保守の源流を訪ねて

いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜

産経新聞を読んで

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産経抄子言うように最近の日本人、どうかしている。海外での日本人も最近どこかおかしい。海外駐在と言えば昔は花形であった。一昔前までは、少しは国を背負う気概もあり、かつ現地の人との軋轢も避けられるような柔軟な感性・思考を持ったひとを派遣したものだが、今は違う。

店の人を簡単にどなりつける、仲間で飲むときは傍若無人、大騒ぎする、逆に一人の時は無表情で最低限の挨拶も出来ない、食事が終わり席を立つときも隻を戻さない、等々、端で見ていても、まるでお隣の国のひとかと思うくらいで、情けなくなる。

公共交通機関でのマナーは世界共通、9.11後特に厳しいものがあるが、日本の甘ちゃんはその現実がまだ分かっていない。先々月だったかムンバイ(ボンベイ)の空港で搭乗を待っていると、「おとおさーん...」という日本語が耳に飛び込んできた。

急に懐かしい思いがしたことは別として、はたとそちらを見ると50前後のおばちゃんが待合所の端から対角線上の一番遠くにいる旦那に向けて「おいでおいで!」と叫んでいる声であった。海外の空港は成田あたりとは異なりどこも一様に静かだ。空港も最低限の放送しかしないのが「良い空港」の常識。成田のように「佐藤さん、ご自宅から電話です。お宅に電話してくださーい!」などというナンセンスは皆無だ。

ムンバイ空港もある者はじっと搭乗を待ち、ある者は友人・家族で座りながら談笑と、皆一様に静かに過ごしていた中で、この叫び声は異常な猫(?)の遠吠えのようで、彼女は搭乗客全員の異様な視線を浴びてしまい、本人も気まずい思いがしていた。日本の常識は世界の非常識。

今でも「ドアを閉めさせていただきます」などという異常な日本語が田園都市線の朝の通勤風景の中で飛び交っているのだろうか。

◆【産経抄】

 「お客さまは神様です」といえば、三波春夫さんの名文句である。昭和36年、巡業公演の最中に、司会者との何げないやりとりのなかで生まれ、やがて流行語になった。

 ▼「客にへつらうようでいやらしい」と批判の声もあったが、三波さんにはそんな気持ちは微塵もなかったようだ。ある公演で、紙テープを大きなかたまりにして投げつけ、いやがらせをしようとした若者を、歌の途中で「無礼者!」とどなりつけたことさえある。

 ▼こうした困った神様が最近増えてきたように思う。特に目立つのが、公共交通機関の職員に対する横暴な振る舞いだ。旅客機の離陸時に携帯電話の使用をやめない客に、客室乗務員が注意したところ胸ぐらをつかまれた。切符を持たずに改札を通り過ぎた客に駅員が事情を聴いていると、いきなりつばを吐きかけられた。こんな話をよく耳にする。

 ▼たまりにたまった不満やイライラが、何かのきっかけで立場の弱い人に向けられるのか。それとも権利の主張ばかりを教えられてきた戦後教育の結果か。いずれにしても、マナー以前の社会の病理というほかない。

 ▼航空会社や鉄道会社では、暴力行為に対しては警察に通報するなど毅然とした態度を取るようになっている。ただ、暴言などに対しては、泣き寝入りするケースが多かったのではないか。言葉の暴力の方がかえって、人間の尊厳を踏みにじり、心により大きな傷跡を残すことがあるというのに。

 ▼その意味で、きのう在日韓国人の男性が、大阪地裁に起こした訴えに注目したい。仕事中に差別発言を行った顧客に対して、慰謝料などを求めたもので、「社会的責任の観点から支援していく」という勤務先の積水ハウスのコメントにも、大いに共感を覚えた。

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この場に及んで「靖国」を持ち出したり、「日中間連携を」などと、夢物語、観念論ばかりで、朝日はまたまた無茶苦茶だな等と思っていたら、産経抄はやはりきちんと反応した(7月7日)。

NHKはNHKで鳥取・境港で例の船の入出港で喰っている人の「制裁されたら商売あがったりでっせ」といった発言を紹介したりしていて、これもシンガポールの飲み屋の常連は吐き捨てるように一言「バカ」と言っていたが。

「したり顔のコメンテーター」の顔は当地では残念ながら見られないが、日本の飲み屋でもさぞかしマスコミ批判が花盛りなことだろう。

◆【産経抄】
 ミサイル発射の轟音でようやく正気に戻られたようだ。在日本大韓民国民団(民団)は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との「歴史的和解」をうたった5月の共同声明を白紙撤回すると発表した。

 ▼団長は「総連を通じ北朝鮮に融和の政策を訴えようと思ったができなくなった」と語ったそうだが、もし本気でそう考えていたのなら甘過ぎる。朝鮮総連は北朝鮮の分身ともいえる存在で、今回のミサイル発射にも遺憾のいの字も言わなかった。

 ▼逆に「遺憾だ」と文句をつけた先は、対抗措置として万景峰号の入港禁止を決めた日本政府。「偉大なる首領さま」の愚劣な振る舞いに肩身の狭い思いをしている在日同胞のことを思えば、勇気を持って日本ではなく、本国に自制を求めるのがスジではなかろうか。

 ▼総連と同様にミサイル危機で馬脚を現したのが、中国だ。政治大国を自称しながら北朝鮮を抑える力もなく、武大偉外務次官は「北朝鮮の行動は米国の金融制裁によるところが大きい」と弁護さえした。むろん、日本が提案している経済制裁を含む国連安全保障理事会の決議採択にもノーだ。

 ▼中国にとっては、日本がなんと言おうと、金正日体制が崩壊すれば大混乱するであろう隣国を現状維持する方が重要なのだ。「首領さま」がどんな圧政をしようと、ミサイルを乱射しようと見て見ぬふりをしている。

 ▼嘆かわしいのは、北朝鮮問題で日中の連携ができないのは、首相が靖国を参拝するから、との言説を吐く新聞やしたり顔のコメンテーターがいることだ。中国は自国の国益に沿って行動しているだけで、たとえ首相が靖国参拝を中止しても同じ。日中友好が第一、とのんきに言っているお人よしもそろそろ目を覚ました方がいい。

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北朝鮮ミサイル発射 無謀な行動に抗議する (朝日社説 7月6日)

 北朝鮮がミサイルの発射実験を強行した。きのう未明から朝方にかけて6発、さらに夕方1発という異様さである。日本などと交わした発射凍結の約束を破り、国際社会の制止も無視した。
 無謀で無責任な行動に強く抗議する。
 実験では3種類のミサイルが発射された。短距離の「スカッド」、中距離の「ノドン」、長距離の「テポドン2」である。北朝鮮が保有する弾道ミサイルのそろい踏みといった有り様だ。
 いずれもロシアに近い日本海に落下した。外国を攻撃できる兵器をこれだけ持っているのだと見せつけ、威嚇するのが目的なのだろう。

●威嚇は許されぬ
 米国のアラスカにも届くといわれるテポドン2に注目が集まっていた。だが、打ち上げ直後に失敗したと米政府などは見ている。
 日本にとってより深刻なのはノドンだ。日本列島がすっぽり射程内に収まる。北朝鮮はこれを200基配備しているという。核弾頭が積まれていたらと、ぞっとした人は少なくないだろう。
 北朝鮮は93年にノドンの、98年にはテポドンの発射実験をした。その後、99年に発射凍結を米国に約束した。02年の日朝平壌宣言でもそれを確認した。今回の発射はこれをすべてほごにするものだ。
 北朝鮮は核兵器を保有していると宣言した。核不拡散のための国際的な約束に背を向け、監視の目をかいくぐって開発したものだ。そんな国が弾道ミサイルを持ち、発射実験で周辺国を威嚇するのは許しがたい。
 北朝鮮はミサイル本体や技術を中東などに輸出してきた。ただでさえ不安定な地域にミサイルの火種を持ち込むのは無責任きわまりない。
 核保有宣言といい、ミサイルといい、一連の行動は「ならずもの国家」と呼ばれても仕方あるまい。

●対応は厳しく冷静に
 北朝鮮はミサイルの開発、実験は主権に属することであり、他国の干渉は受けないと主張している。だが、国際社会の秩序を乱し、近隣国を威嚇するような国がいくら「自主権」を言っても、そのまま認めるわけにはいかない。
 北朝鮮は国際社会からの猛反発は承知のうえなのだろう。それでもなおミサイルを発射したところに、北朝鮮の外交的な行き詰まりが見て取れる。
 核放棄をめぐる6者協議が停滞するなかで、米国などは金融や人権で締め付けを強めている。だが、米国と直接協議したくても応じてくれない。日本も拉致問題などで圧力を強める。頼みの中国もさほど味方してくれない。
 こんな局面を転換するにはミサイルという脅しのカードを使うしかないと見たのだろう。いつもの「瀬戸際作戦」だ。
 ミサイルは、米国の独立記念日に合わせて発射された。北朝鮮問題に多くの時間を費やした日米首脳会談の直後、ロシアでの主要国首脳会議の直前でもある。挑発の狙いは明らかだ。
 一方で、今回の発射をめぐっては、北朝鮮内部の統制の乱れを指摘する見方もある。独裁国家の、外からはうかがい知れない危うさである。
 日本政府は北朝鮮の貨客船、万景峰号の入港を半年間認めないなど9項目の措置に踏み切った。強い抗議の意思を示すには当然だ。さらに送金や貿易の停止などの制裁措置も検討していくという。
 国連の安全保障理事会は緊急会合を招集した。北朝鮮に強いメッセージを送る必要がある。いたずらに危機をあおっても逆効果であること、6者協議に誠実に向かい合ってこそ生きる道が開けてくることをはっきりと伝えるべきだ。
 米国も「あらゆる必要な措置をとる」としつつ、外交的な解決を目指すという。冷静に、しかし厳しい態度で臨むという方針で足並みをそろえたい。

●日中韓連携を強めよ
 重要なのは国際社会の一致した行動だ。日本政府は国際協調を率先して追求してもらいたい。北朝鮮の出方を見つつ、段階的に対応する構えが大事だ。
 北朝鮮の問題を解決するにはやはり米国の存在が大きい。だが、イラクやイランへの対応に追われ、危機感をもって向き合ってこなかった面は否めない。
 ミサイルの脅威を肌で感ずるのは日本と韓国だ。緊張の高まりには中国も安閑としてはいられまい。なのにこの3カ国の協調が何とも心もとない。
 ミサイル発射と時を同じくして、韓国の海洋調査船が竹島周辺の、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)に入った。日本の抗議は無視された。この問題では双方が突っ張り合い、感情的なもつれを増幅させるばかりだ。
 底流には、盧武鉉大統領の民族感情をあおる強硬姿勢とともに、小泉首相の靖国神社参拝も大きく響いている。靖国問題は、日中でも首脳の相互訪問をもう5年も閉ざしている。
 だが、平穏な環境をつくることこそが3カ国の利益が共通する最重要の課題ではないのか。日中韓の政治指導者は優先順位を間違ってきたとしか思えない。
 米国の関与を促すと同時に、北朝鮮の暴発を防ぎ、危機の水準を下げるために3カ国の協調を早急に立て直すべきだ。

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昨日朝日社説と比較ご高覧あれ。

「日本は中央アジアなどSCO参加国との関係を個別に緊密化すると同時に、日米同盟を軸に地域の勢力均衡の変化に対する備えを怠ってはならない」と。

オブザーバー参加しろとのたまう朝日と比べどちらが全うか、一目瞭然だろう。この眼目は1)個別交渉とすること。中山元参与が大使時代培ったウズベキスタン等の親日国を増やすこと(彼らは米国より日本の技術が欲しい)。2)「勢力均衡の変化」とはロシアの油を原資にした「大陸国家」から「海洋国家」への変容である。百年前の満蒙、朝鮮半島が現在のベトナムから東南アジア・西アジアに見えるのだろう。

Chinaもこれに一役買っているわけだから、対抗上、日本は更に強固な日米同盟を築きながら、併せて東南アジア・南アジア(特にインド・パキスタン)との関係をもっと緊密化させねばならない。

◆【主張】上海協力機構 勢力均衡の変化に備えを(2006年6月19日)

 中露と中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)が、機構創設5周年の首脳会議を上海で開き、国境信頼醸成や反テロなどの地域安全保障や経済面での協力関係を強化するとともに、新たに資源エネルギーでの協力関係の構築に乗り出すことで合意した。機構拡大に取り組む意向も示した。また、加盟国企業で構成する「SCO実業家委員会」も正式に発足した。

 中国の胡錦濤主席は会議で、「善隣友好、平和、民主の原則、域外に開かれたSCO」などを強調した。同機構の張徳広秘書長も中国誌の中で「北大西洋条約機構(NATO)のような軍事集団にはならない。『東方のNATO』という指摘には根拠がない」と述べた。しかし、日米政府は疑念や警戒感を隠していない。無理もない。

 SCOは採択した「5周年宣言」の中で、「政治体制の違いを内政干渉の口実にすべきでない」と、米国などからの民主化、人権要求を牽制した。

 また、核疑惑があり、米国が「テロ支援国家」とするイランをオブザーバー国としてあえて招いた。そのイランのアフマディネジャド大統領は、「上海協力機構が影響力のある強大な機構となり、世界各国への脅威と不法な強権的干渉を阻止する必要がある」と演説、SCOを後ろ盾に西側と対抗する姿勢を見せた。これらが疑念や警戒感を招く一因になっている。

 宣言の中で「政治体制の違い」に言及したことは逆に、SCOがいまだ民主的でない体制であることを認めたに等しい。また、加盟各国は独裁的、非民主的体制を維持するために手を組んでいるとの見方も出てこよう。

 SCO内部に思惑の違いや“呉越同舟”の側面もうかがえる。オブザーバー4カ国のうちのインドだけが今回、首脳を派遣せず、石油相の代理出席にとどめたこともその一つだ。

 しかし、1996年の「上海ファイブ」発足時からの10年の歩みを見れば、SCOは信頼醸成、反テロ、経済協力などから、しだいに反米の政治色を強めていることは明らかだ。

 この傾向はさらに強まるだろう。日本は中央アジアなどSCO参加国との関係を個別に緊密化すると同時に、日米同盟を軸に地域の勢力均衡の変化に対する備えを怠ってはならない。

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またまた朝日が低レベルな意見を吐いている(6月18日社説)。あげくは同機構に日本もオブザーバーで加われと。「飛んで火に入る夏の虫」とはこういうことを指す。同紙はあくまで日米を引き裂きたいようだ。

何度も述べてきたが、この集まりは最終的に反米、反「民主主義」、独裁擁護機構を目指すものなのだ。簡単に言うと石油などの天然資源を武器に、今の非民主主義体制を維持しながら、金だけは(一部の層が)もっと儲けるしくみを作ろうというものなのだ。もっと言うとロシアのプーチンはマレーシアのマハティールがやったようなことをもっと大きな仕組みで目指しているのだ。

「地政学的な思惑」とは何を言いたいのか。この土地はフビライの侵略以前から千年以上にもわたり地政学の本場ではなかったのか。一部が「突出」し、他が引っ込む、そう言った「国際関係緊張」の繰り返しを経験してきたことくらい、朝日社説子が知らないわけはない。これは今でも(残念ながら)例外ではなく、この土地の為政者でそのセンスの欠如は死を意味する。

「風通しが良く、域外にも開かれた結びつき」、「欧米や他のアジア諸国との対話」と、何の意味もない常套句が続き、最後は「オブザーバー」と提案する、これは呆れを越して、朝日新聞は何か特別な意図があるのではと空恐ろしくなってくるのは私だけだろうか。

上海協力機構 開かれた組織を目指せ (2006年6月18日朝日社説)

 ユーラシア大陸の中央に連なる国々で作る上海協力機構(SCO)が創設されてから5年がたった。

 上海で開かれた首脳会議には、中国の胡錦涛国家主席、ロシアのプーチン大統領をはじめ、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの大統領らが顔をそろえた。

 もともとはソ連邦の崩壊で独立国となった中央アジアの国々と中ロが、国境周辺でのトラブルを防ぎ、過激派の出入りを封じるために集まったものだった。それが01年に、6カ国の地域協力機構に格上げされた。

 米欧の豊かさに惹かれ、ロシア依存からの脱却をめざす中央アジア。そうした国々を引きつけようと接近する中国。待ったをかけるロシア。そんな綱引きがかつての構図だった。

 それが、ここ数年ですっかり様変わりした。加盟国それぞれに濃淡はあるものの、6カ国の間の求心力が強まり、米国に対する警戒感で一致する。

 今回の首脳会議後の共同宣言には、「政治・社会体制や価値観の違いが他国の内政に干渉する口実とされるべきではない」「社会発展のモデルは『輸出』できない」といった表現が盛り込まれた。

 人権の保護や民主主義の徹底を求める米国に向かって、「押しつけはご免だ」という強いメッセージを発した形だ。

 中央アジア諸国の政治体制は、どこも強権的な体質が色濃い。しかし、同じ旧ソ連のウクライナやグルジアでは相次いで旧体制が覆されている。昨年にはキルギスの長期政権が崩壊するなど、その波は中央アジアにも及んできた。

 その背後に米欧の「干渉」を感じ取った各国が、今度は中ロを頼って身を固くしている構図に見える。

 中ロはこの機を逃さず、地域の結びつきの強化に乗り出す。その一方でモンゴルに続き、インド、パキスタンとともに反米のイランをオブザーバーとしてSCOに迎えた。協力の輪を広げ、深めるほど発言力や影響力が増すと見ているのは間違いない。

 この地域は石油や天然ガスの資源にも恵まれている。地域協力が発展と安定をもたらすなら結構なことだが、地政学的な思惑があまり突出すると、国際関係を緊張させることになりかねない。

 風通しが良く、域外にも開かれた結びつきにするよう、加盟国の努力を求めたい。欧米や他のアジア諸国との対話を進めることが、よりダイナミックな地域発展への道だ。

 日本も中央アジアとの交流をさらに深めたい。先日はカザフスタンなど4カ国やアフガニスタンとの外相会合を東京で開いた。独自の枠組みで協力するのもいいが、SCOとの関係も重視する必要がある。オブザーバーとして加わる選択肢も考えるべきではないか。

 広大なユーラシアを開かれた地域にしておくために、日本ができることは少なくない。

小諸市 遊子の悲しみ

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小諸は心のふるさとだ。真冬はいつも寒風が吹きすさび、親父もお袋も子供も冬の間中、皆指先があかぎれでただれたものだが、夏になると環境は一変し、高原に行くと全て緑色、小川のせせらぎで見つけた薺(なずな)や果てしなく続く草原のうねりが少年時代の心象風景としてまだ記憶にある。小学生時代、お人好しの親父が人に騙され大きな借金を作ったことから、夜逃げ同然に上京して以来心の中にしまっているふるさとである。千曲川(広くは信濃川)源流の川上村にある遠い親戚のお寺にも夏になるとよく遊びに行ったっけ。

忙しさに紛れ五月下旬に連載されていた石井英夫さんの下記記事を見過ごしていた。石井英夫さんの文章はいつも軽妙洒脱だが、その裏にはどこかはにかみのようなものが感じられる。

懐かしくなって我がふるさと、小諸市を調べてみた。人口4万5千人、民間企業収入17百数十億円、市財政は赤字、悪名高い「特別会計」が国からの補助金の半分を占めている。我が野岸小学校は小生の通った昭和34-38年が1200人規模だったが、この50年近くの歳月で今は500人弱まで減少してしまった。日本の地方都市の平均的な姿といったところだろうか(不思議だが教師の数は増えている)。それでもこれらの土地には「グローバリゼーション」、「村上ファンド」あたりとは無縁のあたたかい日常があるのだろう。

小諸が「ローカル駅」になり果てたのは残念だが、遊子の悲しみもまんざら悪くはない。懐古園を眺めながらいつも一緒に通学した同級生の女の子は今も元気にしているだろうか。

↓をクリックすると石井英夫さんの洒脱な解説が見られます(Media Player)。


◆【流域紀行 千曲川をあるく】(7)小諸市 遊子の悲しみ

 五月快晴の日曜日、うららかに日は千曲川の上空に輝いている。ところが小諸駅前の広場に立ってとにかく驚いた。人がいないのだ。人どころか犬の子一ピキ通っていない。駅前交番も客待ちタクシーもただぽかんとしている。観光都市・小諸の日曜日かくのごとしだ。駅前に「小諸名物揚げまんじゅう」の旗をだした信州そば屋があった。どうです、名物の売れ行きは?(論説委員 石井英夫)
                   ◇
≪新幹線に乗れぬ旅情≫
 「だめだね。新幹線ができるまでは一日千五百個は売れた。花見の日なんか二千八百でたこともある。それがいまは一日三百がいいとこだ」 店の主人は三百といったがそれは自分を鼓舞せんがための数字ではないか。何しろ私どもが買った五個(四百円)以外にさっぱり購買者の影がないからだ。“歴史と文学と坂”の城下町・小諸の盛衰は、そば屋主人が語った通り新幹線問題がすべてといってよかった。

 平成九年十月に開業した長野新幹線は、なぜ小諸を避けて通ったのか。なぜ小諸は“路傍の石”のごとく黙殺されたのか。いきさつをかいつまんでいえば新幹線の規格だった。小諸市は従来の信越本線を使ったミニ規格を主張し、佐久市は新しいフル規格を主張した。その誘致合戦に小諸市は敗れ、おまけに死活問題だった駅名まで「小諸」がはずされ「佐久平」にされてしまった。

 かくて小諸駅は第三セクター・しなの鉄道(旧信越本線)の特急の停車しないローカル駅になりはて、都市の活力を失った。一方、佐久平駅前はホテルや大型スーパーが林立し、通勤者をあてこんだ宅地開発などがピッチをあげている。

 その小諸駅から三分、懐古園の公園事務所の話もポイントは新幹線だった。「あれ以来、入園者は右肩下がりです。平成八年は四十五万人あったが、年々五万人近く減って昨年は二十四万人。なにしろ特急もとまらない駅ですから」

 小諸なる古城のほとり
 雲白く遊子(ゆうし)かなしむ…(『千曲川旅情のうた』)

 懐古園は小諸城跡で、その城門や石垣を背景にした撮影会らしいものが開かれていた。和装の女性がモデルだが、どう見ても素人で素朴な娘さんである。石野さんの取材だが、佐久市の和服店の成人式用のセールス活動だった。着物一式が五十万円、ほかに撮影代が五万円。娘の祖母の贈り物だそうで、そういえば田舎のおばあさんが影のように付き添っていた。これも和服店の新しい営業で、懐古園の新しい活用法か。

 島崎藤村が国語教師として小諸義塾に赴任したのは明治三十二(一八九九)年。『千曲川のスケッチ』は、日本で自然の風物が日常のことば(近代口語体)で初めて書かれた画期的な作品だった。

 自然の風物といえば、テレビの“お天気博士”としてやさしい気象解説をしてくれた倉嶋厚さん(81)は長野県人である。善光寺平で生まれ、育った。その倉嶋さんが日本の季節と風土について書いたエッセー(『四季暦』)に、心にしみる一節があった。
 「美しい五月の季(とき)が通り過ぎようとしている。降ればもう梅雨かと思い、晴れればまだまだ五月と思いなおす。五月の別れは、ふと知り合った美しいひととの、はかない別れに似ている」

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