遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

太宰治

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「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」

「その日その日を引きずられて暮しているだけであった。……
新宿の歩道の上で、こぶしほどの石塊(いしころ)がのろのろ這って歩いているのを見たのだ。石が這って歩いているな。ただそう思うていた。しかし、その石塊は彼のまえを歩いている薄汚い子供が、糸で結んで引摺っているのだということが直ぐに判った。
子供に欺かれたのが淋しいのではない。そんな天変地異をも平気で受け入れ得た彼自身の自棄(やけ)が淋しかったのだ。」

これにコロッと参ってしまったのである。

大晦日に ケータイ投稿記事

太宰治を読むとは考えてもいなかった。
文章に惹き付けられる。
ミーハーがついた時期もあって、太宰を読むのを避けていた時もあったが、もはや古典として、余裕を持って読める。
三島はついに太宰の才能に及ばなかった。
太宰は芥川をも越えている。芥川賞を受賞する必要はなかった。
日本近代の作家のベストテンに入ってもおかしくない。
漱石、鷗外、谷崎、川端、井伏・・・作家は作品で評価せねばならぬ。
戦後派で古典に入るのは誰であろうか。

名言 ケータイ投稿記事

太宰治「家庭の幸福」より。
「家庭の幸福は諸悪の本(もと)」
太宰には名言が多い。
「桜桃」の「子供よりも親が大事」。

太宰治を読みかけたら ケータイ投稿記事

渡辺淳一はとても読めなくなった。

戦後の短編、「ヴィヨンの妻」「桜桃」などの凄いこと!
短編の見本のような出来のよさ。まだまだ書けた。惜しい。
合意の上の心中なのか、無理心中なのか分からないが、井伏が相手の女性に好意を持たなかったのはよく理解できる。
昭和の作家で、井伏、太宰、それに匹敵する文章を書いたのは誰だろう。

よく知らないが、あまり論じられたりしていないような気がする小編。
私はとても好きな作品なので、「葉」とともに影響された。
一部引用。
「私は、この世の中に生きてゐる。しかし、それは、私のほんの一部分でしか無いのだ。…
それは、私の眠つてゐる間の数時間である。私はこの地球の、どこにも絶対に無い美しい風景を、たしかにこの眼で見て、しかもなほ忘れずに記憶してゐる。
私は私のこの肉体を以て、その風景の中に遊んだ。記憶は、それは現実であらうと、また眠りのうちの夢であらうと、その鮮やかさに変りが無いならば、私にとつて、同じやうな現実ではなからうか。…
また私は、眠りの中の夢に於いて、こがれる女人から、実は、といふそのひとの本心を聞いた。さうして私は、眠りから覚めても、やはり、それを私の現実として信じてゐるのである。…
夢で、以前に何度も見た事のある、しかし、地球の上には絶対に無い湖のほとりの青草原に私たち夫婦はねころぶ。
「くやしいでせうね。」
「馬鹿だ。みな馬鹿ばかりだ。」
私は涙を流す。
そのとき、眼が覚める。私は涙を流してゐる。眠りの中の夢と、現実がつながってゐる。…だから、私にとつてこの世の中の現実は、眠りの中の夢の連続でもあり、また、眠りの中の夢は、そのまま私の現実でもあると考へてゐる。…」

「夢は第二の現実である。」はたしか、ネルヴァルの「オーレリア」の書き出しだったような記憶がある。

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