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1 脂肪・肉類の摂取
脂肪や肉類の高摂取が危険要因として重要視されてい るが,脂肪のなかでも特に動物性(飽和)脂肪,そして肉 類のなかでも特に赤肉(動物性蛋白)の高摂取が大腸がん のリスクを高めると考えられている.これは大腸がんの 世界分布が肉の消費量と正相関することや,大腸がん発 生率の高い米国人の食事の全熱量中に占める脂肪の割合 が非常に高いこと,米国日系移民での発生率が白人並み かそれをしのいでいること,さらに米国の菜食主義者で 発生率が低いことなどからも裏づけられている.  これらの脂肪や肉類高摂取による発がんの機序は,以 下のように考えられている.すなわち,動物性脂肪の摂 取は発がん促進作用のある二次胆汁酸の生成を高め,こ れが大腸粘膜に作用して発がんのイニシエーターやプロ モーターとなる.赤肉など動物性蛋白の加熱によっても 発がん物質が生成される.

 2 食物繊維と野菜・果物の摂取
 一方,食物繊維や野菜・果物の高摂取は逆に,大腸が んの予防要因と考えられている.穀類や豆類などの食物 繊維を主食としてきたアジア人やアフリカ人が,欧米人 に比較して大腸がんの発生率が低いことから,食物繊維 が大腸がんに予防的であることが示唆されてきた.また, 野菜・果物の多摂取による大腸がんの予防効果は,多く の疫学研究で安定して観察されている.これは,成分と して含まれているビタミンCや種々のカロテノイド, 葉酸,フラボノイドやヨウ素などの持つがん抑制作用に よるものと考えられている.  高繊維食や野菜・果物は以下のような機序で大腸がん を予防すると考えられている.すなわち,食物繊維は胆 汁酸と結合して,一次胆汁酸から二次胆汁酸への変換を 阻止する.また腸内の嫌気性菌の繁殖を抑制する.さら に便量を増加させることで便の大腸通過時間を短縮させ, 便内の発がん物質を希釈させることにより,大腸がんの 発生を予防すると考えられている.

3 その他の食事要因

1.その他の食事要因としては,コーヒーの成分に発がん 抑制物質が多く存在することが明らかにされ,特に直腸 がんの予防効果が報告されている3).最近注目されてい る緑茶についても,その大腸がんに対する予防効果は, 疫学的には証明されていない.また,カルシウム,ビタ ミンDやミルクなどの予防効果が指摘されているが, どれも決定的ではなく,その機序もよくわかっていない.

2.運動不足

 運動不足は,大腸がんのなかでも特に結腸がんにおい て大腸がんのリスクを増大させる.これは,座位労働を している人に大腸がんの発生率が高いことなどから注目 されてきたものである.運動不足などにより身体活動が
活発でないと,腸管の動きが悪くなり便の通過時間が長 くなり,その結果,発がん物質にさらされる時間が増し て,大腸がんのリスクが高くなると考えられている

3.喫煙,飲酒

 喫煙が大腸がんのリスクを高めるという報告は少なく, 関連は明確でないが,タバコの発がん物質の存在や,が ん化までの長期間を考慮するとリスクを高めるという報 告もあり5),何らかの影響はあるものと考えられる.
飲酒についても,特に直腸がんや下部結腸がんで多量 飲酒がリスクを増加させるという報告もあるが,飲酒と メチオニンや葉酸の低摂取が組み合わさった場合にリス クが増加するという報告もあり6),アルコール摂取その ものの影響については明確ではない.

4.その他の要因 1 非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)

アスピリンやインドメサシンなどの NSAIDSを常用 している人では,大腸がんのリスクが低下することが明 らかにされている.しかし,これを化学予防として用い ていくことの是非については,さらなる検討が必要であ る7).
2 家族歴
家族性大腸ポリポーシスは,大腸がん発生の遺伝的要 因として非常によく知られている.しかし,それ以外の 場合でも,大腸がんの家族歴は,大腸がんリスクを高め る重要な要因で,特に若年での大腸がん発症に家族歴と の関連が深いとされている.また,乳がんの家族歴を持 つ人での大腸がんリスクの増加も指摘されている.
 3 ポリープ
 大腸がんの大部分は腺腫性ポリープから発生するが, 一方,ほとんどの腺腫性ポリープは良性であり,がん化 するのは一部である.ポリープの大きさが大きければ大 きいほど大腸がんになるリスクが高くなる.また,ポリ ープのできやすい人は,大腸がんになるリスクが高い.
5.予防
前述したように,大腸がんのリスクファクターには, 主に食生活習慣の欧米化など,環境要因の寄与が大きい と考えられる.そのため,大腸がんを予防するには,生 活習慣などの改善による一次予防が重要で,動物性脂肪 や赤肉などの多量摂取を控え,野菜・果物や高繊維食を 多く摂取するよう心がけることが有効であると考えられ る.また,定期的に身体を動かし,運動不足を防ぐこと も大腸がんの予防にとって重要である.さらに,早期発 見による治癒率が非常に高いことから,大腸がんスクリ ーニングなどを活用して早期発見による二次予防効果を 高めていくことも大腸がんの予防には有効であると考え られる.

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