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仏説 無量寿経
悲化段(1)
仏、弥勒菩薩・諸々の天 人等に告げたまはく、
無量寿国の声聞・菩薩の功徳・智慧は、称説すべからず。
また その国土は、微妙安楽にして 清浄なること かくのごとし。
なんぞ つとめて善をなし、道の自然なるを念じて、上下なく洞達して
辺際なきことを著(あらわ)さざらん。よろしく 各々 勤めて精進して、
つとめて 自らこれを求むべし。
必ず超絶して去ることを得て 安養国に往生せよ。横に五悪趣を截りて
悪趣自然に閉ぢん。道に昇るに窮極なし。 往き易くして人なし。
その国 逆違せず。自然の牽(ひ)くところなり。
@五悪趣:五道とも言い、凡夫が自分の為した心身の行いの結果として趣く
ところ。 地獄・ 餓鬼・ 畜生・ 人 ・ 天 。 なんぞ 世事を棄て 勤行して道徳を求めざらん。極長の生を獲べし。
寿の楽しみ極まりあることなし。
しかるに 世人、薄俗にして 共に不急の事を諍ふ。この劇悪極苦の中
にて、身の営務を勤めて もつて 自ら給済す。
尊となく卑となく、貧となく富となく、少長・男女ともに銭財を憂ふ。
有無同然にして 憂思まさに等し。屏営として愁苦し、念を累(かさ)ね、慮りを積みて、心のために走り使はれて、安き時あることなし。
田あれば田に憂へ、宅あれば宅に憂ふ。牛馬六畜・奴婢・銭財・衣食
・什物、また共に これを憂ふ。思を重ね 息を累みて 憂念 愁怖す。
横に非常の水火・盗賊・怨家・債主のために焚かれ漂され劫奪せられ、
消散し磨滅す。憂毒 忪々として解くる時あることなし。
憤りを心中に結びて、憂悩を離れず。
身亡び命終れば、これを棄捐して去る。誰も随ふものなし。尊貴・
豪富も また この患ひあり。憂懼万端にして、勤苦かくのごとし。
もろもろの寒熱を結びて痛みと共に居す。
貧窮・下劣のものは、困乏して つねに無し。田なければ また 憂へて
田あらんことを欲ふ。宅なければ また憂へて宅あらんことを欲ふ。
牛馬六畜・奴婢・銭財・衣食・什物なければ また憂へて これあらん
ことを欲ふ。
たまたま一つあれば また一つ少け、これあれば これを少く。斉等に
あらんと思ふ。 たまたま つぶさにあらんと欲へば、すなはち また
糜散す。かくのごとく 憂苦して まさに また求索すれども、時に得る
ことあたはず。 思想するも益なく、身心ともに労れて、坐起安からず、
憂念 あひ随ひて 勤苦することかくのごとし。
また もろもろの寒熱を結びて痛みと共に居す。ある時は これに坐して
身を終へ、命を夭ぼす。
あへて 善をなし 道を行じて 徳に進まず。寿(いのち)終り、身死して
まさに 独り遠く去る。趣向する所あれども 善悪の道 よく知る者なし。
(続)
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