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〜マイク・モチヅキ氏(米ジョージ・ワシントン大教授)〜
結論を出すには早すぎるかもしれない。
だが1994年の選挙制度改革は、期待されていたようには、日本の政治を変えることはできなかった。
改革は英国の二大政党制議会に範をとったもので、小選挙区制によって政権交代可能な二大政党を生み出すはずだった。
二つの政党は、強い指導者が率いる結束力のある組織を持ち、具体的な政策目標を掲げることで、国民に明確なリーダーシップと政策の選択を示すと期待されていた。
民意が選挙結果や政府の構成に、より強く反映され、日本国民は民主政治に新たな利益と信頼を見出せるはずだった。
しかし残念ながら、先の総選挙は日本の政治がこうした理想とはかけ離れていることを示した。その一因は94年の改革が中途半端だったことだ。
比例代表制との並立制としたことで、本来は中選挙区向きの公明党や共産党などの小政党が生き残った。
一つの小選挙区に四人や五人もの政治家が乱立するため、選挙区全体の利益よりも、特定の集団の利益誘導を行うこれまでのやり方の方が効果を発揮し、それで当選する政治家はいまも多い。
選挙制度改革は、主要政党の性格を根本的に変えることもできなかった。自民党内は相変わらず、政策面でも、派閥という点でも内部分裂しており、その均衡に配慮するので明確な政策が打ち出せない。さらに党の指導者である自民党総裁は基本的には、政策や国民の支持ではなく、いまだに年功序列と派閥力学によって選ばれている。民主党は党首の選出方法がよりオープンではある。
しかし、やはり政策の不統一と派閥の問題を抱え、自民党に対抗できる明確な具体的な政策を打ち出せないままだ。結果として、日本の有権者は自民党と民主党にどんな違いがあるのか分からず困惑している。さらに、国内外で大きな試練にさらされているのに、自民・民主両党の指導者は、難しい決断を下すために国民を動員するのに失敗した。なにをなすべきなのか。
日本は、指導者不在の危機に対処するために大統領制を導入すべきだ。最近の韓国や台湾をみれば大胆な指導者の登場を促すには大統領制が優れた手段であることが分かる。全国一区となる大統領選では、候補者は全国民に向け訴える力が問われる。
政党は勝つための候補者を必要とする。年功序列や派閥力学にかまってはいられない。また候補者同士が互いに真剣な政策論争をすれば、有権者はそれぞれの候補者の資質を判断できる。
大統領は、選挙で付与された権限と大統領そのものの威信によって個別の利害を超越して、国家的利益を優先するよう、議会に求めることができる。さらに外交面でもより有効な政策決定ができ、国際的な危機にも即座に対応できる。
「一人の人間に権力が集中しすぎる」といって大統領制に反対する人もいるだろう。
だがフランスや韓国のように、議院内閣制に基づく首相と内閣を備えた議会主義的な制度の維持は可能だ。
もし大統領が国民が強く反対する政策を押し通そうとすれば、議会は大統領の権力をチェックすることができる。
いま、日本にとって不幸なのは政治権力が過度に集中していることではない。
むしろ、弱いリーダーシップと、政治の現状を変えようとしないことにある。日本は、政党が変わるのをいつまでも待つのではなく、この先待ちうける困難な課題に立ち向かうために大統領制を導入すべきだ。(原文は英語)
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