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中国の国内総生産の発表数値、整合性に疑問 FujiSankei Business i. 2005/6/16
中国の経済発展の動向を知る最大の指標である国内総生産(GDP)の発表数値について、2004年の全国統計と地方統計とに整合性が欠けていることがわかった。
中国は改革開放路線に転じた1978年以降、それまでは「機密」扱いだった各種統計を積極的に公開するようになった。
現在は中国国家統計局をはじめ、中央、地方政府の統計部門が公表した経済統計などがインターネットでも検索、閲覧できる環境が整っている。一方で、中国政府が発表する統計や指標には「水増し」や「調整」の疑念が早くから指摘されてきた。
◆短期で作業完了
昨年4−6月のGDPについても、前年同期の実績を上方修正したことから、伸び率を引き下げ、過熱経済の印象を希薄にするための操作ではないかとの見方が出た。
また四半期ベースや年間の統計の集計、分析、発表といった複雑な作業が2−3週間程度の期間で完了してしまうのも疑問視される理由の一つとなっている。
今回、国家統計局が発表したGDP実績、成長率と、各省、自治区、直轄市(北京、天津、上海)、計画単列市(重慶)の31の地方統計局が発表した04年のGDP(域内総生産)、成長率を比較して調査したところ、31省、自治区、市の実績の合計が全国実績を上回ることが明らかになった。
省、自治区、市のGDPの合計額は16兆3438億元(約212兆4694億円)に達し、国家統計局が発表した全国のGDP総額、13兆6515億元(約177兆4694億円)を19・7%上回っている。
前年比成長率も31の地方がすべて2けたの伸びを記録しており、全国の9・5%という成長率を大幅に上回っている。
地方の統計局の公表した数値のなかには速報値も含まれているが、各地で昨年末まで積極的な固定資産投資(公共投資と企業設備投資)など高成長が続いていたことがみてとれる。
◆拡大する経済格差
統計数値に若干の疑念はあるものの、趨勢的には、中国の経済発展のエンジンである上海、江蘇、浙江省のGDPが全国シェアの24・9%(合計値では20・9%)を占め、長江デルタ経済圏のプレゼンスの高さを示している。
汎珠江デルタ経済圏の中核である広東省の11・7%(同9・8%)、環渤海経済圏の一角を成す山東省の11・3%(同9・4%)も抜きんでた実績をあげている。
3つの地方に共通しているのは外国企業が多数進出し、「世界の工場」の支柱となっていることだ。
沿海地域と内陸部の発展の格差も歴然としている。各地の社会情勢の不穏が伝えられる根拠と考えてもよいだろう。
上海の1人あたり平均GDPは4万3000元程度(約56万円)で全国平均の約1000ドル(約10万9000円)を大きく上回っている。内陸部の貴州省の4215元(約5万5000円)とは10倍の差がある。
今年1−3月のGDP成長率は前年同期比9・4%(修正値)と発表されたが、年間で政府の目標である8%台まで引き下げることができるか。公表された統計だけで判断することにも一定の限界があるようだ。
中国経済をみるうえで統計などの「数字のマジック」に幻惑されず、しっかりと実態を見据える必要がある。(上原隆)
◆地方のGDP水増し批判 中国統計局長 (2005年3月9日)
中国国家統計局の李徳水局長は開催中の全国人民政治協商会議の討論で、「昨年の地方の国内総生産(GDP)伸び率はわれわれの計算より3・9ポイント多い」と述べ、地方統計当局による統計水増しを批判した。八日付中国紙・北京青年報が報じた。
李局長はさらに、地方が互いに競争し、GDPを重視しすぎ、統計当局が出世のために幹部の目標にあわせた水増し報告を行っていること、行政レベルが上がるにつれて水増し幅が広がる実態を指摘。「厳粛な調査と処置が必要」と訴えた。(北京 福島香織)
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