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◆【断】「コイズミサン」とは何様か
先生と呼ばれる程の馬鹿でなし。センセイなんというと大層立派な御方のように聞こえますが、中には先ず生まれた、という人もいるようで。そんな先生になるために必死で選挙を戦う物好きが世の中いますな。と、落語家が揶揄していたころ、今から三十年以上前か、私の師匠、立川談志は参議院議員となり、沖縄開発庁政務次官に任命され、政務に対しての真剣さに疑問があるという理由でわずか一カ月で事実上罷免された。実に立派なキャリアだと思う。タレント議員という種類の人間が世の嫉妬を一身に集めていた時代の話で、嫉妬していたのは、はっきりいえば新聞記者を代表にする知識層(そんな言葉あったか?)の人間たちである。
同じような暗い情熱が現代では総理大臣に対して向けられているように感じる。皆一様にコイズミサンと呼ぶのに私はどうしてもなじめない。子供のころ、テレビで田中さん、とか福田さん、と呼ぶ人はいなかった。田中総理、福田首相だった。一国の首相にテレビから「小泉さん、意見があるなら電話を下さい」と呼びかけるとは何様か。
総理を敬えというのではない。だが、アイツが総理になれるのになんで俺がという嫉妬を隠し、うわべだけ装い、したり顔で批判を繰り返すだけで、いまに見ていろ俺だってという覚悟すら持たない政治家や、それを焚きつけてニュースという名のショーを演出しているつもりのキャスターと呼ばれる道化たちを私は、とても醜く思う。あんな人たちがこの国の未来を作ってゆくのか?
落語界では、新参者でも談志さん、米朝さん、とは決して呼ばない。絶対に呼ばせない。(落語家・立川談春)
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