遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

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銀座百点(16 ) ケータイ投稿記事

1980年 307号。
銀座サロンは、ゲスト星新一、ホスト役は円地、吉行。
タイトルは「SF界の長老」。一部引用。

吉行 星さんはSF界の長老と言われているそうですね。
星 上がないんだから、十数年前から長老ですよ。
吉行 きっかけは何なんですか。書き出した…。最初から書こうと思ってたの。
星 いや、全然思ってなかったですよ。
吉行 何になろうと思ってたの。
星 跡継いで会社やろうと思っとったら、会社がだめになっちゃって、どうしようもなくなっちゃったんですね。ちょうどそのころ、五反田に「空飛ぶ円盤研究会」というのが…。
吉行 いつごろですか、それは。
星 昭和三十年ぐらいですかね。うちから近いし、退屈しのぎに歩いていった。そこに荒井さんという貸し本屋をやってる若い主人がいて、それが会長だったんですね。そのころ三島由紀夫さんとか北村小松さんなんかも、その会に入っていたんですよ。黛敏郎とか石原慎太郎とか。ぼくは会う機会がなかったんですけどね。
円地 三島さん、書きましたね。あれ、何て言いましたっけ。
吉行 「美しい星」という作品です。
星 その会なんかへ行って、だべってて…。今でこそブームのUFOですが、あのころは円盤で。結局あるんだかないんだか、結論が出ないんですよね。最後はぼやけちゃってもどかしいんで、「じゃ、小説書こう」ということを言いだした人がいて、それで「宇宙塵」という同人誌を作った。ぼくがたまたま書いたら、江戸川乱歩さんがのり出した「宝石」に転載になった。こっちは、それ以外たぶん道はなかろうと思って一生懸命やってるうちにプロになっちゃったという…。

福島泰樹の中也論を読みかけている。
中也論は一時、よく読んだが、久しぶり。
中也の弟恰三が死んだ時の中也のことが書かれている。その一部。

弟の訃報(電報)を受け取った、その夜。大雨で客の居ないカフェーの女給たちは暇で、女給たちに囲まれながら私と友人と、まるで外の風雨の音を打ち消すような大声で、流行歌を歌って大騒ぎをしていた。駅で友人と別れた私は、びしょ濡れになって下宿へ辿り着き、訃報(電報)を受け取る。
「時計をみた。十一時二十分であつた。もう汽車はない。明日朝一番で立たう。」が、同時に、急いだって何になろう、弟はこの世にもう居ないではないかという考えにとらわれる。あたりを見回し、弟が死んだというのに(硝子障子も柱も壁も)何も変わっていないことを、今更ながらに確認する。階段を上り、二階の自室に至ってようやく悲しみに襲われるのだ。「頭から毛布をヒツかぶつた。息がつまりさうであつた。が、それがなんであらう、私がビールを飲んでゐる時、弟は最期の苦しみを戦つてゐた!」
 ―その夜、私は目を覚ます。 
 障子は破れ、風は吹き、
 まるでこれでは戸外(そと)に寝てるも同様だ。
 
 それでも俺はかまはない。
 それでも俺はかまはない。
   どうなつたつてかまはない。
 なんで文句を云ふものか……
愛する者の死は、自身の死に他ならない。であるからこそ、「この世」と「あの世」との交感は可能なのである。

 生きのこるものはづうづうしく、
 死にゆくものはその清純さを漂はせ、
 ……
 その空をみながら、また街の中をみながら、
 歩いてゆく私はもはやこの世のことを考へず、
 さりとて死んでいつたもののことも考へてはゐないのです。
 みたばかりの死に茫然として、
 卑怯にも似た感情を抱いて私は歩いてゐたと告白せねばなりません。

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