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私たちが踊っている輪のなかに、アドリエンヌと呼ばれる金髪で背の高い美しい娘がいることに気がつくやいなや、突然、踊りの規則に従って、アドリエンヌひとりが私とともに輪の中央に立たされた。背丈はどちらも似たようなものだった。私たちは接吻するように言われ、踊りと合唱は今まで以上に勢いよくぐるぐる回りだした。接吻をしながら、私は彼女の手を強く握らずにはいられなかった。金色の髪の長い巻き毛が私の頬にかすかに触れた。この瞬間から、未知の動揺が私を捕えた。
美しい娘は、踊りの輪に戻してもらうために唄を歌わねばならないのだった。みなは彼女の周りに腰を下ろした。すぐに、みずみずしく心に染みわたるような、霧深いこの地方の娘たちの声によくあるややくぐもった声で、彼女は古くから伝わる憂愁と愛に満ちたロマンスの一つを歌った。
彼女が歌い進むにつれ、大きな木々から影が降りてきた。そして射し始めた月の光が、じっと耳を傾けている私たちの輪からひとり離れた彼女の上に落ちた。彼女は歌い終わった。が、誰ひとり、その沈黙を破ろうとはしなかった。かすかな靄が集まって芝生を被い、草の葉先を白い玉となって伝わった。私たちは天国にいるかと思われた。
お断り:「シルヴィ」の翻訳は中断致します。再開の機会は多分ないと思います。ネルヴァルの流麗なフランス語を日本語にするのは不可能に近いと思い知りました。
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