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シンガポールでカジノ導入に不安の声 「観光の目玉」と政府は推進 FujiSankei Business i. 2005/5/11
【シンガポール=藤本欣也】チューインガムの販売からごみのポイ捨てまで厳しく規制されている管理国家・シンガポールでカジノの導入が決まり、国民の間に波紋が広がっている。政府はカジノ中毒者の入場を規制するなどの管理政策を早くも打ち出し、風紀悪化を懸念する国民の不安打ち消しに躍起となっている。
同国のリー・シェンロン首相は4月中旬、中心部に近いマリーナベイと観光地のセントーサ島の2カ所にカジノを建設すると発表した。今年第2四半期(4−6月)に入札を行い、2009年までの開業を目指す。
カジノだけではなく、ホテルやテーマパークなどを含む総合リゾート地として開発する計画で、すでに米ラスベガスのカジノ経営大手など10を超す企業グループが開発計画案を政府に提出している。
「時代は変わった。このままではシンガポールは後れを取ってしまう」とリー首相がカジノ導入の理由を語ったように、政府はカジノにより観光業へのてこ入れを狙っている。計3万5000人の新規雇用創出や、総額50億シンガポールドル(約3200億円)の投資も見込まれ、国内総生産(GDP)への効果は年に10億シンガポールドル(約640億円)に上ると推計されている。
これに対し、国民の反応は複雑だ。昨年3月に政府がカジノ導入を検討すると発表した後、カジノの是非をめぐり国を挙げての大論争が起きた。
反対派は「ギャンブルは社会の風紀を乱しかねない」「カジノで生活破綻(はたん)者が増え、家族崩壊が相次ぐ」などと懸念を表明。「観光名所に乏しいシンガポールでカジノは観光の新たな目玉になる」とする推進派と真っ向から対立していた。
カジノ導入を決定した政府も反対派の懸念を受け、(1)シンガポール国民を対象にカジノへの入場制限を設ける(2)ギャンブル中毒者の入場を規制する(3)地元メディアのカジノの広告掲載を禁止する−など矢継ぎ早に対策を発表した。マネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪行為を監視する「カジノ監督庁」を新設する方針も決めた。
その一方で、同国の高等専門学校に「カジノ総合リゾート経営コース」を新規開設する動きなども出ている。
“建国の父”で、元首相のリー・クアンユー顧問相は「健全な国際都市というイメージがシンガポールのセールスポイントだった時代もあったが、もうそれだけでは不十分だ」とカジノ導入に理解を示している。
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