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日中緊張高まると…、世界的な景気後退招く――米ガートナー予測。2005/06/08, 日経産業
「IT産業へ影響深刻」
反日デモなど日中関係の緊張が世界のIT(情報技術)産業に与える影響について、米調査会社ガートナーが想定されるシナリオを発表した。同社によると、世界の大手企業二千社の九五%以上が日本と中国に従業員の雇用や投資を通じて、広範な利害関係を持っている。これらの企業は「混乱が長引けば、事業計画や戦略の見直しを迫られる」(ディオン・ウィギンズ・ガートナー副社長兼調査主任)と指摘している。
ガートナーは日中関係の世界IT産業への影響を(1)平常状態へ回復(2)緊張や不安定な状態が継続(3)緊張状態が高まる――の三つのシナリオに基づいて分析。
平常に回復する場合、中国企業への投資凍結は次第に解除されるが、リスク管理の面から日本企業は海外投資先として中国からフィリピン、ベトナム、タイなどに興味を示すようになる。中国市場では、日本製品より国産や韓国製品などが好まれる一方で、日本市場への中国製品の参入が難しくなるという。
緊張や不安定な状態が続いた場合、両国内で相手国の製品に対する偏見が増し、企業業績に深刻な影響が出て「日本経済の景気後退の引き金」になる可能性もあると指摘。企業イメージの低下で中国内で優秀な人材確保が難しい日本企業は中国市場への投資を減らす。一方で、中国のIT企業は、技術提携先の中心を日本から北米や欧州の企業に移すという。
日中関係の緊張状態が高まるシナリオは「最も深刻」(同社)。影響は日中両国やその周辺国に限らず「世界的な景気後退を招き」、各国共同で進めてきた第四世代(G4)携帯電話網やRFID(無線ICタグ)などの標準化の試みが完全に中断される可能性があるという。
最終的には日本のIT企業の中国市場からの完全撤退も想定する。安い労働力を求め日本企業はインドへの投資を増加するとみている。
(ニューヨーク
=清水石珠実)
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