遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

吉田知子

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女性作家では最初に愛読しました。今、また読みなおし、大作家ではないかという感じを持つようになりました。
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「無明長夜」を読む

数日かけてじわじわと読んだ。

「新潮」で最初に読んだ時は一気に読んだのだが、何度か読むうちに読む速度が遅くなる。

これは他の作品でも同じである。細部に幾度も留まるためだろうか。

そういう読みを重ねてゆくと、作品は次第に内面化されるのであろう。

何度読んでも、新しく感じるところも再読の醍醐味なのだ。

新刊を読むのとは違った新鮮さである。

吉田知子「無明長夜」

久しぶりに再読中。十数年ぶりか。

芥川賞受賞以前に「新潮」で読んで感銘を受けた。

以来、十回は読んでいる。

自分が発見した作家のような気がして親近感がある。

ファンレターを出せばよかったと今になって思う。

 *

ほんの一部引用。

「いるべき場所がないという感じは常に私につきまといました。・・・」

「・・・しょっちゅう、ずり落ちていくような感覚がありました。・・・いつまでたっても中途半端な

ところにいる。無限にずり落ちていくだけなのです。」

イメージ 1

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「日常的患者」の一部引用。

「私は、もうとしをとったので体のあちこちが病んでいる。老人になるというだけで、もう立派に一つの

病気なのだ。

年齢に不足はなかった。

夫は、もう十一年も前に死んでいる。

男のほうが平均寿命が短いのだから、当然先に死ぬ。・・・」

けっこう面白い。

献呈署名入り本を入手した。
「紙つぶて」というコラムから。年代不詳。30年以上前であることは確かである。

「化粧品」という題名。一部引用。

「・・・先日、化粧品売場で洗い粉をくれと言ったら洗剤のほうへ行くようにと言われた。磨き砂のこと

だと思ったのだろう。磨き砂も、いまやクレンザーと言わなければならないらしい。では石鹸を、と頼ん

だところケイクでございますか、と言う。私は立腹しやすいたちであるから、たちまちムッとして「ケー

キではありません。石鹸です」と言い張った。向こうは聞こえないふりである。

「フェイス用とボディー用と、どちらのケイクをお求めでしょうか」

あくまでケイクと言う。

最近の化粧品には全然日本語は使わないのである。・・・」

吉田知子の自筆書簡

イメージ 1

手紙がほしかったので探してもらい入手した。

現役作家なので、詳しい内容を書くわけにはいかないのが残念だが、安原顕宛ての断りの手紙。

安原顕が「海」の編集部にいた頃のものだ。昭和48年らしい消印が見える。

原稿用紙にペン書きで、15行のものである。

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