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◆【断】「禁煙ファシズム」
店内全面禁煙の居酒屋が都内にオープンした。JR東日本は八月八日から管内すべての新幹線や在来線特急のデッキを禁煙とし、年内に長野新幹線「あさま」を全面禁煙とする計画だ。千代田区内指定地域の路上でタバコに火をつけると生活環境条例違反として、二千円の過料を徴収される。
本欄で「たばこパッケージの効果」が疑問視されていたが(二十六日付)、例えば「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」と注意がある。居酒屋から路上に至るまで禁煙、自宅で喫煙しても注意される。喫煙者が憩いの場を探すことは難しい時代だ。こうした動きを禁煙ファシズムと呼ぶことは、必ずしも暴論とはいえまい。
ヒトラー、ムッソリーニ、フランコは非喫煙者だったが、チャーチル、スターリン、ルーズベルトはみな喫煙者だった。ナチス親衛隊では肥満撲滅のため、禁酒・禁煙・菜食が要請されていた。タバコやアスベストの発ガン性を最初に発見したのは、ナチスの医学者である。「世界最大規模の反タバコ運動をおこなった」のはナチスであった(プロクター『健康帝国ナチス』草思社)。
日本の健康増進法は「生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない」と「国民の責務」を明文化した。これはナチスのスローガン「身体は国家のもの! 身体は総統のもの! 健康は義務である! 食事は自分だけのものではない!」と似てはいないだろうか。
我々は今、健康ファシズムと呼ぶべき時代を生きている。
(評論家・潮匡人)
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