|
昨日あることがきっかけで、G.シュヴィングの名著「精神病者の魂への道」を読みたくなった。
この本は精神医学の世界は一つの古典だ。
自分が病気になって以来、精神医学に興味を持って、関連書をわかりやすいものから専門的なものまで読みあさった時期があった。
そんな時、福祉施設の貸し出し書棚に置いてあったこの本が目にとまった。
何やら古そうな感じである。
実際、古い文献だったが、その価値は読み始めてすぐにわかった。
本書は20世紀初頭、絶望視されていた分裂病(いまは統合失調症と言いますね)の患者との人間的接近を可能であると証明した症例が豊富に盛り込まれており、その価値は現在においてもなんら失われてはいない。
簡単に言えば、彼女が実践したのは「精神病だろうと一人の人格を持った人間であることには変わりない」という、相手を尊重した態度にのっとった接し方だ。
それは今でも「シュヴィング的接近」とか「シュヴィング的態度」という言葉が現役で使われているように、もはや基本中の基本ともいえる。
シュヴィング本人は結婚・出産を機に早々と引退してしまった。
理由は自分が一人の子供の母親になったことで、患者に「母なるもの(母性)」を与えることができなくなったとのこと。(現在はその「母性」を分析することは否定されている。母だろうがなんだろうが、一人の人間として尊重して接することにこそ、彼女のやり方の価値があるとされているからだろう)
彼女は自分が実践してきた価値ある技法を、後世に伝えることはしなかったようだ。
後にロジャーズの「非指示的療法」が登場するが、それの先駆的実践と言えよう。
さて、自分の話に戻るが、この本持ってたけどまだ家にあるかな?
一時期は精神医学を学びまくったわたしだが、ある時から「本を読むより現場の知識が大事だ!」と思ってたくさん本を処分してしまったので、もう家にはないかも。そっちの道に進むのを断念したこともあったので。
ただこの本、一人の精神障害者に囲まれて生きている人間として、読み物としてとても価値が感じられる今日この頃なのだ。もっと平たく言えば、おもしろい。
変な言い方かも知れないが、シュヴィングが患者と接し、患者の心が癒されていく過程を読んでいると、読んでるこちらも癒されるのだ。
そんなわけで、もう一度読んでみようかなと。
|