遠い蒼空

末期ガン患者入院記録

川端康成

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「雪国」より ケータイ投稿記事

前にも引用したが、再び。有名な冒頭の数行。以下引用。

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた。夜の底が白くなつた。信号所に汽車が止まつた。
 向側の座席から娘が立つて来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いつぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶやうに、
「駅長さあん、駅長さあん。」
 明りをさげてゆつくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れてゐた。
 もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラツクが山裾に寒々と散らばつてゐるだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれてゐた。 引用終わり。

「夜の底が白くなつた。」という文章が効いている。
娘が叫ぶのも物語が一気に始まる感じにさせられる。

「雪国」の昔の文庫本 ケータイ投稿記事

イメージ 1

高校の頃か大学一年に買ったもの。
大学の文学やゼミで昭和の間に 6回使っている。
平成になってからは、別の文庫本で4回くらい使った。
少なくとも、自分で読む以外に10回読んでいるわけだ。

川端康成の短篇 ケータイ投稿記事

古本屋で買った古いボロボロの「抒情哀話 伊豆の踊子」が川端の数少なくなった本の一冊として残っている。
このなかの「白い満月」と「五月の幻」のニ編にひきつけられた。全集を持ったことがない。小さな作品集は持っていた。それは退職時に処分したなかに入っていた。
初期の短篇であるくらいしか分からない。調べたこともない。
最初の頃から、川端康成は心を引かれるものを感じていたようだ。

川端康成「雪国」より ケータイ投稿記事

……駒子はうんと仰反って転がるものだから、島村は重苦しくなって起き上ろうとしたが、不意に起されたことゆえふらついて、また倒れると、頭が熱いものに載って驚いた。
「火みたいじゃないか、馬鹿だね。」
「そう?火の枕、火傷するよ。」
「ほんとだ。」と、目を閉じているとその熱が頭に沁み渡って、島村はじかに生きている思いがするのだった。駒子の激しい呼吸につれて、現実というものが伝わって来た。それはなつかしい悔恨に似て、ただもう安らかになにかの復讐を待つ心のようであった。

そうして駒子がせつなく迫って来れば来るほど、島村は自分が生きていないかのような呵責がつのった。いわば自分のさびしさを見ながら、ただじっとたたずんでいるのだった。駒子が自分のなかにはまりこんで来るのがら島村は不可解だった。駒子のすべてが島村に通じて来るのに、島村のなにも駒子には通じていそうにない。駒子が虚しい壁に突きあたる木霊に似た音を、島村は自分の胸の底に雪が降りつむように聞いた。

川端康成「雪国」より ケータイ投稿記事

(「雪国」のなかに「徒労」という字句が十二回出てくるそうだ。)

日記の話よりも尚島村が意外の感に打たれたのは、彼女は十五六の頃から、読んだ小説を一々書き留めておき、そのための雑記帳がもう十冊にもなったということだった。
「感想を書いとくんだね?」
「感想なんか書けませんわ。題と作者と、それから出て来る人物の名前と、その人達の関係と、それくらいのものですわ。」
「そんなもの書き止めといたって、しようがないじゃないか。」
「しようがありませんわ。」
「徒労だね。」
「そうですわ。」と、女はこともなげに明るく答えて、しかしじっと島村を見つめていた。
全く徒労であると、島村はなぜかしらもう一度声を強めようとした途端に、雪の鳴るような静けさが身にしみて、それは女に惹きつけられたのであった。彼女にとってはそれが徒労であろうはずがないとは彼も知りながら、頭から徒労だと叩きつけると、なにか反って彼女の存在が純粋に感じられるのであった。

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