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タケシはとりあえず、こんな夜中でも自分が心当たりのあるお茶が飲めるような場所を思い浮かべたら、わりと近くのロイヤルホストがあったのでそこに入った。
必死で涙をこらえながらでも、泣いてることには変わりない佳子を連れているタケシはどこから見ても
女を泣かせている男
だった。
タケシはやはり少し恥ずかしかった。 佳子にはまるで自分が泣かせているようなので泣くのを止めてもらえないかとも思ったがそれは特に伝えなかった。
タケシはホットコーヒーを佳子は紅茶を注文した。
飲み物が運ばれてくるまで二人は沈黙していた。 佳子は何から話そうかと戸惑い、タケシは今日はよく人が泣く日だと考えていた。 ホットコーヒーを一口タケシは口に含んでから話を切り出した。
実はタケシは佳子と近藤の仲をなんとなく知っていたこと、今日二人が会うような感じがしていたこと。こういったことをタケシは佳子に話してみた。 すると少しびっくりはしていたものの佳子は今日会社が終わってからさっきまであったことを関を切ったように話し始めた。
タケシは仕事中も佳子に対してはとても丁寧に大事に接していたし、海外が長かったせいで自然と日本男性にはあまり見受けられないレディ・ファーストが身についていたのでそれも佳子にとっては心地よかった。 要するにタケシは佳子にとっては信頼のできる居心地のよい男性の一人であった。 そんなわけで近藤の愚痴が次から次へと佳子の口から出てきたのである。
もちろんタケシは近藤の女グセの悪いことは充分すぎるほどに知っていた。
が、タケシはここで佳子の愚痴には同意しなかった。
同意したらそれは敗北なのである。佳子を自分の方へ惹きつけるためには決して愚痴に共感してはいけない。なぜならそれは近藤のことを否定することは佳子のことまでも否定することになるからなのである。 佳子が近藤にどんなふうにアプローチされたのかはどうであれ、こうなったのは佳子自身が最終的に判断、決定した。という事実がある。
だからあわてて愚痴に賛同してしまっては
「あなたに彼の何がわかるっていうの!?」
となる。女心は複雑怪奇だ。
第一印象に弱いタケシだが次第に自身のよさをわかってもらえたなら、頭を使って恋愛をする男にとって勝ったも同然であった。 佳子の愚痴にうなづきながらも 「うん。うん。そうだね。でも近藤部長もやっぱりとてもやさしい人だからね」
と。
佳子は今回のことをバカなことをしたと後悔しているのにそれを認めてくれているタケシへとより一層信頼感を増していったのであった。 つづく
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2011年04月16日
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