遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

……静かに、涙が頬を流れるのを感じた。彼は黙っている。
私が父のいない子だったことを彼は知っている。でも、彼は父親になったことはないはず。でも、彼も私の気持は分かっているのだろう。
甘えたい、父親に。子どものように。それが分かって、もっと甘えたら、と言ってくれたに違いない。
彼は私が泣きやむのをじっと待っていた。私を見てはいないのだが。
私がそっと涙を拭くとすぐ、
「おんぶしてあげようか」
と言い、立ち上がって、私を子どもを背負うように、おんぶしてくれた。私の両脚を腕にかかえて。
心が安らぐ。彼と接触しているから、からだが暖かく、体温が快よく、じーんとしてくる。彼はそうして部屋のなかをぐるぐる何度も回ってくれた。
「大きな赤ちゃんだから、重くなってきた」
と言って、私を前に抱き抱え、ソフアに座った。
「泣きたいときは、いつでも泣けばいい。私と二人のときには」
と彼は微笑んで、私の頬に残る涙のあとをキスしてくれる。
私は快い安らぎのなかにあって、彼にくっついて横になった。
「こうしてていい」
「いいよ、ジュンコちゃん」
私はやっと楽しくなり、子どもの頃のようにコロコロと笑った。
私を癒してくれる、彼のこの優しさは何なのだろう。私は多分、母を失った悲しみを、心の底深く押し殺していたのに違いない。
彼の優しさは、彼が悲しみを十分に知っているから、相手の悲しみがよく分かるのだろうと私は思った。
彼は悲しみを、子どもの頃から、ずーっと抱えて生きてきたのだろう。私がひとりの彼を思い浮かべるとき、彼がひどく孤独に思われるのは、それが彼の本当の姿だからだろう。
彼は私を愛してくれる。でも、私は彼の孤独を癒しているだろうか。私は若くて彼を癒すような力はない。私が彼のものになり切れば、そして彼の悲しみを少しでも代わりに背負うことができれば。 
「洸さん、私、甘えてばかり。私は洸さんに何もできないわ」
「きみと出会ったことは私にとってこの上ない喜びだよ。楽しそうなきみを見ているだけで、私は心が和らぐ」「何もしてくれなくていいんだよ」
そう言って、
「ジュンコはいい子だね。美しくて、心がやさしくて。かわいいジュンコ」
彼はまた、キスをした、甘い甘いキスをした。私は彼に抱きついて、心もからだも心地よくとろけていった。

作品としては一流とは言えない。エリア・カザン監督。
主演のマーロン・ブランドは表情が単調で面白みがない。
アカデミー助演男優賞をとったアンソニー・クインの存在感はいい。

DVD「修羅雪姫」 ケータイ投稿記事

イメージ 1

まあ面白いとは言え、何度も観るほどではない。
梶芽衣子は嫌いではないが、もし多岐川裕美が主演だったら、何度も観ただろう。

(会話)
「おかしいでしょうか、私。今まであまり興味がなかったのに、去年、洸さんにお会いしてから、急にセックスのことに、そのことばかりに関心が向いてしまって、そのことばかり考えるようになってるんです」
彼は黙って聞いている。
「いつもセックスしたい、それも洸さんとだけですが、他の人には何も感じないんです」
「私がよほどいやらしい中年男だったからかな」
「そんな……洸さんの印象はまったく性的なものではなかったので……私自身の心理的原因だと思います」
「去年というと、20歳か。女の人の性意識は私にはよく分からないが、20歳ならもう立派な大人だ。何かのきっかけで、そういう気持ちになっても不思議ではない。結婚していてもいい年齢だから。結婚していれば何もおかしいことじゃない」
「去年からオナニーを……しょっちゅうしてたんです。自分でも呆れるくらい」
彼は少し笑い、例の恥ずかしそうな少年の表情になった。
「きみはあけすけだから好きだよ。きみのような美女の口からスラスラとオナニーなんて聞くと、ちょっとどぎまぎしてしまう」

鹿島田真希の新刊 ケータイ投稿記事

「ピカルディーの三度」を入手。
短編集だから、読めそうだ。

全1ページ

[1]


.
遠い蒼空
遠い蒼空
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

標準グループ

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事