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◆【断】戦後日本の反軍事感情
イラク国内で起きたPMC(民間軍事会社)へのテロ事件を契機に、イラクへの渡航禁止措置を求める声が再び高まっている。こうした世論の否定的な反応の背景には、戦後日本に特有な反軍事感情がありはしないだろうか。
昨年イラク国内で邦人が拘束された際も渡航自体を軽率と非難する論調はあった。だが同時に、彼らの行動を支持・理解する論調も存在した。「自己責任」という言葉が独り歩きしたことは記憶に新しい。
ところが今、斎藤氏の行動を擁護する声はほとんど聞かれない。これはどういうことなのか。彼の行動に何か非があっただろうか。PMCに就職し、危険な任務に従事することは、別に非難されるような行動ではあるまい。現に、イラクに限らず政情不安定な地域の平和や復興にとってPMCは今や不可欠の存在となっている。
昨年、イラク自衛隊を取材した際、私自身も武器を携帯した現地会社の護衛に守られた。日本の新聞記者やテレビ局員もPMCと契約していた。現地の実情を伝える報道が必要かつ崇高な任務なら、それを支えるPMCの活動も同様に評価すべきであろう。
取材で散々PMCの世話になりながら、彼らを米国の手先、無法者と揶揄(やゆ)非難するのはいかがなものか。記者会見で被害者の家族までが否定的なコメントを述べる光景は私の目には奇異に映った。
自衛隊や各国軍同様、PMCで働くことも崇高な行為である。むしろ関係者には、PMCで活躍する邦人が有する貴重な情報を有効活用するくらいの度量を求めたい。(評論家・潮匡人)
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