遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

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河出版の世界文学全集が出ていた。グリーンの箱のものである。この全集でかなり読んだが、特に気に入り、何度か読んだものが二冊ある。その一つはトマス・ハーディの「テス」である。ハーディは後に数作読んだが、英文学には親しんでいたが、読んだことがなかった。
初読で引き込まれて、一気に読んだ。
テスという薄幸のヒロインがリアリティをもって描かれている。
小説に描かれた女性のなかでは最も好きなうちに入る。
その頃、書いた拙い小説のヒロインを書く時、テスの姿を頭に浮かべていた。
時代が変わって、今、テスのような女性は全滅しているかもしれない。
が、テスの考え方や行動を別にしても、魅力的な女性に描かれていると思う。
ハーディは「日陰者ジュード」も面白かった。

チェコの作家、イージー・ヴァイルの作品。
当時、「東欧文学全集」というシリーズがあって、それは半分くらい読んだ。そのなかの一冊で、気に入って何度も読んだ。
ユダヤ人が主人公で、星とは胸につけさせられた黄色いユダヤ人と分かる印のことだ。
食べるものにも困りながら亡命せず、寒さをダルマストーブで家具を燃やして暖をとっている主人公ロウビーチェクが亡命した恋人、ルージェナに呼びかける独白。
これをチェコ語で読みたくて、さんざん探したが見つからなかった。

15歳になってすぐに観た映画「最後の橋」はそれまで娯楽映画しか知らなかった私に洋画の魅力を教えてくれた。以後、洋画に夢中になる。
「最後の橋」はあちこちで再上映されるのを探して、10回以上観た。その後、20代にリヴァイヴァル上映された時にも10回は観に行った。脳内再生できた。
ビデオがなく、長く観られなかったが、去年、英語版のビデオを入手できた。実に 40年ぶりに観た。
そのシナリオが学生の頃、独和対訳シリーズとして出ていた。
それはドイツ語の勉強にもなるので、愛読した。

ちょっと時間が飛ぶ。
井伏鱒ニの戦前の本は大学三年目に買ったのだと思う。記憶ではもっと早くに買ったような気がするのだが、買った古本屋から推測するとそうなる。順番がはっきりしない。
「さざなみ軍記」の箱なしの本を、雑本のなかから見つけたのが最初だったか。それはT駅の近くの小さな古本屋だった。
「仕事部屋」「逃亡記」は同じところで買っている。大学の帰りに M駅の近くに小さな古本屋があって、よくそこへ寄った。いかにも古本屋の主人という感じの、頑固そうなお爺さんがいて、あまり口をきいたことはない。本は狭い店舗にぎっしり積んであって、たまに私が買うのを待っていたような本があった。「仕事部屋」も「逃亡記」も美本ではないので安かった。
井伏の戦前の本はもうその頃、ずいぶん高価になっていた。あとはずっとあとで「懐かしき現実」を買った。
「川」「集金旅行」などの限定版には手が出なかった。

これも大学一年の春、新潮社の日本文学全集で初めて読んだ。
川端康成は高校時代に「伊豆の踊子」と「雪国」を読んでいた。
「みづうみ」には異常に感銘し、その悲しみが私自身の悲しみと共鳴した。
以後、繰り返し読み、かなりの影響を受けた。
文庫本、後に単行本を手に入れ、そのどちらかで読んだ。
その他にも川端康成は相当読んでいる。主要作品は一応目を通していると思う。
「雪国」も繰り返し読み、好きな作品だが、「片腕」「眠れる美女」などの晩年の作品もいい。

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