛言(かげん)であり誑妄(きょうもう)であり、呉しい誤解である。そうとわかれば、核エネルギーの「平和利用」という世界中に流布されてしまっている言葉についても、疑念を差し向けざるをえない。つまり、原子力発電で(家庭や企業に)電力を送ることだけを核の平和利用とよぶことから、核武装にたいする訛りと誑しの言説が広められているのではないかということだ。
                  ◇
 平和の対語は「戦争」なのであるから、平和利用を原発に限ると、核武装はそのエネルギーの「戦争利用」に当たる、という語感を(曖昧なものにせよ)世人は抱くであろう。そして彼らは、核の戦争利用と聞けば、そんな危険かつ野蛮な所業に手を染めるのは桑原、桑原、と尻込みしはじめる。

 しかし核武装こそは、少なくともそれを正当とする理念からすれば、核の平和利用の最たるものなのである。なぜといって核武装は、「(自国の)核兵器による(他国からの)核攻撃の抑止」のためのもの、より広くいえば「核による大戦争の制止」のためのものだからである。戦争が抑止されている状態、それが平和にほかならない以上、核武装には核の「最高の平和利用」との形容がふさわしい。
                  ◇
 私がかつてある国立大学の社会科学科に所属していたときに実際に起こったことだが、「戦争研究」という講座を新設することに大半の教官が反対した。彼らは「平和研究」という講座名ならば何の文句もいわなかったであろう。「平和のない状態が戦争である」という当たり前のことが、社会研究にたずさわっている者にすら通じないのである。言葉の(教化力ならぬ)“誑訛力”は凄いものだと認めざるを得ない。

 たとえ核の戦争利用といったとて、注意深い者なら、その戦争は侵略なのか自衛なのか、自衛だとしてもその戦争利用は予防的先制としてなのか(核攻撃を受けたのちの)報復としてなのか、について分類をほどこすであろう。その分類図のどこに位置するかによって戦争利用の意味が異なってくる。

 言葉において訛ったり誑されたりするのを避けるには、言葉の「けじめ」(仕分け)が必要だ。けじめなき言葉はムードでまぶされ、ムードだらけの言葉は表現を幼稚にする。政治から文化に至るまでの現代の多弁症は、けじめなきがゆえに、失語症も同然である。
(にしべ・すすむ=評論家、秀明大学学頭)
 訛言=誤った風評▽誑妄=でたらめ
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朝日19百万、NHK18百万、岩波2千万、日テレ21百万(部長レベル)は業界の常識だから金額には驚かないが、朝日を筆頭とするマスコミの欺瞞には本当に腹が立つ。

女にのぼせ上がった大阪大教授のお陰で、ご老体の身、お気の毒にも経済財政諮問会議議長に祭り上げられた香西泰さんが、かつて「Globalization」について日経に書いた、

「グローバル化=貧富の格差拡大という議論には、先進国の知識人の傲慢さが投影されている。途上国に同情しているようでいて、実は自分たちが追いつかれるはずはない、恵まれなかった国の能力は低い、との暗黙の前提がある」との言葉を思い出した。

途上国=一般大衆と読み替えれば納得できるというものだ。


◆【断】お粗末な情報公開のおかげで

 すげえなあ、勝ち組丸出しだよなあ、年収1900万円。さすが「ジャーナリスト宣言。」だなあ。あ、このコピー、もう使わなくなったんだっけ?

 サラリーマンの平均年収が確か、500万円台半ば。統計だから割り引くにしても、ざっと人並みの3倍以上稼いでいて、それでも都内に買ったマンションは他人に貸してローン返済にあてて、家族は公団住まい、自分は支局勤務だから地元で単身赴任なんでしょうか、とにかくそうやって生活防衛の手練手管だけはこざかしくやらかしてることに至るまで天下に情報公開されちまったんですから、そりゃもう、世間の耳目は否が応でも集まらざるを得ない、ってなもんで。

 朝日新聞社の某支局長の個人情報大公開、自ら望んでやった…のなら男前ですが、そんなわけはなくて、例のWinnyというファイル交換ソフトを介してウイルス感染、うっかりとネット上にばらまかれてしまった、というお粗末です。

 朝日に限らず、また新聞だけでなく、テレビなども含めて、それらマスコミが異様な高給ふんだくってるらしいことは、もうすでにみんなご存じ。とはいえ、こう具体的に知らされるといろいろ御利益もあるわけで。まず何より、「格差社会」を憂い、平和憲法を擁護し、弱者の権利を主張する、そんなマスコミの能書きも、ああ、結局そういう勝ち組の太平楽ね、という視線がどんどん当たり前になってゆきます。

 ですから、これからは記者の署名のうしろに(年収○○○○万円)と添え書きしていただけないでしょうか。それこそが何よりのメディアリテラシー教育。あなたがたが日頃憂慮されているわれら国民の民度ってやつも、もっともっと高まると思いますよ。(民俗学者・大月隆寛)

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中国人のメンツ

香港ディズニーランドでの醜態と言い、反日の馬鹿騒ぎと言い、2005年はChinaに対し世界の厳しい目が注がれた年だった。昨年、胡錦涛がアフリカ・インド・パキスタンを回り幾ら金をばらまこうと、首相が地方を回り農民とどれだけ酒を酌み交わそうと、この「刷り込み」は簡単に消えるものではない。

「整列の日」など決められる国民、それこそ「中国人のメンツ」では許されないのではないか。「罪悪感のない市民」「愛される上海人」(?)、こういった民族が世界をアリのごとく徘徊し、昨年出国者は3千万人を超えたという。

最近は当地シンガポールでも日常茶飯事で、スタッフとオフィス街をちょっと歩くと群れをなして大騒ぎしている集団があり、スタッフ(Singaporean Chinese)も「China People」(Chineseとは言わない)と煙たそうに言う。ああ、おぞましい。

翻って考えるとシンガポールの厳しい罰則もこれ(愚民政策)から来ているのでは無いか。然しこの国はこれを40年以上かけて築き上げてきたのだ。China当局が如何に大騒ぎしても二年やそこらで変わるわけがない。

それにしてもビジネスアイのこの記者、仲々筆が冴えている。

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中国人はたん吐き、割り込みが常識? 北京五輪に向けマナー向上に躍起
FujiSankei Business i. 2007/2/20

■毎月11日を「整列乗車の日」に/「文明的市民」を世界にアピール

 2008年8月の「北京五輪」開催まで1年半を切った中国が、対外イメージ改善をめざす市民のマナー向上に躍起になっている。外国人に評判の悪い中国人の日常的な割り込み行為や往来でのたん吐き、ごみのポイ捨て、汚い言葉での罵りあいなどの追放運動で、ボランティア動員などによる街頭キャンペーンを繰り広げている。18日に旧暦新年を迎えた北京市では五輪成功に向け、今年を「決戦の年」と位置づけ、「文明的市民」意識の普及を急いでいる。(長谷部高史)

 北京五輪に加え10年の上海万博と国際行事が続く中国だが、五輪に向け中国政府は「迎奥運、講文明、樹新風」(五輪を控えて、新しい文化を語り、新風を起こそう)とのスローガンでマナー意識向上に動いている。

 北京市は2月から毎月11日を「整列の日」(中国語で自覚俳隊日)と定め、電車やバスの乗り降りなど、整列乗車を呼びかけた。市内の繁華街で行われたキャンペーンでは、五輪関係者らが「首都北京の一員として自覚し、礼儀正しく整列しよう」と訴え、ボランティアなど数十万人が参加した。ただ、監視員がいないと割り込みがすぐ起きるため、「整列の定着には半年はかかる」と市当局者はなげいている。

 中国では公共交通機関やファストフード店舗などで、列に並ぶ習慣があまりなく、早い者勝ちが普通だった。「11」が人が並んでいるように見えるからという理由で決まった「毎月11日の整列の日」だが、今後も毎月11日にはマナー指導を徹底することにしている。

 外国人観光客やビジネスマンに不評の中国人の交通ルール無視、ごみのポイ捨て、たん吐きなどの行為で、北京市の首都精神文明建設委員会の張慧光主任は、「信号無視や手鼻、たんを所かまわず吐くのは見苦しいことで、ティッシュなどにくるんでごみ箱へ」と呼びかけている。習慣になっており罪悪感のない市民に、噛んで含めるようにマナーを説いている。

 一方で北京市は、都市管理条例でたん吐きなどの行為に最高50元(約750円)の罰金を科すなど処罰もする。罰金はさほど高くないが、「中国人はメンツを気にするので(罰金が安くても)効果はある」(張主任)という。中国人の心理をつかんで国家のメンツを保つよう配慮した形だ。

 10年に万博を控える上海では、タクシーの運転手ににたん吐き用の袋を常備させる方針を当局が打ち出した。しかし、地元紙は「(車外にたんやつばを吐かないと)車内に悪臭が充満する」などという反論を掲載。賛否両論が渦巻いている。

 また、上海市政府は市民のマナー向上を目的に進めている「上海市民公共行為条例」で、他人を罵ることを禁止する条文が加える。新華社電によると、この条例についてのインターネット上の意識調査で、63・31%の上海人が反対していると伝え、82%の市民が条例が施行されても効果はあがらない予想していることが分かった。中国におけるマナー向上は、一筋縄ではいきそうもない。

 また上海市では、昨年から「愛される上海人になろう」とのスローガンも掲げ、小学校でマナー講座も始め、“大人がダメなら子供から”との戦略もとり始めている。

 中国人のマナー問題は05年の香港ディズニーランド開業で、中国人入場者の傍若無人ぶりが「非文明的」として世界中に伝わった。しかし、マナー向上を政府主導で取り組まなければならない点が中国人の現実を表しているといえ、悪習改善の前途は多難のようだ。

箸の使い方

Koreanは鉄の箸、足を組んで箸とスプーンを一緒に持ち、交互にスープをすすったり、飯を食べたりしている。行儀が悪いなと思ったものだ。Chineseの箸は一般にプラスチック、食べ物で指が汚れるのではと重いくらい箸の根本に近づけて食べている。いつも汚いなと思う。

かく言う私も箸の使い方は本当に下手くそで長じてからいつもコンプレックス。中指が箸の間に上手く挟まらない。正式な会食の場などでは、無理矢理持ち方を替えたのは良いがぎこちなく、いつも緊張したものだ。

そうはいっても人の箸の使い方には厳しく一端の評論家、どんなきれいな身のこなしの女性でも先がつまったような箸使いを見るとげんなりしたり、意外に中高年のむくつけき人物が、ああこんな人がと思うくらい立派に箸を使う様子を見たりしてきた。たかが箸、されど箸、軽んざる不可。

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◆【産経抄】

 礼法宗家として知られる小笠原家の何代目かの当主が、京都に使いに行き宮中で御膳が出た。どんなふうに食べるのか、作法にはうるさい公卿たちがのぞき見ているのを知った当主は、飯の上に汁をかけ、香の物をのせてかき込みはじめた。

 ▼あまりの荒っぽさにあきれ、冷笑した公卿たちは、下げられた箸を見て驚く。先が5ミリほどしか汚れていなかったからだ。子母沢寛の『味覚極楽』にある逸話だが、吉川英治が描く宮本武蔵はもっとすごい。なにしろ、ソバにたかるハエをひょいひょい箸でつまんでみせて、難癖をつけてきたヤクザを退散させたのだから。

 ▼礼法の先生や剣豪ほどの名人技はなくとも、かつての日本人の多くは、やすやすと1本のソバをつまみ、魚の身をほぐしてきた。その優雅なしぐさに、外国人は見ほれたものだ。箸を動かすときの細やかな心の動きが、日本文化を特徴づけてきたともいえる。

 ▼そんな人が近ごろめっきり少なくなった、と嘆く向きには朗報ではないか。長崎県佐世保市にある久田学園佐世保女子高校では、今月31日に実施する今年の入試から、国語、数学に加えて、「正しい箸の使い方」を導入するという。

 ▼受験生は六角形の特注箸で、おはじきやインゲン豆などを10粒ずつ別の皿に移し、その様子が採点される。もともと、茶道や華道を必修科目にするなど、しつけ教育を重視しているそうだ。どんな生徒を求めているのか、学校が入試科目を通じて出したメッセージとして興味深い。

 ▼「親の力」をはかる検査ともいえる。箸が正しく使える生徒の家では、食事の時間を大切にしていて、内容も充実しているはずだ。少なくとも、給食費を払えるのに払わないですましてきた親でないことは確かだ。

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 半年程前に「最近の日本人どうかしてる」と、ボンベイ(ムンバイ)空港の待合所で大騒ぎ、顰蹙を買った50女の風景を書いた(下記URL)が、同じようなこと(公徳心の欠如)が国会の議場で起きているとは知らなかった。


 産経が『かつて「菊の優美さ」に喩えられた高いモラル観が、小泉八雲が礼賛した美しい礼節の数々が、日本人から急速に失われようとしている』として【溶けゆく日本人】の姿を追った連載を始めた。これはその第一回目。

 本会議場で携帯ちゃかちゃかするような輩は例の小泉親衛隊のなかの子供さんたちかと思ったらそうでもなく、写真の通りいい年の男たちだった。これは実名を是非公開すべきではないか。当地シンガポールでも、携帯は社会問題、MRT(地下鉄)が禁止していないので、それはそれは喧しい限り。街中でも「携帯」の「奴隷」、中毒が満ちているが、これは多民族の寄合い社会として何となく(?)あきらめがつくような気がする。というか、国際社会はシンガポールにそんなこと(規律)は期待してはおるまい。

 それが国民の範たれ等と大上段なことは言わずとも、それでも一応エリートと呼ばれるべき日本の政治家層がこのレベルではましてや一般はああむべなるかな。しかし最後に記者が触れた「携帯電話のマナーがわずかながらも改善されている」ということに一蜀の明かりを期待しようではないか。

◆【溶けゆく日本人】(1)モラル破壊の惨状 携帯の奴隷 ■議場でメール、注意も無視

 「公共の精神」。その尊さを謳った改正教育基本法など、幾多の重要法案が審議された昨年秋の臨時国会。そのさなかの11月30日午後のことだった。
 「小学生に申し上げるようで恐縮ですが…」
 衆議院本会議直前に開かれた自民党代議士会で、マイクスタンドの前に立った議院運営委員会理事の西川京子氏は、そう切り出した。
 「ご存じとは思いますが、本会議場では携帯電話のスイッチを切り、使用されないようにお願いします」−。出席していた自民党議員からは一瞬ざわめきが起き、そして失笑が漏れた。

 西川氏がこの日、携帯電話について注意を促したのにはワケがあった。前日、議運の逢沢一郎委員長が河野洋平衆院議長に呼ばれ、こんな苦言を浴びせられたのだ。
 「本会議中、新聞を読んだり、携帯電話を操作したりする議員が目につく。若い人はルールを知らないのではないか」
 衆議院規則では、議事中に新聞や書籍を読むのは原則、禁止している。携帯電話の項目はないが、これに準ずるという解釈なのだろう。

 「議長席から、行儀のよくない行為が目につくらしい」。30日午前、与党の議運の理事が集まる「与理懇」で逢沢氏からこう伝えられたとき、理事の面々は思わず顔を見合わせた。「まさか、こんなことを注意されるなんて」。だれともなく漏らした言葉には、“小学生並み”に扱われた恥辱が滲み出ていた。
                  ◇
 「国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない」
 「言動のすべてが常に国民の注視の下にある」
 国会議員に配布される「衆議院手帖」「参議院手帖」に記された政治倫理綱領の一節だ。

 文字通り、先の臨時国会で議員の手元を“注視”してみた。そこには、信頼にもとる、美しくない姿が数多あった。ある参議院議員は本会議中、左手で携帯電話を見事に操りながら、議場で拍手がわくと、それにあわせて右手で太ももを叩く、そんな醜い姿を延々と晒した。議会中に隣席の議員と携帯電話の画面を見せ合って、にやつく光景もあった。
 数年前、「大学の教室から私語が消えた」と話題になったことがある。携帯電話による「メール私語」が取って代わったのだ。国会の場がそれとダブる。野次と怒号が減り、静寂に包まれる一方で増える“沈黙の私語”。

 素早い政治活動のために必要なメールもあると“抗弁”する関係者もいる。「地元でだれかが市長選に出馬表明したなど、本人に影響がある重要ニュースが入ると、すぐ知らせ、考えをまとめてもらう」とは、ある国会議員の秘書。だが、小さなマナーさえ守れない議員が、公約など守れるのだろうか。
 「議長席からは議席がよくみえるんだ。恥ずかしいことだな」。こう語ったのは、平成8年から7年間、衆議院副議長を務めた民主党最高顧問の渡部恒三・衆院議員。携帯電話が国会の場を“侵食”する光景を、「国民の手本になる責任感や誇りがなくなってしまったのだろうな」と嘆いた。
                  ◇
 カメラを、CDを、本を…とさまざまな世界を食い潰し増殖する携帯電話は、人としてのモラルや常識をも確実に蝕んでいる。
 晴れの式典の最中に携帯電話のメールに夢中になる親や新成人ら。心臓のペースメーカーへの悪影響を考え電源を切るよう呼びかけるステッカーが張られた優先席に座り、メールに興じる若者たち。病院での治療中にメールを打とうとする人々。先月にはプロ野球の契約更改の最中に幹部の携帯電話が2日続けて鳴り響き、選手が憤慨するようなこともあった。

 そしてJR東日本には、こんな“苦情”も寄せられるようになる。
 「車内での携帯電話の使用を認めろ」
 自民党の西川議員は言う。「『公共の精神』を重んじる教育を受けていないことが大きい」
 その西川議員が口頭で注意してから、国会の場から携帯と“戯れる”議員の姿は消えたのか。答えはノーだった。先生の言うことを聞かない「学級崩壊」現象が、教育基本法の改正を議論する国会の場でまさに起きていた。(山口暢彦)
                  ◇
 《メモ》携帯電話のマナーがわずかながらも改善されているというデータもある。
 日本民営鉄道協会が大手16社の利用者に年1回行っているアンケートでは、平成11年度から15年度まで4回連続(12年度は実施せず)で、迷惑行為の1位は「携帯電話」だったが、16年度以降は3年連続で「座席の座り方」が1位に(携帯電話は2位)。協会では、15年9月に関東圏の主要鉄道各社が「優先席付近では電源オフ」「それ以外ではマナーモードを設定し、通話は遠慮」と呼びかけを統一したことが大きいとみている。

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