道路研究等

ドライブから政治まで。国民の生活が第一

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全221ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

7.26

最近は,政治の夏ですね。
都議会議員選挙で見事な結果となり,仙台市長選も敗北。
それでも,国会では相変わらず無理な答弁を重ねて非を認めず,稲田大臣の更迭もしない。ある意味,このまま本質が変わらずにいてくれた方が,あと1年国政選挙まで見えてきて良いのかもしれない。
まあ,閉会中審査の様子については,安倍政権擁護の陣営と批判の陣営(ようやく,そういう陣営が設定されたのは救いである。)が,それぞれ都合の良いところを抜き取り,前者は加戸氏を英雄視し,後者は前川氏を英雄視する。その泥仕合はまだまだ続きそうだが,久しぶりに左右の正面対決になっている。
2〜30代の男性は依然として安倍信者が多いようだ。それがなぜなのか・・・はよく分からんが,一説には,アベノミクスの影響で就職がしやすかったから,とか。しかし,それだと,我々30代は関係なくないか? ちなみに,http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8043.php
>有効求人倍率は1.1を超えましたが、それは団塊の世代が大量退職したのに新卒が100万人しかいないため、需給が逼迫しているというだけのこと。
これで,就職の恩恵論は説明が付く。アベノミクスとの因果関係は,ないか希薄ということだね。

さて,今週末は,大注目の横浜市長選である。横浜で働いているものの,市民ではないので選挙には行けず。誰に投じるかは別として,投票行ってください。
カジノが争点であるということが,少しずつは知れ渡ってきた頃だ。カジノに関する反対論は強い。
しかし,そうはいっても現職の高い知名度があり,反林候補が分裂し,組織票もある(連合は,面従腹背で一部流れそうだけど。)。現実に伊藤候補が勝てるかというと・・・よほどの新機軸がないと厳しいだろう。私も1票の加勢ができないしね。もちろん,番狂わせを起こすつもりで,自己暗示して勝手に受かったと思い込むくらいの気迫を出してほしいし,最後に人を動かすのは所詮理屈ではなく情だ。せめて,8時当確を封じるところまで追い込んでもらいたい。
神奈川って,都市部なのにリベラルが強くないのよね。我が平塚なんて典型だし(自民内で相対的にはリベラル,程度)。
それはそれとして,世論調査の内閣支持率は,着実に下がっている。かつて,鳩山政権が,毎週世論調査を浴びせられた光景の再来といえる。岩田明子や田崎史郎,松本人志などが必死に擁護しても無意味になってきたのは大きい。そのうち,御用ワイドショー文化そのものが消滅するかも分からんね。
さて,これまで,安倍内閣の支持率が高かったり,鳩山政権下では,「捏造世論誘導操作」などと言ってきたが,ここ最近になって急にその世論調査結果を援用する。
逆の陣営は,散々世論調査結果を民意だと擁護していながら,ここ最近になってメディアの世論捜査だと主張する。
http://ameblo.jp/sayamayotarou/entry-12294903747.html
>ネトウヨ達はシンゾー政権の支持率が下がると、世論調査がおかしいとか捏造だとか陰謀だとか騒いでいるようです。
彼らはシンゾー政権が高支持率だった時にはそんなことは全くおくびにも出さなかったわけで、むしろ世論調査の結果を支えにしてモノ申していたわけです。
そのご都合主義には呆れてしまいますが、逆にこちらの側もシンゾー政権が高支持率を維持している間は、世論調査自体信用できないと決めつけていたのが支持率が下がると急にその値を信用してしまうという同じ思考パターンに陥ってしまうことを戒めなければなりません。

全くの正論です。私も,結局はこの思考パターンに陥っていることを認めざるを得ない。本当の中立公平はあり得ないというところだろうけど,どうしたものかね。自己矛盾なく主張できる理屈があれば,教えていただきたいです(切実)。

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

豊田議員を考える

相変わらず雲隠れを続け,血税が垂れ流される豊田真由子様。
暴言の音声が公開されているが,こういうのって,子供がまねするんだよね。私も,試しに聞いてみたらなかなかのインパクトで,これはまねされるなと思った。人類の持つ攻撃本能が忠実に再現されているからというのか,そして,それが本能を制御しきれない子どもの格好のまね教材になる。元秘書との関係もそうだが,子供への悪影響という意味でも罪深い。
さて,豊田議員の経歴からして,すぐに「これだから東大は」とか,「頭はいいけど心がない」とか「勉強ができるだけで・・・」的な紋切り型の評論が現れる。豊田議員への適用としてはやむを得ないが,学部の後輩としては,余りそういうブーメランが来そうな表現は使いたくない。ただ,隣人を愛することができなかったということはいえるだろう。別にクリスチャンになれというわけではないが(なお,天下の桜蔭はキリスト教系ではない…はず。違っていたらすみません。),YMCA関係者としてはそう思わずにはいられない。
さて,この豊田議員に関しては,秘書が無能だから悪い的な意見が,メジャーではないにせよ散見される。しかし,その秘書の失態というのが,.弌璽好如璽ードの誤送付,▲ーナビに従ったことで,ショートカットルートを通らなかった,9眤逆走といった辺りである。
まず,蓮げ申讐鵑盍岼磴┐燭箸いΔ覆蕕泙世靴癲と觸颪すぐ辞めていく以上,多分間違えたとしても数回であろう。それで人格否定されて殴打されるのは明らかに比例原則違反である。ましてや,バースデーカードの送り先である支持者の名刺かるたで遊んでいた人間が何をかいわんやという話である。△杷妖櫃蕨棲阿任△蹐ΑH觸颪里擦い砲垢訖佑蓮い茲曚票分はノーミスで仕事をし続ける自信があるようだが,ひとたびやらかしたら,自分の首を絞めるだけだぞ。私はブーメランが怖くてそこまでできない。
ミスをしたら際限なく罵倒してもよい,ミスした方が悪いというのが豊田議員擁護論のロジックであるが,「いじめられるものにも原因がある」と同レベルの屁理屈の類いといえよう。
なお,については,そもそも本当に逆走の事実があるのか分からないが。仮に事実があるとしても,罵倒しても(ましてやたたいても)何の解決にもならず,まずは安全なところに止めさせ,助けを求めるなどするのが妥当であろう。ヒステリックに叫ぶのは小さな子供のすることである。
確かに,地元ではまめに顔出ししていたという側面はあるのであろう。あの暴言が豊田議員の全てだとまでは言わない。しかし,ここまで善悪の判断が付かない人間が,国権の最高機関の構成員という権力者になることはさすがに許されない。
議員は辞職すべきであるが,その後は,厚生労働省OGのお笑い芸人として,笑いという健康法を全国民に届け,本当の奉仕をして(別にお笑いでなくてもいいけど。)初めてみそぎができるといえる。議員復帰するのは,早くともそこからであろう。せっかくの金ぴかの経歴がもったいないのは事実だからね。牧師ではないので祝福を祈ることはできないが,真に反省して更生してからなら社会復帰の余地は残したい。それが,刑事弁護を業とする人間の発想である(ちなみに,豊田議員の妹さんは弁護士らしい。イメージでは,在学中に合格して4大にいる55期前後の先生…と推測。)。

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

都議選が終わった。当初は,政党支持率から考えて,40前後で,38を割るかどうかくらいだろうと思っていた。NHKの8時,自民の予測が13〜39と。さすがに,13はふざけた数字だろうと思っていたが・・・それに近かったね。さすがに30台とか,せめて20台後半にはなるかと思ったが,25にもならなかったという。文京区で落としたら,公明党以下というまさかの結果になったわけだ。
過去最低が38で,その更に半分近く,当初57から4割弱というものすごい数字。ワイドショーが,「とてつもない数字」と言っていたのがよく分かる。確かに,今後未来永劫起こらなさそうなものすごい数字である。
そもそも,8時の時点で自民党に誰も当確のない選挙というものを,およそ見たことがない。国政だと,どんな逆風の選挙でも自民党が勝てる選挙区というのはあるからね。しかも,最初の当確が出たのは1時間50分以上たってから。泡沫政党並みのスタートであった。さすがに,深夜は最下位当選組がちらほら出てきたものの,ほとんどが最下位ということだもんなぁ。
で,都民ファーストの影響で,いくらかは議席減少が免れないと言われた共産は,まさかの2議席も増加。そんなにドラスティックに共産党員が増えたという報道はついぞなく,ネットや産経が幾ら共産党たたきをしても,もはや相手にされていないということがよく分かる。産経はどちらかというと民進党たたきかw 実際,都議選の選挙区ごとの予測を紙媒体で唯一出していたと思われる『週刊現代』で,当選可能性について△にもなっていなかった,果ては,当選可能性が低く,名前の掲載すらオミットされていた(つまり,マック赤坂と同じくらいという泡沫扱い)共産党候補が次々と当選していたわけである。
私は党員でもなんでもないが,さもありなんというか,自民党も都民ファーストも信頼できないならば,共産が最強の受け皿になるのは必然だ。民進党もほぼ自民党みたいなもんだしね。今や,エンゲルスもマルクスも知らず,資本論もマル経も学ばなくても差し支えなく市民の受け皿になれているわけだから,一つのブランドが出来上がってきたといえるだろう。設立から95年近くで,理屈上は現行で一番息の長い政党である。昔の公民の教科書だと,末尾に日本の政党の変遷の矢印図があって,共産党だけ一本の矢印が長く伸びていたのが非常に印象的であるw
さて,都民ファーストのチルドレンの質がどうかという問題はさておき。小池知事が代表を降り,次の代表も小池知事も実は極右タカ派であるということは,余り報じられていない。その意味で,第2自民党じゃないかという声は根強いし,正しい。
ただ,それでも,今回に関しては,応援せざるを得なかった。まずもって,安倍政権を揺るがせることができるなら,ある意味誰でもよい。まず民主主義社会自体が存続しない限り,次の理想を論じても無意味だからである。そして,国政選挙が,今後1年以上ないということ。衆議院は,任期満了なら来年末だし,参議院は2019年。ちなみに統一地方選も同じ。さすがに,あと1年以上すれば,もりそばもかけそばもネタが尽きて,さすがに有権者も忘れる可能性が高い。ここでしか倒すチャンスが事実上ないということになる。そういう安倍政権打倒の可能性に賭けるしかなかったのも事実である。
また,公明党の組織力は顕著だった。これがなくなると,ここまで自民は地盤沈下するということであろう。東京都政限定の分裂であったが,今回をきっかけに,国政の結合が揺らぐことも期待したい。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170704-00134039-diamond-soci
共産を過度に敵対視する点は賛同できないが,自公分断を狙うというのは,それができれば理想的である。かつて,提督の決断の攻略本で,日本軍が,まずイギリス植民地の基地で扇動して対米友好度を下げ,米英同盟を破棄して中立国になってもらってから,外交使節派遣で対日友好度を上げ,日本の同盟になってもらうという戦略があると書いてあった。やったことはないけど,理屈は同じだろう。

さて,事件後,閉会中審査に条件付で応じるということになった。しかし,「こんな人たち」発言は,今までどおり「全く問題ない」と菅官房長官は平常運転であったし,稲田大臣は変えないし,改憲論議の行程は変えないということで,やっぱり本質は変わっていないw しかし,そのままの本質があと1年続けば,逆に国政選挙がやってきてチャンスになるかもしれない。

また,この選挙の戦犯の一人と言われる豊田議員。
大学の大先輩がなぁ・・・・。余りにも頭が良過ぎると,やっぱり良くないということかね。私みたいなまぐれ合格者とはレベルが違うんだろうし。
普段テレビを見ないので,音声を確認してこなかったが,いざ聞いてみると,あきれるより前に笑ってしまう。気の毒だが,ワイドショーに引っ張りだこになるのも分かる。
ネットのコメントでよく見られたが,お笑い芸人の素質はありそうである。ハーバードにも行ったわけだから,パトリック・ハーランと組んでハーバード卒超高学歴芸人コンビでも結成するとか,パワハラネタでM−1(最近終わったという話だったような・・・。)に出るとか,芸能界に転進すれば生きる道はあると思う。杉村太蔵氏もタレントとして第2の人生を送っているしね。そのためにはまず野々村元議員が先鞭を付けないと駄目か。
いずれにせよ,せっかくの超エリートの経歴は一生使えるわけだから,うまく使ってほしいとは思う。くしくも,旧厚生省出身ということで,笑いという健康法を自ら世に広める,みたいな。

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

共謀罪(6・完)

第3 国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による日本政府への書簡について
 1 はじめに
    以上で,共謀罪の3大論点というか,監視社会になるかどうか,TOC条約締結のために必要かどうか,テロ対策のために必要かどうかといったところは,おおむね論じることができたと思う。ほかにも,平成19年時点では自民党内ですら対象犯罪を128まで絞った案が出ていたとか,治安維持法制定時の政府説明と共謀罪法案の政府説明が酷似している(朝日新聞平成29年3月16日(だったかな?))こととか,内心の処罰の意義とか幾つか述べたいところもあるが,その辺はもっと専門の先生に任せるとして。
    いいタイミングで国連特別報告者から批判の書簡が来て,それに対してガン無視を決め込んだ政府のやり取りが出てきた。これについても,反ばくは十分可能であるから,最後にこの点を詳述する。
  2 http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf 原文は,もちろん英語。その中身については,適宜調べていただくとして。これが国連の意見かどうかということが,やたらと問題となっている。
   これに関しては,幾つかの視点を挙げながら交通整理するほかない。
    まず,書簡は国連のレターヘッド付きであり,国連のHPで見られる。とすると,安保法案のときのように「一個人の見解」として無視するのはおかしいように見える。他方,特別報告者は独立の専門家として,人権理事会に報告することができるが(まあ,さしずめ少年事件の家庭裁判所調査官のようなものか。調査官が家裁から独立しているかはよく分からないが・・・。),これが採択されれば国連の意見となる。裏を返せば,まだ採択されていない以上,形式論理としては「国連の意見」でないということになる。
    ここまで見ると,理屈としては菅官房長官は間違っていない・・・ようにも見える。しかし,そうはいかない。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000175307.pdf 人権理事会理事国選挙における日本の自発的誓約である。2頁第2段落
>また,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や特別手続の役割を重視。特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため,今後もしっかりと協力していく。
なるほど,確かに,対話した結果として,特別報告者の指摘を受け入れないということはあり得る。しかし,現在のように,そもそもおよそ対話もする必要がない,無視してよいという姿勢は,どうあがいても「有意義かつ建設的な対話」でないことは明らかである。
さらに,元国連北朝鮮人権状況特別報告者のマルズキ・ダルスマン氏は,として,今年春の叙勲を受けている。
http://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/29haru/meibo_gaikokujinjokun/kyokujitsu-zaigai.pdf 3頁
つまり,これまでの日本政府は,一貫して,国連の特別報告者をひとかどの人物として遇してきたのである。で,ケナタッチ氏だけは攻撃する。よほどひねくれた思考をしない限り,この違いは,自分に都合のいい特別報告者は称え,都合の悪い特別報告者は攻撃するか徹底的に無視するということでしか説明できないであろう。
  3 一方,大マスコミは,サミットの際,国連事務総長が,「国連の総意を示すものではない。」と安倍首相に話した(言質を取った)と報道し,与党もこれで勢い付いた。だが,これは,正にトランプ大統領もびっくりなフェイクニュースである。
https://www.un.org/sg/en/content/sg/note-correspondents/2017-05-28/note-correspondents-response-questions-meeting-between
   要するに,表題は,「記者への注意:安倍首相と事務総長との会談の席における質問への回答」とでもなろうか。はっきり,安倍首相と事務総長とのやり取りと特定している。このうち第3段落の訳であるが,「特別報告者について、事務総長は首相に、特別報告者は国連人権理事会に直接報告をする独立した専門家であると説明しました。」となる
https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20170529-00071465/)。普通に大学受験英語をやっていれば,自力で訳せるかはともかく,この訳を見て違和感はなかろう。要するに,事務総長は,「必ずしも国連の総意を反映するものではない」などとは一言も言っていないのである。外務省が曲解して(少なくとも,尾ひれをつけて)このように創作したものを報じさせたようである。
    政府は,これを突き付けられても「見解の相違」などと一蹴するであろうが,真実がどこにあるかは論ずるまでもない。
 4 小括
    以上のとおり,ケナタッチ氏の指摘する内容の当否をおくとしても,同人を無視してよいという政府の主張は,これまでの特別報告者への態度と矛盾し,国連事務総長もそれを支える発言はしていない。
    よって,ケナタッチ氏の指摘も踏まえ,参議院できちんと審議していくべきである。
(完)

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

共謀罪(5)

イ 51パラグラフは,もっと露骨である。「関連する法的な概念を持たない国においては、共謀罪又は参加罪という名の制度を導入することなしに、組織犯罪に対して効果的な措置を講ずるという選択肢は許容されている。」
     この立法ガイドを見る限り,何をどうやっても,共謀罪が絶対必要というのはうそである。むしろ,先述したように,日本ではそこそこ広範に予備罪の規定があったり,共謀共同正犯理論があったり,テロ関係は既に立法済みであること,銃刀類はおろかドライバーの所持まで厳しく規制されていることなどを併せ考えれば,既に「組織犯罪に対して効果的な措置を講」じているといえる。
  ⑵ア さて,現行法では足りないことの論証として,政府は,ハイジャック犯人が航空券を買ったり,化学兵器テロリストが危険な化学物質の原料(サリンなど)を調達しても予備罪に問えないという事例を出してきた。しかし,航空券を買うのもサリンを調達するのも,普通に考えて予備行為そのものであるし(殺人のために刃物を買うのと同じ。),具体的な行為であるから共謀罪のあるなしとは関係ない。刑法の教科書を見れば普通に推論できるし,そもそも単なる常識でも,それこそ予備だろうというレベルである。この事例が論破された後,ほかに,何か現行法では足りない事例というのは,ついぞ聞いたことがない。
     安保法制のときもそうであったが,結局,この法律が必要という具体的事例はまともに示せず,とにかく勇ましい抽象的な言葉だけで強行採決し成立させようとしているというのが現状である。本来,法律というのは,これまでの解釈論ではどうあがいても対応できない現実の問題(立法事実という。)があるから作るのであって,立法事実もなしに,しかも国民の権利を制限する法律を作るということは,それ自体が異常事態といえる。この点は,知らないと誤解しがちであるが,「何となく必要性がありそうだからいいんじゃないの。」というわけにはいかない。
イ ただし,金田大臣は答弁していないようだが,
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji35-2.html
法務省が,平成18年時点で,詐欺罪や人身売買の罪は予備罪も共謀罪もないからこれが必要性を示す具体的な事例になると説明している。そして,民進党は,この法務省の主張に応えるかのように,詐欺罪や人身売買罪の予備罪を導入するというパッチワークを対案として提示した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017050302000136.html
この限度では,反対派も支持する意見が強く,市民も誰も反対しないであろう。
4 なお,ここで,テロ対策のために必要という主張に反論しておく。
    ⑴ そもそも,TOC条約の目的は,経済的な組織犯罪対策である。テロ対策の条約ではないから,根本的に前提を欠く。それすら安倍政権を信じる人のために,根拠を出しておく。
まず,条約案の採択自体が平成12年11月15日であり
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty156_7.html),9.11テロの前である。9.11まで,テロが国際社会の懸案として大きくクローズアップされてはいなかったでしょう。実際,条約2条の「組織的な犯罪集団」の定義として,「金銭的利益その他の物質的利益」を得ることを目的として重大犯罪を行うことを目的とした団体であるとされているが,テロリストは金銭や物質的利益を求めていないから,これに当たらない。立法ガイドにおいても,政治的,宗教的なテロリズムを除外することが明記されている(パラグラフ59)。
皮肉なことだが,法案別表第3は,各種税法や各種知的財産法,詐欺破産罪など,どう考えてもテロとは関係ない単なる経済犯罪の規定が目白押しである。法務省だって,本質は経済的な組織犯罪対策だということは分かっているはずである。
    ⑵ 実際,法案でも,提出直前にようやく「テロリズム集団」という言葉が加わったが,余りに遅い。これについては,忘れていただけで,提出してからは加わっているから問題ないという反論があり得る。
しかし,これは内閣提出法案である。安保法制では味噌を付けてしまったが,内閣法制局がチェックしたものを法案として出すことになる。テロ対策のための法案なのに,テロのテの字もない法案を法制局がスルーするという,滑稽なことはあり得ない。明らかに,提出時には予定していなかったが,政治主導で無理やり加えたと見るほかない。そして,「テロリズム集団」,テロの定義はない。例えば,同じ安倍政権下の法律として,かの有名な特定秘密保護法12条2項1号第2括弧書では,テロリズムの定義がある。共謀罪法案では,その引用,コピペすらしていない。これは,とにかくテロという言葉さえ法案に入れれば何でもいいという発想の現れである。
⑶ 以上のとおり,テロ対策は国民だましの口実で,実際に共謀罪でテロ対策をするという意図や思い入れは全く見いだせない。したがって,「もともとのTOC条約の趣旨から外れるとしても,テロ対策も兼ねているならいいじゃないか。」ということにもならない。
 5 小括
    以上のとおり,TOC条約の立法ガイドからして,絶対に共謀罪を作らなければならないとはいえないし,国連も国際社会も誰も言っていない。また,実質的にも,日本の現行法は組織犯罪に対して効果的な措置を講じているといえ,これで足りないことを示す事実は何一つない(せいぜい,3⑵イで述べた詐欺と人身売買の予備罪を加える程度である。)。テロ対策は,そもそもTOC条約と関係ない。
よって,TOC条約締結のために新たな立法をする必要性はおよそ存在せず,さっさと条約締結すればよい。そのようにすることは,条約に関する事実上の慣行からも優に許される。百歩譲って,それで国際社会からリクエストがあれば考えるというので十分である。むしろ,今のままでは日本がTOC条約に加盟できないと主張する国や国際機関があるなら教えてほしいが,そのような国外の意見はついぞ聞いたことがない。)。

(続く)

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

全221ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事