遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

フロベール

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一応、フロベールを専門に論文を書きました。フロベールの文学観に影響を受けています。
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フロベールが書きかけた未完成の遺作「ブヴァールとペキュシェ」の第二巻にあたるのが「紋切型辞典」など。
「ボヴァリー夫人」を書いている30歳頃からその企画はあった。
恋人ルイーズ・コレへの手紙の一部。

ぼくの考えている書き方で書けば、そこではすべてを槍玉にあげながらも、いかなる法律もぼくに噛みつくことはできないような具合になるはずです。それは世間で是認されている一切のものを歴史的に顕彰する体裁をとるでしょう。多数者の言い分はつねに正しく、少数者のそれはつねに誤っていたことを証明し、偉人をすべての愚者のために、殉教者をすべての冷血漢のために犠牲に供する…こと文学に関しても、凡庸こそは万人の手中にあるがゆえに唯一の正統なものであり、あらゆる種類の独創は危険、愚劣、その他の理由から蔑視すべきであることを明らかにする。かくて、この辞典は、およそありうるすべての題目について、礼儀をわきまえた慇懃な人物となるために世間で口きしなければならぬすべての言葉をアルファベット順に網羅するでしょう。
たとえばこんなふうに、
 芸術家 みんな利害を超脱している。
 フランス 統治者として鉄腕を期待する。
 ボシュエ モーの鷲。
 フェヌロン カンブレの白鳥。
 建立 由緒ある記念建造物についてのみ用いらる。等々。
この全体が完成すれば散弾のように恐るべきものとなるでしょう。端から端までぼくが勝手に創作した言葉は一語といえどもあってはならず、いったんこれを読んだら、人さそのなかの文句がおのずと口に出るのを恐れるあまり、話すこともできなきなる体のものにしなければなりません。

フロベール

今、どのくらい読まれているのだろう。
少なくとも日本では、研究者か小説家以外にそれほど読んでいる人がいるとは思えない。
いわゆる初期作品(習作ですね)を除き、作品の数は少ない。一作に数年をかけて書いているためである。「ボヴァリー夫人」「サランボー」「聖アントワヌの誘惑」「感情教育」「トロワ・コント」、そして遺作となった「ブヴァールとペキュシェ」。
「ボヴァリー夫人」と「感情教育」がまあ読まれているほうか。
「ブヴァールとペキュシェ」は「紋切り型辞典」が付属していて、とんでもない試みなのだが、完成していない。
フロベールのどこが新しいのか。私もフロベールを専門として卒論、修士論文を書いたが(論文まがいのものだが)、どこまで分かっているのか心もとない。写実主義の作家として日本には紹介され、そういう読まれ方がされてきたが、フランスでは20世紀半ばからヌーヴェル・クリチック(新批評)の批評家・研究者によって見直しがされ、現代小説の祖と看做されるようになった。「ボヴァリー夫人」「感情教育」は読んでおいた方がいい。小説を書く人なら。
普通の小説だが、自由間接話法を駆使し、それがのちの内的独白の先駆になった。
また思いついたら書き足す予定。

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「文芸」春号 ケータイ投稿記事

外出して本屋の前に来ると立ち止まってしまう。
中へ入ったら、何か買わずにはでてこられない。
「文芸」を手に取った。恩田陸特集は気にならないが、高橋源一郎と綿矢りさの対談をちらちらと見ていたら、フロベールの作品についての言及がある。
詳しくは帰宅後に引用しよう。久しぶりに携帯から書き込み。


続きです。
対談は「21世紀版・日本の感情教育」と題されていたので読まないわけにはいかない。
で、読んでみた。
なぁんだ、綿矢りさを持ち上げているだけの「ヨイショ」対談じゃないか。

大げさだよなぁ、綿矢りさの新作を「この小説はフローベールの「感情教育」なんじゃないかって思いました」と源一郎が言う。
あとの方で、「あんな完璧な小説があるのにさ、何で今さら僕らが書かなきゃいけないの、って思っちゃう」と言い、更に「そう考えるとなにも書けません。でも大丈夫だよ、同時代にフローベールはいないからさ(笑)。フローベールとかカフカとかがいたら「ごめんなさい」っていう感じだよね」とのたまう。

だから「文芸」は嫌なんだ。こういう売るためのみえみえのものが載っているから。
綿矢りさの新作はそんな傑作に比較できるような作品じゃない。読むのはご自由に。

そして、フロベールは同時代人であることが分からないのはどうかしているね、源一郎は。
フロベールの弟子はモーパッサンだが、実際は違う。
文学的系譜から言えば、プルースト、ジョイス、カフカ、トーマス・マン、ヘンリー・ジェイムズ、フォークナーなど、20世紀の巨匠たちはみなフロベールの熱心な読者で、直系の弟子なのだ。カフカが「感情教育」を愛読していたのはよく知られている。中途半端な知識は間違いの元だから、騙されないように気をつけましょう。

それに年下だからといって、話し方が気安過ぎるよ。もっと丁寧に話さないと駄目さ(笑)。

フランス文学(3 ) ケータイ投稿記事

話が前後しますが、神保町へ 2度目に行った時、ある古書店にフロベールの「ボヴァリー夫人」の革装本が並んでいました。
一目見て、いいなぁと思いました。それ程高くないのですが、何しろ貧乏学生には躊躇うくらいの値がついていました。
正確に記憶していないのですが、5000円だったか、もっと安かったかもしれません。
今、思えば、すごく安いのですが、その頃、学費が半年で 4500円でしたから。
諦めて帰りましたが、やはり欲しくて堪らず、その古書店にハガキでまだ在庫しているか確かめ、郵送してもらいました。
1920年代のコナール版全集の一冊で、まだ美本でしたから、すっかり気に入りました。
フランスの装丁本はその後、勤めるようになってからも、そんなには買えませんでした。
大学の研究費では購入しましたが、個人で買ったものは僅かです。

フランス文学(2 ) ケータイ投稿記事

仏文の研究室で本を借りては読みました。
自分で買ったのは確かフロベールの「ボヴァリー夫人」が最初だと思います。たまたま丸善に並んでいたのです。よく流布していたガルニエ版の黄色い表紙の本です。
丸善、黄色と書くと、梶井の「檸檬」を思い出しますが(笑)
あとは仏書を扱っている書店に注文して取り寄せてもらうしかありません。
私はかれこれ 10年近く、H社の仏書係にお世話になりました。丁寧に在庫しているかを調べて下さる方が担当していて、注文した本が入ったという知らせのハガキでその方の特徴ある字を見るのが楽しみだったのが懐かしく思い出されます。
フランスの本は随分古いものでも絶版になっていなくて手に入ることに驚いたものです。
何しろ、戦前の本が届いたりするのですから、フランスの出版社の本を大切にする気概を感じました。

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