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参院選:安倍信任・自民候補の質・立憲の美人候補

2019年07月22日 00:10



この選挙戦の期間中に予想していた通りになった。自民・公明は地滑り的勝利を得た6年前ほどではないが、3年前を上回る勝利を得た。消費税引き上げという人気の無い公約を掲げ、また、一人区で共産党が独自候補を下ろすなどして野党統一候補がそろったなかでは、十分すぎる勝利だ。
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開票速報を見守る安倍総裁(NHKニュースより:編集部)
とくに比例区の数字の良さが目立つのだが、それだけに、1人区での取りこぼしはまことに惜しいことだった。
しかし、これは負けるべくして負けたのであって、取りこぼしをしたところも、接戦だったところも候補者の質に問題があった。
その点は、結果が出てからいっても後付けと言われそうなので、7月10日に「自民候補者の質に疑問 〜 衆参入れ替えが必要」というタイトルで投稿しておいた。その要旨を繰り返しておく。
必ずしも水準として劣ることをストレートには意味しないのだが、すくなくとも、全県区向きとは思えないのだ。
自民党の場合、野党に比べても、衆議院議員のほうに良い人材が偏在している。もちろん、衆議院優越が憲政の伝統であって、首班指名権も不信任の権限も衆議院だけがもっているのは動かせない。
しかし、①選挙制度上も、参議院の方が野党に有利な制度になっており、与野党逆転の可能性は参議院の方が確率が高くねじれ国会となって国政はマヒしがちだ、②解散がある衆議院と違っていったん選ばれると6年間挽回できない、③定数が衆議院より少ないので、一人あたりの重みはむしろ衆議院より重いのである。
ところが、政治家は衆議院議員になりたがる。なぜなら、閣僚になるチャンスがより大きいし、参議院ではボス支配が続いており、政策的に優れた能力をもっていても活躍の場は与えられにくいからだ。
さらに、選挙では、人口が30万人くらいが標準の衆議院に比べて、選挙区が全国だったり、全県だったりするのでコストがかさむ。そこで、地方議員の手助けを得るのが手っ取り早く、たとえば県議会の古手議員など自民党の組織を使っていちおう必要最小限の選挙活動をして、固い自民党支持層を固めるのに向いた候補者を立てがちだ。
しかし、これは、浮動票をとれない。「華がある」野党系の候補が優位になることが多くなる。
個別の事例では、新潟では塚田議員の「忖度発言」を、大した話でないとかわす手もあったのだが、政府首脳などが厳しく糾弾した。その一方で候補の差し替えはしないというちぐはぐなやり方は自殺行為だった。
自民党は弱い候補の入れ替えを積極的にしない限りは、今後もこうした取りこぼしを繰り返すだろう。どうすればいいかといえば、ひとつは、衆議院と参議院の入れ替えだ。衆議院だと華がなくても地道な行動ができればやっていける。参議院の独立性はこれまでのように重視しないが、そのかわり、閣僚などの枠を増やせばいい。
また、党の資金配分を参議院により厚く配分し、一般的な知名度が高まるような活動をさせるべきだろう。優れた人材が参議院から衆議院に鞍替えなどするのはやめたほうがよい。
3年後に向けてすぐにでもそうした作業を始めるべきだと思う。
立憲民主党が、若い美人ばかりを極端にそろえたラインナップで臨んだのは誠にみっともなかったし、多様性といいながらなんたることかと、その“女性蔑視”ぶりに厳しく反省を求めるべきだと思う。
学歴や経歴などでの偏りは、専門知識の有無もあるから、仕方ないが、容姿での偏在は絶対に肯定する理由がない。
そんななかで、関西では、京都(女性有名評論家のパートナー)、大阪(美人弁護士)、兵庫(記者会見で公約もいえなかった女子アナ)の美人候補が枕を並べて落選したのは、関西人の矜持を示したもので誇らしい。
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「美人」候補は東西で明暗(立憲民主党サイトより:編集部)
しかし、東京での女性候補など、かつて妊娠したと騙して男性から高額の慰謝料をとったなどとテレビで自慢していた人が上位で当選するなど信じがたい。
思うに、過去にイレギュラーなかたちで男性に媚びてきたようなことをしてきた女性を、女性の権利拡大や多様性の象徴とするのが正しいのか。
たとえば、過去にいささか恥ずかしいことをしたとしても、それが男性に騙されてとか生活に窮してと言うならそれを問題にするのは、よくないかもしれない。しかし、蓮舫氏にせよ、山尾志桜里氏にしても恵まれた環境で育ってきた人であってそういう同情をする対象でないし、今回の美人候補たちも同様だ。
女性候補の過去を問題にすることをはばかる社会風潮もあるが、私はそれはおかしいと思う。
やはりまっとうな女性こそ擁立してほしいと女性は思っているのだと思う。京都や大阪の票の動きを見ると、美人候補に男性は好意的だったが、女性は支持しなかったことが明らかになっているが、健全なことだと思う。さすが、オレオレ主義に詐欺にも騙される割合が少ないという大阪のオバチャンの面目躍如だ。
自民党にとってのもうひとつの課題は、支持率の高い若年層の投票率の低さをどう向上させるか工夫することだろう。
公明については、私も書いたが、複数定数区で自民から票を分けることがなんとかうまくいったように思う。これは、公明党に対する連立パートナーとしての政権と自民党への信頼を高めるのではないかと思う。
国民民主党は、やはり共産党との共闘は断固拒否すべきだったのではないか。いったい、立憲民主党と何が違うか分かりにくかった。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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参院選2019:ネット票「想定外」のヤマは動くか

2019年07月20日 21:30



2019年の参議院選挙も選挙運動は今日で終わり。21日の投票日を残すのみとなった。ここまで新聞・テレビの世論調査で自民・公明の与党の過半数維持の見通しは伝えられている一方、先日のVlogでも述べたように、急速に若い世代を中心に支持を広げている山本太郎氏率いるれいわ新選組などの動向について、固定電話による調査方式を主体としてきたマスコミの世論調査がどこまで「実態」を反映しているのか、興味深い。
れいわ新選組を巡っては、SNS上での盛り上がりに止まらず、リアルでも各地の街頭演説会場で、ほかの政党などが動員をかけた場合よりも大勢の人たちを自然発生的に集めている。しかし、一般紙やテレビではほとんど取り上げられず、その支持層からは「陰謀論」まで飛び出す始末だ。
現時点でのれいわ新選組は政党要件を満たさず、「諸派」扱いとされているため、通例の選挙報道の業界ルールに基づいて扱われているに過ぎない。マスコミ露出で劣っている分、ネットでの注目度は高く維持したまま、どこまで健闘するのか?中でも、重篤の障害者2人の候補者を特定枠に宛てた分、山本氏が再選するには3議席以上の確保、つまり比例で最低でも350万票は獲得する必要がある点も含めて注目される。
また、東京選挙区でも、マスコミ各社の情勢で当落ライン上での激戦が伝えられる維新公認の音喜多駿氏のように、ブログやSNSで精力的に発信してきた成果がここで出るのかも見ものだ。音喜多氏と同じ30代の有権者の固定電話保有率はすでに3割を切っており(参照)、筆者が独自に入手した各社の世論調査を見ると、固定電話のみの方式と、携帯なども交えた方式で、ポイントに有意な差も一定みられる。
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吉村大阪府知事の応援を受ける音喜多氏、柳ヶ瀬氏(音喜多氏ツイッターより:編集部)
ネットでの反応とマスコミ報道の差を考える上で興味深いデータがある。今回の参院選、選挙業界関係者の注目を集めたプロの分析データだ。元民主党衆議院議員で、現在は政界を引退してWEBアナリストとして活躍する村井宗明氏が多角的に各政党や候補者などのサイトへのアクセス等の動きを多角的に分析し、無償で公開している。
東京選挙区では、マスコミの情勢調査で6〜7番手と伝えられる音喜多氏の検索数が6月時点で塩村文夏氏に次いで2番手。HPへの流入数はダントツの首位。
音喜多氏と競り合い、僅差でリードしているとみられる立憲民主の新人、山岸一生氏はHPへの流入はほぼゼロだったといい、村井氏が「デジタルではなくアナログでの活動に希望をかける」と指摘してきた効果があったのか。立民支持層は、団塊シニアなどオールドリベラルが主体と俗に言われるが、それを裏付ける形になるのか、この点も興味深い。
一方、村井氏は党派別のサイトの分析もしている。これによると、注目のれいわ新選組のアクセス数は立憲民主を上回り、自民、共産、公明に次ぐ4位。検索流入数に至っては自民に次ぐ高さで、ネット主体で浸透してきた経緯をデータでも裏付けている。
中盤までの情勢報道では、れいわ新選組の比例票の獲得は社民党を下回る150万票程度、1議席の確保とみる向きもあったが、ここにきて、ある報道機関の期日前投票の出口調査では、社民党を上回り、4%程度も出ている。一般的に支持政党がない層は終盤に投票先を決める傾向が強いことから、勢いを伸ばしている可能性が高く、政党要件を確保するかも含め、最終結果が注目される。
また、ネットで「想定外」の得票といえば比例選だ。
まずは2016年参院選の比例選で、ネットを主体にした選挙活動で野党候補者最多の29万票を獲得した山田太郎氏が、今回、自民党から出馬して再度の票を獲得するのかも見ものだ。野党から与党への鞍替えとあって、支持層の反応が気になるところだったが、山田氏は前回の自民党比例候補者の最多得票が52万票だったことから、これを更新するという強気の目標を掲げて出馬した。
そこまで届くかはわからないものの、こちらも各種情勢調査では、堅調に支持を伸ばしているようで新たなサプライズが起これば、「自民党の比例候補者は業界団体などの組織選出」という従来のカルチャーに一石を投じよう。
ネット注目の比例候補者、もう1人は、維新の藤巻健史氏。先日、筆者が書いたように暗号資産(仮想通貨)ユーザーは30代など固定電話離れをした世代が主体。既存の世論調査が把握できていない層が動くのか、暗号資産の本格普及から初めての参院選ユーザーの投票動向だけに彼らの政治思考を探る上でも興味深い。

なお、アゴラ執筆陣では先述した候補者を含め、5人の方々が今回の参院選に出馬している。それぞれの武運を祈りたい。
(リンク先はアゴラの記事アーカイブ一覧)

新田 哲史   アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」


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立憲民主女性候補は、経歴は多様だが美人ばかり

2019年07月19日 06:02



旧民進党もそうだったが、立憲民主党も多様性がセールスポイントである。旧民進党は多様性の象徴として蓮舫さんを代表にして、二重国籍を非難したら、多様性を否定する思想が根底にあるなどと無茶苦茶な切り返しをしてきた。法律上認められないことをすることが多様性とは驚きだった。
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蓮舫氏と市井紗耶香氏(市井氏ツイッターより:編集部)
この前の週末、枝野代表は、「たださえ人口が減っているのに多様性を認めないとますます減る」といって「同性婚」などに前向きな対応を求めていた。同性婚を認めたり、子どもを産むも産まないも自由だから、子づくりを誉めたり奨励するなというのは、私は賛成でなくてもひとつの考え方であることは認めるが、さすがにそれが少子化対策になるはずはなく支離滅裂だ。
そして、多くの多彩な価値観を代表する女性候補をそろえたと言うが、妊娠したと嘘を言って男性をだましたとか自慢したり、自分の公約を覚えられずに「なんでしたっけ」と可愛らしくごまかすのが多様性だというのは、履き違えている。
さらに、気がついたのは、蓮舫さんや山尾志桜里さんが幹部だけあって、比較的若い美形の候補をそろえていることだ。
ものは試しに、女性公認候補全員の写真を党のホームページから拾って集めてみれば、多様性どころか、かなりの高レベルの美しい女性ばかりだ。偶然にこうなったといっても誰も信じないだろう。
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左から亀石倫子氏(大阪)、塩村文夏氏(東京)、安田真理氏(兵庫)(立憲民主党サイトより:編集部)
少なくとも他の党は、さまざまなタイプの女性をそろえてこんな風にはならない。それに比べて、立憲民主党は容姿についてかなり高いハードルをもうけているのではないかと言われても仕方あるまい。こういうのこそ、本当の女性蔑視だと思う。
ほかの党はもう少し真摯だ。自民党には女性最初の知事も4人目の知事もいるし、ほかの党も立憲民主ほど人寄せパンダ的な人選はやっていない。猛省を求めたい。
日本では、テレビのキャスターだって、外国では低いしっかりした声の、ジャーナリストとして経験豊かな女性が多いが、日本は男性ならキャスターにしてもらえるはずもないほどの経験の浅い若い美形の女性を起用して薄っぺらな解説をさせている。
私は男女機会均等の擁護者だが、それは内容のある女性が大事にされるのでなければ意味がない。おりしも、EUではフォンデルアライエン独国防相が委員長に、欧州中銀の総裁にはラガルドIMF専務理事が就任する。いずれも、経歴として男性の候補とは少なくとも対等の人たちだ。

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八幡 和郎
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アメリカ人がマイホームに食指を動かさないのは...

2019年07月18日 06:00



主にオンライン小売を表わす無店舗のほか、外食がけん引しましたね。前月比で外食は0.9%増、6ヵ月平均でも0.7%増となります。小売売上高に占める外食の比率は12.4%と自動車や無店舗に次いで大きいだけに、決して無視できません。
小売売上高に占める外食、無店舗に続いて伸びが著しい。高齢化社会を迎え、オピオイド問題に揺れながら、ヘルスケアを超えています。
その外食ですが、アメリカ人が最も無駄遣いしていると判断する項目でもあります。保険会社プリンシパルによれば、3人に1人(29%、前回は26%)が後悔している有様です。米労働統計局の調査では、1人当たりの外食支出額は前年比6.7%増の3,365ドル(約36万円)と、2016年の4.9%増から加速していました。
では、外食の回数が増えたのでしょうか?ギャラップが2016年に実施した調査では、1週間に1回以上外食するとの回答は61%でした。2008年の60%と変わらなかった一方で、2003年の66%から低下していたんですね。また、1週間に1回ペースで外食しないとの回答は38%と、2003年の34%から上昇していたものです。
外食の頻度が2003年から減少した背景として、世代交代が考えられます。最も人口比率の高いベビーブーマー世代の年齢が上がるに従って、外食を楽しむ中高齢層のアメリカ人が減少したのではないでしょうか?低金利時代に突入するなかで、外食のインフレ率も上振れすれば、尚更です。
「マイホームが欲しいなら、アボカド・サンドウィッチを諦めればよい」との言葉があるように、ミレニアル世代など若い世代では、外食の頻度がグッと上昇します。1週間に外食なしの回答が55歳以上で50%だった一方、18〜34歳は28%にとどまりました。逆に18〜34歳で1回以上外食するとの回答は70%と、55歳以上の50%を大きく上回ります。
確かに、毎年の外食支出を貯金にまわせば数年で住宅購入向けの頭金となりますからね。住宅保有率がなかなか上昇しないのは、若い世代での食費の無駄遣いがあったり?そういえば、ジョン・レノンが最期の瞬間まで住んでいたことで有名なダコタ・ハウスに長年いらっしゃる日本人女性が「食事や衣料など消耗品にお金は使わない」と豪語していましたっけ。彼女はたった一人で移住し、巨額の富を築いた投資家ですから、その言葉の重みが身に沁みます。
(カバー写真:Ellensburg Downtown Association/Flickr)

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年7月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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韓国への半導体材料輸出規制はどんな内容か?(特別寄稿)

2019年07月03日 17:10




1. 記事の主旨

措置としては大きく
①韓国の輸出管理上のカテゴリー見直し(ホワイト国から非ホワイト国へ)
②フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の韓国向け輸出および製造技術の移転(装置の輸出に伴うもの含む)を包括輸出許可から個別輸出許可への切り替え
という二つがある。
この措置は日韓関係の将来を左右する極めて重要な意味を持つので、この制度改正については日韓共にセンセーショナルな報道がなされている。そこで、ここでは議論の土台として、この措置に関する正確な理解を促すために、以下やや煩雑となるが制度的に正確な説明をすることとしたい。
http://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2019/07/6723711381_a834019e84_z-e1562137744462.jpg
輸出規制の影響を受けそうな韓国製半導体(サムスンニュースルームflickrより:編集部)

2. 韓国に対する輸出管理措置の概要

①韓国の輸出管理上のカテゴリー見直し(ホワイト国から非ホワイト国へ)
国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
としており、原則として安全保障上重要な貨物の輸出は許可制となっている。
ただしこの規定に関しては例外として輸出貿易管理令第4条で特例措置が定められており、同令に基づき指定された国(いわゆる「ホワイト国」)に関しては適用が限定される。
今回の政令改正は韓国をこのホワイト国リストから除こうとするもので、現在パブリックコメント中だが、順当に行けば、おそらく8月中旬〜後半ごろに「韓国の非ホワイト国化」は実施されるものと見込まれる
②フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素韓国向け輸出および製造技術の移転(装置の輸出に伴うもの含む)を包括輸出許可から個別輸出許可―審査への切り替え
前述の第48条に加えて外為法第25条では
国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
としており、こちらでは技術移転の管理をしている
この外為法 第48条 第25条に基づく許可に関して、経産省は特例的にホワイト国を対象とする一部取引について最大3年を限度として一括して許可を行う「包括許可制度」を運用しているが、韓国は現状ホワイト国でありながら一部品目については包括許可の対象から取り外すこととした。経産省はこのために韓国のみを対象とする「り地域」(以下参照)とする分類まで創設している。
つまり今後は韓国だけを対象とした貿易管理が可能となった。
この制度を利用して経産省は韓国を当面ホワイト国としたまま、以下の品目について包括許可の対象から除き、今後は技術移転も含めて個別の契約ごとに許可が必要とした。またあわせて契約の許可の審査は各地方局ではなく、経済産業省本省が自ら審査するものとした。
①軍用の化学製剤の原料となる物質又は軍用の化学製剤と同等の毒性を有する物質若しくはその原料となる物質として経済産業省令(=貨物等省令第2条第1項第1号へ)で定めるもの
→これが「フッ化水素」にあたる。なお、正確にはフッ化水素の原料となる物質(貨物等省令第2条第1項第1号イ〜ホ)も含まれる。
②結合ふっ素の含有量が全重量の一〇パーセント以上のふっ化ポリイミド(貨物等省令第4号14号ロ
③レジストであって、次のいずれかに該当するもの又はそれを塗布した基板(貨物等省令第6条第19号
イ 半導体用のリソグラフィに使用するレジストであって、次のいずれかに該当するもの
(一)一五ナノメートル以上二四五ナノメートル未満の波長の光で使用することができるように設計したポジ型レジスト
(二)一ナノメートル超一五ナノメートル未満の波長の光で使用することができるように設計したレジスト
ロ 電子ビーム又はイオンビームで使用するために設計したレジストであって、〇・〇一マイクロクーロン毎平方ミリメートル以下の感度を有するもの
ハ 削除
ニ 表面イメージング技術用に最適化したレジスト
ホ 第十七号ヘ(二)に該当するインプリントリソグラフィ装置に使用するように設計又は最適化したレジストであって、熱可塑性又は光硬化性のもの

3. まとめ

以上のように今回の制度改正は
①韓国をホワイト国から除く手続きに入った
②韓国をホワイト国にしたままでも広範な輸出管理を行える新たな制度を作った
という二本立てからなりたっている。
いずれの措置も既存の貿易管理の枠内で、新しい制度を作ったものである。その意味では日本は現行制度の中でできることをしたまでだが、韓国を狙い撃ちにした制度であることは間違い無く、韓国の「WTO違反」との指摘もあながち根拠がないわけではない。
一部には「個別同意にしても他の国並みで、いずれにしろ輸出が許可される可能性は高いのだから問題ない」という声もあるが、私見としてはそうは思えない。貿易管理の枠組みにおいて本省自ら個別契約の審査をするのは「原則NG」とするものが中心で、ある程度運用が固まり事務が地方局に降ろされるまでは輸出制限に近い効果が生じるものと思われる。
個別品目が韓国産業界に与える影響や、この措置の是非自体については、本稿の目的を超えるのでまた別の機会があればまとめることとしたいが、仮にこの措置が長期化した場合、韓国産業界の命運は日本の経済産業省に握られることになるのは間違いないだろう。

宇佐美 典也   作家、エネルギーコンサルタント、アゴラ研究所フェロー
1981年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、経済産業省に入省。2012年9月に退職後は再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開する傍ら、執筆活動中。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、』『逃げられない世代 ――日本型「先送り」システムの限界』 (新潮新書)など。


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