遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

私立吉行淳之介研究会

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吉行は男女関係を素材にした作品が比較的多いため、官能小説家扱いをする不届きな読書家がいたり、死後、愛人問題がスキャンダラスに取り上げられたりし、誤解されやすい作家である。
官能小説家ではもちろんなく、愛人問題のことも、吉行が太宰や安吾やの無頼派につながるものを持っていたからだと考えることができる。

吉行の本質は吉行晩年の短編にもっともよく表れている。それに触れた評論は私の知るところ、三点に過ぎない。吉行の男女関係を中心とした論功は数多い。また吉行の人物に触れる文章は甚だしく多く、作品分析はわずかである。

(ひとまず中断します)
小説は二重構造になっていて、中年の小説家と若い娘との関係を描いてゆきながら、小説家の書いている小説が同時並行する。そのなかでも中年の小説家と若い娘が描かれる。
私は表面、テーマ分析のかたちをとりつつ、引用によるテクストの再構成を試みようと思った。
テーマは多様に引用部分とない交ぜにして、いずれ本文が本来のものか引用によるものか不分明になるのを目的とした。スリリングな試みである。
書きなおしの一番大きなものは冒頭にニ章が加えられたことである。
それまでの冒頭の章は三章になった。
冒頭にニ章を加えることで作品は深みを持つことになった。主人公の作家の内面が大きな意味を持つことになったからである。
「星と月は天の穴」を分析するために「引用」を手段とする実験を試すことにした。
下書きはかなり貯まったが、肝心の論文は何年に一度というようなスローペースでしか発表できない。実験がなかなかうまくいかない。
その間に手塚治虫論を書いたりしていたこともある。
「星と月は天の穴」は私がもたもたしている間に、全集に収録されたり、テクストの数が増えてゆく。どのテクストを定本とするか、またまたテクスト・クリティックをしなければならない。
全部で八種類のすべてのテクストを比較したと思う。講談社文庫、のちに講談社文芸文庫が一番確かなテクストであることが分かる。
初出との比較は冒頭のニ章がすっかり加筆されている刺激的なものだった。
異同を書き出してみるとかなりの違いもある。
吉行論を書き始めて、最初はその異同について書いた。
吉行自身が「大幅な書き直し」と初版に書いている。
前後が曖昧になったが、初出は昭和四十一年初頭に「群像」に発表され、その年に書き加えて出版されている。発表して、作品の不備に気づいたわけだ。

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