遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

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「吉行淳之介 エンタテインメント全集」全11巻、角川書店。
これは70年代に出て、その後、再刊されている。
吉行全集には「すれすれ」以外は収録されず、読むことが次第に困難になっている。
そのエンタテインメント全集の月報に書かれた文章を引用する。こうした細かな文章はいずれ読まれなくなってしまうからである。
月報には「作者から」という連載があり、これは第二回配本の第四巻「夜の噂」のものである。

「久しぶりに作品を読み返すと、主人公の名前を忘れているばかりか、自分で書いたストーリーも「この先どうなるのだろう」とおもうくらい頭の中から脱落している。そのくせ、作品を書いた場所がどこだったか、どの部分で書き悩んだかなどは、ふしぎに明瞭に思い出せる。
「夜の噂」を「週刊朝日」に連載した昭和三十八年は、私の人生で最も忙しい年だった。当時はお茶の水の「山の上ホテル」で仕事をすることが多かったが、このホテルの旧館は畳の上にベッドが置いてあるという奇妙な部屋で、その感じがかえって仕事をするのに向いていた。従業員の人たちとも馴染みになり、背の低い机を運びこんでもらって畳に座って書いた。
このごろの流行作家の生産量は、一ヵ月に千枚くらいは珍しくないようだが、私の場合の最高記録は三百枚というのが一回だけである。この「山の上ホテル」で、「夜の噂」の一回分を書き終って、ペンを持ったまま畳の上に倒れたことがある。病気ではなく、疲労と書き終った安堵感のためだ。その一回分が第何章であったかも記憶に残っているし、倒れて頬に押し当たってくる畳の感触や、そのホテルのどの部屋であったかまで、鮮かに頭に浮ぶ。」

愛読した本を羅列してきた。手塚治虫などを除いて、高校生になってから十年くらいの間に読みかけ、以後も愛読した本である。
まだ、書きもらしている本はある。
いくつかの詩集、堀辰雄、福永武彦、辻邦生といった系列、ヘンリー・ジェイムズ、ナボコフなど実験小説系。或いは「天の夕顔」、徳田秋声、結城信一のもの、「異邦人」も愛読したが書いてない。ジュリアン・グリーンの「幻を追う人」も。
が、ひとまず、これで終わりとする。また気がむいたら書こう。

最後は少し後になるが、吉行で締める。雑誌で読んでいたし、文庫本でも読んでいた。30代になって、文庫本を再読した時、「星と月は天の穴」(講談社文庫)がなぜか引っかかった。そのどこに魅力を感じたのか、その当時とは読み方が変わってしまっているのではっきりしない。
が、以後、吉行の本を買って読むようになり、古本屋へも再びよく行くようになった。
方向を少し変えたという意味でも思い出の本である。

銀座百点(3 ) ケータイ投稿記事

1981年の318号。
この号はなかなか読みでがある。
「銀座サロン」はゲストが尾崎一雄夫妻、ホスト役が円地文子、吉行淳之介、河野多恵子。「尾崎文学のふるさと―銀座サロン 曽我へ行く―」というグラビアが載っていて、「銀座サロン」の出張版。
その他にも、服部良一、吉田正、灰田勝彦、フランク永井の座談会、山崎清、宮永岳彦、沢渡朔の鼎談、谷崎松子の潤一郎についての記事、田山力哉の記事、奥野健男の「小説の中の銀座」の安岡章太郎「舌出し天使」評、淀川長治のコラム、多士済済で、つまらぬ文芸誌より面白い。

鼎談から紹介しよう。
「男が美人を見るとき 大転換している日本人の美人像」と題されたもの。山崎清という人は鶴見大学名誉教授との肩書きがある。一部引用。

本誌 美人という言葉で思い浮かぶのはやっぱり顔だということですが、その造作については、どんなのを美しいと思われますか。

山崎 日本人は、鼻の高いのが美しいと思っているらしくて、整形美容でも、鼻を高くしてくれという注文がずいぶんあるんですが、女の鼻というのは、平べったくてもいいんですよ。

宮永 ぼくの美人の定義というのはね、丸ければ丸いなりのよさがあるし、瓜実顔の人は長いなりにいい。とにかく、その人その人、みんないいところがあるというわけですよ。

沢渡 日本人ですと、胸のきれいな子というのはいると思うんですけど、おしりのきれいな子というのは、残念ながら少ないような気がするんですね。それは、外人のほうが絶対にいいし、黒人なんて、もっといい。日本人ですと腰のあたりが不安ですね。

本誌 カメラマンはよく、「きれいだよ」なんてモデルに言いますね。そうすると、本当にだんだんきれいになってくるものですか。
沢渡 ええ、まあ。でもぼくはね、そういうこと、わりと言えなくてダメなんですけど。やっぱりほめると、カメラの前で女の子に自信を持たせるとか、安心させるという効果はありますね。だから、嘘でもほめたほうがいい(笑い)。シャッターを押しているうちに女の子がだんだん変わってきて、きれいになるのはハッキリ分かりますね。それがおもしろい。そうできなかったときというのは、写真のできはよくないんですね。
宮永 絵でもそうですよ。その人の体調がいいとか、気分が乗っているとかによって、こっちにグッと向かってくるときと、いくら注文を出してもダメなときとありますね。
沢渡 そうですね。向かってくるときはいいんですよね。それと、相性みたいなの、ありますね。

本誌 これまでの話ですと、日本女性の点数は余り高くないようですが。
山崎 でも、悲観することはないですよね。日本人というのは、これから開発していく美しさがあるんじゃないでしょうかねえ。

沢渡 その兆しはありますね。ここ十年、二十年で、女性の変わり方というのはすごいでしょう。脚の長さにしても。

山崎 それに加えて、男が女を見る目も上等になっている。…東京オリンピックで、女に対する審美眼がガタンと大転換したんですよ。…男の目が変わって、マテリアルとして女を見ることになった。

沢渡 写真のほうでは、もうナヨナヨ美人は振り向かれなくなって、ヘルシーなモデルを求めていますね。それが新しいタイプの美人なんでしょうね。オリンピックを境にして女性を見る目が変わったというのは、ぼくもそうだと思います。

これも何度も書いている。
ジョン・ファウルズはその他にもいい作品を書いているが、最初に読み、その後も度々読んだので、「コレクター」が一番馴染んでいる。
文句なしの傑作であろう。

これはフランス文学を読みだして早くから読んでいた。
ガルニエ版の分厚い本に「シルヴィ」も「散策と追憶」も、詩集も入っていて、それを最初は借りて読んだが、そのうちに買った。
ネルヴァルの流麗な文章は魅力的だが、翻訳されると、それが伝わらない。
死後、忘れられた作家だったが、今や 19世紀の大作家である。日本では全集が二度出ている割には読まれていない気がする。

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