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日本ではヒトとマウス、米国ではヒトとヒツジ、中国ではヒトとサル…。臓器移植という大義名分の中で次々とつくられる「動物と人間の異質同体キメラ」

投稿日: 2019年8月8日

ヒトとサルの交配種の作成を伝えるスペインの報道より


elpais.com

ヒトとネズミを交配させた「臓器」の言及の承認を伝える日本の報道より

ネズミ体内で人の臓器 文科省、東大のiPS研究了承

日本経済新聞 2019/07/24
文部科学省の専門委員会は24日、東京大学のチームが申請をしている動物の体内で人の臓器を作る国内初の研究計画について、実施することを大筋で了承した。
同省は、動物の体内で人の臓器を育てる研究を禁止していたが、3月に関連指針を改正し条件付きで解禁した。
ネズミなどの小型動物の体内で人の細胞の臓器が正常にできれば、将来は人間の臓器の大きさに近いブタやサルを使い、実際の移植に使える可能性がある。糖尿病など向けに新たな移植治療への道が広がる見通しだ。




科学の恵みかパンドラか

最近、世界中で、
「ヒトと他の動物の混合生命体」
が作り出された報道、あるいは、その実験が承認されたという報道が相次いでいます。
正確には、他の動物の胚にヒトの幹細胞を移植するという改変のですが、なぜ、そのようなことをするかといいますと、「他の動物の体内に、ヒトの臓器を作るため」で、そして、目的は、「臓器移植のため」ということになっています。
この2週間くらいの間に、中国では、スペイン人科学者によって、ヒトとサルの交配種を作る実験が順調に進んでいることが報じられ、そして、日本では、それまで禁止されていた、「人間以外の動物の体内でヒトの臓器を育てる研究」が、文部科学省によって承認されたことが、世界的に報じられています。
この交配種のことを、科学用語では「キメラ」と呼び、あるいは、ハイブリッドと呼ぶ場合もありますが、いずれも、あまり馴染みはない言葉ではあります。
Wikipedia では以下のように定義されています。
キメラ - Wikiepdia
生物学における キメラ とは、同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や、そのような状態の個体のこと。嵌合体ともいい、平たく言うと「異質同体」である。
この語は、ギリシア神話に登場する生物「キマイラ」に由来する。
具体的には、どのように行うかといいますと、どのように動物でも、おおむね以下のような過程となり、その目的は、「動物の中で育った臓器を人間に移植する」ということを目指しています。

ヒトと他の動物との異質同体作成と臓器移植までの道筋

1. 他の動物(ネズミ、ヒツジ、サル、ブタなど)の DNA を改変する

2. ヒト幹細胞を対象の動物の胚に移植する

3. 新しい臓器を成長させるためにヒト幹細胞を使用する

4. 動物の体内で作られた新しい臓器をヒトの体内に移植する

 
私個人は、DNA や細胞の改変に関わる試みについては、生命を唯物的なだけのものと見るという観点から、個人的には否定的でして、そのあたりは、昨年、アメリカで「ヒトとヒツジのキメラ」が作られた時に書きました以下の記事でも少しふれています。
しかし、ここにきて、ヒトと他の動物のキメラが、世界中で、怒濤のごとく、つくり出されているという流れを見ても、このような状態はさらに加速する可能性のほうが高そうです。まあ、パンドラとは言いませんけれども、「何かのフタが開いた」というような状態にはなっているようです。
そして、この実験の問題は、実際には、「技術的なところではない」という部分があります。
たとえば、先ほどの日本の場合も、報道に、
> 同省は、動物の体内で人の臓器を育てる研究を禁止していた
とありますように、この実験や研究は、多くの国で禁じられてきたのですね。
冒頭で取り上げました「中国でヒトとサルの同位体がつくられた」ことに関しても、なぜ、中国でスペイン人の科学者がおこなっているのかといいますと、
「スペインでは、この研究は禁じられているため」
でした。
中国には、キメラの研究とその作成の実行に関して禁止する法律はなく、誰でも、このような同位体を造り出すことができるということで、スペインから中国にラボを移して、研究を続けているようです。日本でも、部分的に承認されてきているということで、今後、日本でも、多くの同じ研究や実験がおこなわれる可能性があります。
この冒頭の中国でのヒト=サルのキメラについての報道からご紹介します。
 

Spanish scientists create human-monkey chimera in China
elpais.com 2019/07/31

中国で、スペイン人科学者がヒトとサルのキメラをつくり出した

フアン・カルロス・イスピスア (Juan Carlos Izpisua)氏が率いる研究チームは、人間の臓器移植用の臓器を動物の体内で成長させる方法を探る研究の一環として、ヒト幹細胞を動物の胚に注入した。
イスピスア氏の研究者チームは、中国の実験室で、はじめてとなる人間とサルのハイブリッドを作成する作業を行っている。これは、人間の臓器移植に動物を使用する重要な一歩だ。
このチームは、米ソーク研究所とスペインのムルシア・カトリック大学(UCAM)のメンバーで構成され、器官の形成に不可欠な遺伝子を不活性化するためにサルの胚に遺伝子組み換えを行った。その後、あらゆるタイプの組織を作成できるヒト幹細胞を胚に注入した。
なお、この研究については、調査結果を国際的に著名な科学雑誌に論文を掲載する前であるため、詳細な情報を、まだメディアに提供していないが、研究チームは、これまでおこなわれたマウスやブタの細胞だけではなく、サルなどの霊長類に対しての実験を進めている。

イスピスア氏のチームは、以前、より類似した種同士のキメラ、たとえば、ラットとマウスの間にキメラを作成することに成功している。2017年には、革新的なゲノム編集ツール CRISPR を使用して、マウスの胚の、心臓や目、あるいは膵臓の発達に不可欠な遺伝子を非活性化した。その後、チームはこれらの臓器を生成できるラット幹細胞を導入した。

スペイン・バルセロナ再生医療センターの所長であるアンヘル・ラヤ (Angel Raya)博士は、キメラの実験は「倫理的障壁」に直面していると説明する。
倫理的な問題を回避するため、現在の科学界は、キメラの動物が妊娠した際には「 14日で妊娠を停止させる」というルールを暗黙の中で設定しているとラヤ博士は言う。
この日数は、胚が人間の中枢神経系を発達させるのに十分な時間ではない。そして、すべてのキメラ胚は、その妊娠期間が終了する前に破壊される。現在の規則では、どのような場合でも、妊娠したキメラ動物が、出産にいたることはない。
スペインでは、この種の研究は厳しく制限されており、致命的な病気の調査にのみ限定されている。そのため、イスピスア氏は、サルを使った実験を中国でおこなっている。しかし、スペインの倫理委員会は、2017年に、ヒトとブタのキメラ実験については承認している
研究者たちの最終的な目的は、動物の体内に、人体に移植可能なヒトの臓器を作ることだと述べる。

 
ここまでです。
日本で、キメラ作成に対しての承認のニュースが出た時に、ロシアの報道メディアは、ロシア科学アカデミーの科学者で、ロシアの移植人工臓器医療調査センターの所長であるセルゲイ・ゴチエさんという方に話を聞いていますが、ゴチエさんは以下のように述べています。

「日本の研究者らの行っていることは異種移植と言われるものです。このメソッドを使う際に一番障害となるのは感染の危険性です。動物に寄生するウイルスが人体に入り込む恐れがあるからです。自家移植であれば、ヒトが臓器のドナーであるのでこうした恐れはありません」 (略)

「こうした実験が最終的にどんな結果をもたらすか、それを正確に予見できる人はいません。人間が動物とヒトの両方の遺伝子を体内にもった場合、どうなるか。ヒトとしての動きができるのか」
「これは医師が動物を人間のように改造するという、あの有名な、ジョージ・ウェルズ作の『モロー博士の島』を思い起こさせます。もちろんこれはSFですが、遺伝子技術は壮大な将来性を持っており、これが我々をどこに導いていくかは最後までわかりません。この理由からこうした研究は管理されており、国によっては禁じられてもいます。科学は進歩を止めませんが、これ以上進むのは危険だという境界線を見極めさせるのは人間の倫理です」
ここまでです。
なお、ヒトの胚の幹細胞について、「人工多能性幹細胞」という言葉から、日本では「 iPS 細胞」と呼ばれることがありますが、この iPS 細胞というのは、つまりは和製英語で、海外ではまったく使われないですので、ここでも使っていません。
このキメラに関しては、今後も、「科学の花形研究」となっていく可能性がありますので、今回は、個人的な感想にはふれないでおたきいと思いますけれど、それにしても、こういう報道を見るたびに、
「人間にとって、《人体》とは何なのだろう」
と、ぼんやりと思います。
唐突ですが、「イエス・キリストが生まれる以前のキリスト教」というような概念があり、いわゆるローマ法王庁を頂点とするキリスト教というものとは別に、「キリスト教の本質」について、歴史的に、たびたび語られてきました。
そこでは、キリスト教の最終的な目的は、「自分の肉体をすべて変容させること」だとされていたようです。そして、その変容とは、「肉体を持つ」ということ自体から離れていくことで、それがキリスト教の本質であると。
私もそうですが、ますます現代人は、「肉体という存在に縛り付けられている」ということになってきていて、 遺伝子改変とか、そういう方向もまた、「肉体こそすべて」という世になっているということなんでしょうかね。
ロシア人のスヴェトラーナ・セミョーノヴァという人の『ロシア宇宙精神』から、「キリスト教の本質」だと、その人が書いている部分を抜粋して締めさせていただこうと思います。私たち人類は今、こういうところと最も離れた場所へと向かっているようです。

セミューノヴァ『ロシアの宇宙精神』序論より

キリスト教の神秘主義的伝統においては、将来の神化のためには魂や知だけではなく、肉体をも変容させ、肉体に光を与えることが必要とされる。重要なことは、意識を肉体から引き離し、意識によって人間の肉体のすべての器官と力を霊化し、統御することなのである。
人類は低次元の自由にひたりきって自己満足しているが、この自由とは、右往左往し、もがき回る自由である。そのままでは決して最良の選択として精神圏という理想を選び取るような、高度の自由を手に入れることはできない。
そのために人類は、現在の自分の肉体の自然そのものを変革する活動をはじめて、自然の肉体が少しずつこの精神圏というキリスト教的な高度の理想を実現することができるようにしていかなければならない。
人間の道徳的完成を安定したものにするためには、その前に、それと並行して、人間の肉体を変革し、他の生物を食べ、押し退け、殺し、そして自分でも死ぬという自然的な性質から人間を解放しなければならない。


2008年のギリシャで始まり、2019年の香港のデモで本格化した「革命」は、世界を文明の終末へと導くだろうか

投稿日: 2019年8月6日

2019年8月5日の米ニューヨークタイムズより。デモ参加者たちの装備に注意


NY Times




11年の時を経て私の前に広がるその光景は

香港で大規模なデモが発生した際には、個人的には、「それほど長く続かないだろうな」というように考えていました。
その理由は、今が太陽活動の極小期に向かう時だからであり、そのような時には、基本的には、人間の中には、「暴力への強い衝動がなくなっていく」からです。
「しかしなあ・・・」
と、やはり思うのです。
日本では、史上最悪規模の放火、アメリカでは、毎日のように銃乱射が発生して、夥しい数の人たちが亡くなったと報じられ続けています。ちなみに、報道によれば、アメリカの今年に入ってからの銃乱射は以下のようになっています。
2019年のアメリカでの銃乱射
・発生件数 254件
・死者数  268人
ちなみに、これまで、アメリカで  1年間で最も銃乱射が多かった年は 2016年だそうで、この年には 1年で 382件の銃乱射が起きていましたが、今年は、今のペースだと、この過去最悪の記録を上回る可能性が高そうです。
むしろ太陽活動の大きな時より、活動極小期の今のほうが「人間が暴力的」になっている。
昨年の 12月に、以下の記事で、
「次第に、過去の太陽と人類の関係性が崩壊してきているのかもしれない
ということを書かせていただいたことがあります。
実際にそうなのかどうなのかはわからないですけれど、2019年に入ってからの地球は、基本的に暴力的であり、敵対的であり、「憎しみがまず前面に出る状態」であり続けています。
 
その中で、冒頭のニューヨークタイムズの香港のデモに関しての記事の中の写真を見て、
「あ、これはあの時と同じだ」
と初めて知ったのです。
 
そして、それが意味することは、今の香港のデモ参加者たちは、ただ憎しみや反発の中で暴力をおこなっているのではなく、
「排除されることをできるだけ避けて、冷徹に戦い続ける方策の中で行動している」
と知ったのです。
どういう意味かといいますと、実は、私が In Deep ブログを書き始める前の年になりますけれど、2008年の暮れに、つまり、今から 11年も前ですが、その時はタイトルが違いましたけれど、「初めてブログに時事を書き始めたキッカケ」となった出来事があったのです。
その 2008年頃も、太陽活動はとても弱い時で、非常に長い間、太陽にはまったく黒点が出ない日々が続きました。
まあ、太陽活動のことはともかくとして、その「出来事」とは何かといいますと、
ギリシャでの暴動
だったのです。
当時、偶然そのニュースを知った時に、インターネット上でギリシャの若者たちは、その頃実用化され初めていた SNS を使って、ギリシャ全土で情報を共有しました。
暴動は、2008年暮れから 2009年に入っても続きましたが、若者たちはデモに参加する同士で以下のようなメッセージを共有したのです。
2008年12月から始まったギリシャの暴動で若者たちが共有したメッセージの内容の一部
デモに参加する時の服装はパーカーにすること(頭部を守ることができ、どこでも眠ることができる。また、暴動が始まったのが冬だったので防寒の意味も)
リュックを背負うこと(水、食料、薬、その他の道具は自分で持ち運ぶ。また、どこででも眠ることができるようにするためにも)
ゴーグルを着用する(目の保護と催涙弾対策)
口はタオルかバンダナで隠す(催涙弾対策と身元の露呈を避けるため)
最も望ましいのはガスマスクの着用(催涙弾とあらゆる化学兵器に対応する)
できるだけヘルメットなどを被る(頭部の保護のため)
 
2008年暮れに最初にギリシャで暴動が始まった頃には、誰もがそのような経験のない大学生や失業者たちの「素人集団」だったのが、これらの情報共有により、1ヶ月も経たないうちに、以下のような「戦闘集団」と化していったのです。
2009年初めのギリシャ暴動の若者たち
 
治安部隊の移動情報なども SNS で共有し、お互いの行動を支え合いました。
この当時、私は、ギリシャの報道から写真をたくさん集めてコレクションしていましたが、上はその中からのものです。
 
ギリシャでは、その後も、2011年、2012年、2015年と暴動が発生しますが、基本的に、この 2009年の「学習」が踏襲されていました。
2012年9月のギリシャの暴動より


American Front

上は、2012年の時の写真ですが、リュック、ガスマスクなど、デモ参加スタイルが確立されていることがわかります。
私はなぜか、この 2008年に始まったギリシャの暴動に精神的な共時性を感じ、私自身が暴力的な人間だからかもしれないですが、そのギリシャの暴力の光景に、強烈な美しさを感じていました。そして、この時から、私が「ブログに時事を書く」ということが始まりました。
 
さて、11年前にそのようなことがあったということを前提に、現在、香港で起きているデモの写真をご覧いただきたいと思います。
 
2019年8月5日 香港


BBC


NY Times


Al Jazeera

誰も丸腰で暴れてなどいません。
先ほどの 2008年からのギリシャで、若者たちが共有していた「戦闘スタイル」、すなわち、

・リュック
・ゴーグル
・ガスマスク
・ヘルメット

などが、ほとんどの参加者たちに浸透していることがわかります。
おそらく気温も非常に暑いと思われ、水は必携でしょうし、また参加者の中には、傘を持っている人もたくさん見られまして、最初は、日傘の役割かと思っていましたけれど、催涙弾などに対しての簡単な「楯」の用途もありそうで、有用だと思います。
そして、この出で立ちと表情を見てわかったのですが、
「この人たちは、ただ不満や反発から暴れているのではない」
ということになりそうなのです。
それが可能どうかはともかく、
「戦闘を持続させて、勝ち続けようと(排除されないと)している」
ようなのです。
ただ暴動を起こすことが目的なら、適当に暴れて逃げ帰ればいい。しかし、この装備はそういうものではないです。
現実として、たとえば、軍などが投入された場合は、対抗でき得るはずもないですが、警察隊が相手のうちなら、やり続けるつもりだと。
表情も冷静ですし、そのあたりも、2009年のギリシャの若者たちと共通のものを感じます。
つまり、暴動というよりは、「革命」ですね。
 
「 11年経って、ギリシャ暴動魂が香港の人たちに移行したのか…」
 
ということに気づきまして、またも、2009年のように、突然、香港の人たちに精神的な共時性を感じ初めてしまっています。
 
2009年当時、私は、「民主主義を含めて、現代に通じる多くの文明を築いたのがギリシャならば、その現代に至る文明を破壊するのも、ギリシャ人の役割」だと思っていました。
しかし、まさか、2009年のギリシャと同じ光景が、2019年の香港で展開されることになるとは・・・。
 
なお、「軍(人民解放軍)の投入」については、8月6日のブルームバーグの記事の冒頭が、その困難性を現していまして、本当に収集がつかなくなった場合以外は、そう簡単には実行されない気もします。

香港の混乱収拾、習国家主席に限られた有効な選択肢

ブルームバーグ 2019/08/06
香港が終わりの見えない混乱に揺れる中、中国の習近平国家主席に残された事態打開への選択肢はどれも良いものではない。
民主化を求めるデモ参加者に甘い対応を取れば、混乱の広がり次第で政変も可能であることを本土の反体制派に示すことになりかねず、共産党の権力掌握が脅かされる。
一方、治安回復のため人民解放軍を出動させれば国際的な反発を招く恐れがあり、成功する保証もないまま香港経済に取り返しのつかない打撃を与える可能性もある。
 
なお、人民解放軍が出動した時には、
「世界は、一種の終末的な黙示録に突入する可能性がある」
ほどのもののようにも思います。
それでも、今のカオスが拡大するようなことがあれば、その可能性もないではないのかもしれません。
なお、8月5日までの香港において、デモなどの混乱が発生した場所と、警察による催涙弾が使用された場所は以下のようになっており、香港全土に広がっています。


NY Times

あまり関係ないことですけれど、8月6日午後の時点で、アジア周辺には、台風8号、台風9号、台風10号と 3つの台風がありまして、このうち、台風 9号は、香港に直撃するか、影響を与えそうです。
2019年8月6日の3つの台風


台風情報

こう見ますと、台風10号は、日本列島直撃コースとなりそうですね。
そして、先ほども書きましたけれど、この香港のデモは、今では中国地域だけの問題ではなくなってきています。
仮に「人民解放軍の出動」という事態が起きた場合の、さまざまな国や地域の反応によっては、
「香港のカオスが世界全体のカオスにつながる」
という可能性もないではないのかもしれません。
そして、現在の香港の人たちが、2009年のギリシャの人たち同様に「冷徹に計算して行動し続ける」限り、その可能性に近づくこともあり得るかもしれません。
世界は今、緊迫した場所に立っているようです。


まさにカタストロフの時代へ : 英国のリスク調査企業が、全世界の2019年前半における自然災害での経済的被害額が「8兆円」にのぼると発表

投稿日: 2019年7月27日

2019年前半に「破局的な被害」を出した自然災害の発生場所


Catastrophe Insight




21世紀に生きる私たちの住む地球の凄まじい様相を数字で知る

英国のリスクリサーチセンターのであるエイオン・ベンフィールド UCL (Aon Benfield UCL)が、7月26日に、
「 2019年前半の世界の破局的な自然災害の状況」
を、経済的損失と人的被害のそれぞれから発表しました。
タイトルは、「カタストロフの洞察 Catastrophe Insight」というもので、アジア、欧州、北米、中東、アフリカなど、各地域の自然災害の被害統計がまとめられています。
このデータによりますと、2019年前半のこの地球の自然災害での被害額は、
730億ドル (約 8兆円)
にのぼっていることが明らかとなりました。
これは、2019年1月から 6月までの、たった半年の間の経済的被害です。
このうち、自然災害に対してかけられていた保険の支払いによる損失は 200億ドル ( 2兆2000億円)に達しています。
この 2019年の前半で、最も大きな経済的被害を出した自然災害は、損失額の多い順に、
・洪水
・豪雨
・竜巻
となります。
この損失額の数字はすごいです。
たとえば、以前、「西暦 1900年から 2015年までの自然災害による経済的損失」について以下の記事でご紹介したことがあります。
この時にご紹介したドイツのカールスルーエ工科大学のニュースリリースは、以下のようなものでした。
2016年4月のカールスルーエ工科大学のニュースリリースより


kit.edu

このように、1900年から 2015年までの約 115年間の間に、経済的被害は 770兆円などに達していたことがわかったのでした。
しかし、現在の 2019年というのは、「半年で 8兆円の経済的損失」を出しているのです。
何となく計算するだけでも、何倍何十倍というペースで自然災害による損失が出ていることを示しています。
今後の 6ヵ月がどういう推移を見せるのかわからないにしても、猛暑や山火事、台風やハリケーンなどの自然災害が発生するのは、主にこれからですので、2016年後半も、さらに自然災害による被害は多くなると考えられます。
たとえば、前半と同じような経済的被害が出たとして、年間で十数兆円というようなことになりそうで、過去のいかなる時代よりも、人間社会は自然災害に「攻撃されている」と言えそうです。
 
そして、先ほどの過去記事に掲載しましたグラフでわかりますのは、
「自然災害は 20世紀後半から増加し、21世紀に爆発的な状況となった」
という感じになっています。
1900年から 2015年までの自然災害での経済的損失の推移


kit.edu

世界の自然災害による損失額は、1990年頃から、コンスタントに 1兆円を越えるようになり、21世紀になると、かつてなかったような数字となっていることがわかります。
それでも、2015年までは、上のグラフを見る限りは、最も経済的損失が大きかったのは 2011年(東日本の震災があった年)の約 5兆円です。
それが、今年は、半年ですでに 8兆円。
半年間で、すでに 2011年の記録の 2倍近くの数値となっているのです。
今後どこまで急激な増加を見せ続けるのかわからないですが、上の自然災害による経済的被害のグラフに、2019年までの統計を加えたものはすごいカーブを描きそうです。
冒頭に示しました図は、自然災害により大きな被害を出した災害の地域が、地図に掲載されているものですが、その中でも、特に甚大な被害を出した災害が発生した場所は以下のようになります。
2019年前半に甚大な被害を出した自然災害の発生場所


Catastrophe Insight

色分けは下のようになります。
こうして見ますと、色分けが「水色」のものが多いことがわかりますが、水色は「洪水」です。日本の九州から、中国、モンゴル、ロシア、アフリカ、アメリカ、南米と全世界で「破局的な洪水」が発生していたことがわかります。
以下の記事など、ブログでは「洪水の時代」というキーワードを使うこともありますが、この地図を見まして、それを実感します。
 
濃い青は、「極端な気候」という内訳で、アメリカの中西部と中央ヨーロッパに集中的に示されていますが、これはアメリカとヨーロッパでは、それぞれ違いまして、
・アメリカは冬から春の異常な寒波と日照不足
・ヨーロッパは、6月下旬の異常な熱波
を示していると思われます。
 
いずれにしましても、21世紀というのはすごいです。
地震なども、ある意味では「 21世紀に本格化した自然災害」といえますし。


Increase of Earthquakes in the last decade

さらには、以前、以下の記事で書かせていただいたことがありますが、山火事も、21世紀に本格化した自然災害です。
PREC
 
あるいは、「雹による経済的被害」というのも、21世紀になって、唐突に増えたものであることを以下の記事でご紹介させていただいたこともあります。
 
そして、今後の 2019年後半も、熱波や暴風雨などの発生する時期がこれからだと考えますと、今年前半と同じように、 21世紀的な自然災害が中心となっていくと予測されます。
すなわち、水の災害と火の災害が共に発生する中で、雹や竜巻や暴風や落雷や地震や火山の噴火が各地で起きて、熱波と寒波の地域が同時に現れるという構図は変わらないと思われます。
完全に聖書的な世界に突入しているこの世ではあります。


マグニチュード6.4の地震が発生したカリフォルニア州のサンアンドレアス断層上で、今度はマグニチュード 7.1の大地震が発生。過去20年で最大の地震

投稿日: 2019年7月6日
2019年7月6日 米カリフォルニアでの地震についての速報
震源

Googla Map



 
昨日、北米でマグニチュード 6級の地震が立て続けに起きたことを以下の記事で知り上げさせていただきました。
そのうちのカリフォルニア州での地震と同じ震源で、日本時間の 7月6日の午後12時20分頃、今度はマグニチュード 7.1の大地震が発生したことが、速報で伝えられています。
以下のふたつの地震のうちのカリフォルニアの方となります。

USGS
これを書いている現在は、地震発生からまだ 1時間も経っていない状態でして、被害等を含めて、どのような状況かわかりません。
しかし、マグニチュード 7を超える地震となりますと、2019年の熊本地震と同じレベルの規模となり、基本的には大地震といえるものだと思われます。
アメリカ地質調査所のリアルタイムデータを見ますと、震源の深さが、1キロ未満となっていまして、かなりの揺れが予測されます。
M7.1の地震の詳細

USGS
また、昨日の地震の後、マグニチュード 2.5以上の地震だけで、100回以上の余震が記録されていて、非常に活発な地震活動が継続しているようです。
現段階では、これ以上のことはわからないですが、「最初の地震より規模の大きさ地震が次に起きた」ということをどう考えるのかというあたりも含めて、やや複雑な地震というようなことになるかもしれません。
前回の記事でも書かせていただきましたが、この場所は、巨大地震が想定されているサンアンドレアス断層上であり、そして、カスケード沈み込み帯というやはり超巨大地震が想定されている場所ともつながります。
マグニチュード 7.1の地震は確かに巨大ですが、しかし、ここからさらに連動するようなことがあった場合、事態は多少深刻なものとなるかもしれません。



地球の気候が本格的なカオスに : インドでは連日の50℃超の猛暑で多数が死亡。アメリカでは夏の大雪。オーストラリアでは氷点下の猛寒波。南極では-86℃を記録。そして日本には梅雨が来ない

投稿日: 2019年6月22日

インドの熱波を伝える2019年6月18日のNHKニュースより


India heatwave leaves 200 dead

2019年6月21日のオーストラリアの最低気温(青の地点はすべて氷点下)


Freezing weather for the rest of the week




 

世界全体に異常気象による農業の危機が拡大中

地球全体として、気温や気象がますますムチャクチャなことになっています。
日本にしても、何となくおかしなことになっていまして、それほど大荒れの状況が出ていないので話題になりにくいですけれど、多くの地域で梅雨入りしていません。
以下は 6月20日の日本気象協会のニュースの冒頭です。

異例づくしの「今年の梅雨」 この先は?

tenki.jp 2019/06/20
今年の梅雨は、いつもの年とは、かなり違っています。
違いの1つめは、「梅雨入り」が遅れていること。平年ですと、この時期は、沖縄から東北にかけて「梅雨の真っ最中」ですが、20日木曜日現在、九州北部や四国、中国、近畿では、まだ梅雨入りが発表されていません。原因は、梅雨前線がなかなか北上しないから。
九州北部や四国、中国、近畿は、1951年の統計開始以来、梅雨入りが最も遅い記録に並んだり、遅い記録を更新する可能性もあります。
 
そして、今日 6月22日にもまだそれらの地域では梅雨入りが発表されていませんので、四国に関しては「観測史上最も遅い梅雨入り」が確定しました。
九州北部や中国、近畿なども、週明けに梅雨入りしなかった場合は、観測史上最も遅い梅雨入りとなると思われます。
そして、関東などの地域も梅雨入りしたとはいえ、本格的な雨が降っていません。
梅雨のない北海道を別にして、日本の多くの地域は、梅雨があることを前提に農業の行程が進められますので、今後どうなるか気になりますね。
雨は年間で必要量が降ればいいというものではなく、適切な時期に、適切な量が降るということが、農業にも、あるいは経済全般にも必要なことだと思われます。
今後、急にたくさん雨が降り始めたとしても、今年はいろいろと難しい面が出てきそうです。
以下のような記事でも取り上げていますが、今年は「日本がたくさん食糧を輸入している国々」が、自然状況の崩壊で、農作が大変なことになっています。
アメリカは、大雨と洪水と寒波により、広い地域で、「今年は農作自体が放棄された」という状況になっていて、フランスも春の寒波により、ワイン用のブドウやトウモロコシが絶望的な状況になりました。
穀物の一大輸出国であるオーストラリアは、116年ぶりの大干ばつにより「海外から穀物を輸入する」という事態に陥っています。
そのオーストラリアは、今度は、冒頭にも載せましたような「異常な寒波」に現在見舞われています。
南半球のオーストラリアは、これから冬に入るとはいえ、冒頭の気温分布のような「全土の3分の2以上の最低気温が氷点下となる」というような国ではないです。
また、南半球の気温といえば、6月20日に、南極大陸で「 -82.7℃」が記録されたことが報じられていました。記録されたのは、「ドームA」と呼ばれる標高 4093メートルの高地です。
2019年6月20日 南極で -82.7℃が記録される


Severe Weather Europe

この南極のドームAは、世界で最も気温が低い場所とされていまして、過去には「 -89.2℃」を記録したことがありますが、南極の気温が本格的に下がる季節はこれからだと思われますので、今年は、新記録が期待されるかもしれません。
そして、夏を目前にしたアメリカのモンタナ州では、6月20日に「大雪」が降りました。こちらはもう異常気象そのものです。
以下の写真は、雪の中でたわむれる結婚式中のおふたりです。
2019年6月20日 米モンタナ州ボーズマンにて


Bozeman、Montana 06/20/2019

ジューン・ブライドのその日は雪だった……ということで、思い出には残るかもしれません。
まあしかし、来年も再来年も、6月に雪が降るということになるのかもしれないですが。
 
 

狂気じみた気象に陥っているヨーロッパとロシア

ヨーロッパは、気温云々を超えて、比較的全域が、
「狂った気候」
と表現して構わない状況となっていまして、先日も、以下の記事で「ヨーロッパの広範囲に、直径 10cm以上の雹(ひょう)が降った」ことをお伝えしています。
 
下の図は、この記事に乗せました「10cm以上の雹が降った場所」です。
2019年6月に巨大な雹に見舞われたヨーロッパの場所


ESSL

 
もう、これに関しては完全に異常でありまして、かつてなかったことであると同時に、現在のヨーロッパでは、「このようなことが繰り返されている」ということが、もう黙示録的といってもいいかと思います。
そして、この雹で、またしてもフランスなどで農作物が壊滅的な被害を受けていまして、食糧への影響は拡大しています。
この「雹」というものの被害は、「 21世紀になってから唐突に拡大した事象」であることについては、以下の記事でふれたことがありますが、同時に、この記事を書きました 5月以来、全世界で雹の報道がさらに増えています。
アメリカでは、夏を前にして、すでに 2019年の雹による経済被害が過去最大となっているこことが伝えられています。ヨーロッパ各地も、農業被害を含めて、おそらく過去最大の被害となっていると思われます。
雹は、合理的には「非常に荒れた気象状況」を示す事象ですが、一方では、雷と共に象徴的な意味を持つ事象でもあるだけに、世界各地で雹が連続し続けているというのは、印象深いことでもあります。
 
ここまでは、どちらかというと、寒波のほうの問題のある国や地域についてでしたが、南アジアの地域では、過去最大の「熱波」に見舞われています。
 
 

1ヵ月以上50℃超が続くインドでは「水暴動」も勃発

インドは、5月の中旬頃から、平年ではあり得ない高温が続いていまして、特に、インド北部と中部では、すでに 1ヵ月以上、異常な高温が続いています。
以下は、最近のインドの中部から北部の最高気温ですが、このような状態が、もう 40日ほど続いているはずです。
2019年6月19日のインド中部から北部の気温。デリーで48℃は史上初


climatesignals.org

インド中部から北部の 50℃近くというような極端な気温ではないにしても、インドでは、ほぼ全域が猛暑となっています。
冒頭には、この猛暑で 200名以上の方が亡くなっていることにふれましたが、死者が急激に増えている原因のひとつとして、「深刻な水不足が発生し、拡大している」ことがあると思われます。
先ほど「日本に梅雨が来ない」ことにふれましたが、インドも北部や中部に「雨をもたらすモンスーンが来ない」のです。
高温が続いてる上に、雨が降らないために、水不足も深刻になっています。
たとえば、以下の写真は、都市圏人口が 867万人にのぼる南インドの世界都市チェンナイの「最大の貯水池」の現在です。
水がほぼ完全に枯渇したインド・チェンナイ最大の貯水池


boletin del tiempo

このように、インド各地で水が枯渇しており、6月20日には、水不足による暴動も発生したことが伝えられています。
以下は CNN の報道からです。

インドの水危機が深刻化、抗議デモで500人以上逮捕

CNN 2019/06/21
インド南部タミルナドゥ州の州都チェンナイで、大規模な干ばつのために数百万人が深刻な水不足に直面している。20日には今年に入って初めて本降りの雨が降ったが、水不足は解消されそうにない。
同州のコインバトールでは19日、空の水タンクを巡り当局が対応を怠ったとして抗議する市民らが市庁舎前に詰めかけて、少なくとも550人が逮捕された。
チェンナイに水を供給する4つの貯水池は、ほぼ枯渇しかけている。
気象庁によると、20日の雨は翌日以降も続くと予想され、その間は猛暑も収まる見通し。
しかしタミルナドゥ州気象局によれば、降雨によって熱波からは一時的に解放されるものの、枯渇しかけた貯水池を満たす助けにはなりそうにない。「貯水池を満たす雨は11月まで期待できない」という。

地下水の水位が低下し、雨水も不足する中で、州政府はチェンナイの住民にトラックで水を配送しており、大勢の住民が長蛇の列をつくって水の配給を待っている。
インドは全土が熱波に覆われ、ムンバイやデリーなどの大都市も水不足に見舞われている。

この報道の絶望的な部分は、
> 貯水池を満たす雨は11月まで期待できない
という部分かと思われます。
この苦境を乗り切る方法ってあるのですかね・・・。
 
水不足については、ウィキリークスが 2016年に「 30億人分の水が足りなくなる」とした文書がリリースされています。
以下の記事で内容をご紹介しています。
具体的には、2050年までに以下のようになると報告しています。
・中東は水不足による原因で GDP が 14%落とされる。中央アジアでは GDP が 11%落ちる
・東アジアでも、旧態依然の水の管理体制のままの場合、 GDP が 7%削ぎ落とされる可能性がある
・深刻な水不足は、東アフリカ、北アフリカ、中央アジア、南アジアの一部で発生することが予測される。それらの地域では、部分的に現在の3分の2まで使用可能な水量が減少する
日本に住んでいると、そんなに深刻な水不足というものを実感する機会は少ないですが、現在のインドのように、「少しモンスーンが遅れている」だけで、何億人という人たちに影響を与える水不足が起きているという現実もあります。
今年の日本も、地域的には少雨のまま夏に至る可能性がありますので、インドほど深刻ではないとはいえ、水不足の問題は出てくるかもしれません。
 
いろいろと脈絡なく、現在の世界の気温や気象のことを書かせていただきましたけれど、夏を前にしてこうだと、夏から秋の「最も荒れやすい時期」は、いろいろな意味で大変なことになっても不思議ではないかもしれません。
それに加えて、地震と火山の活動もまだあるでしょうし。
非常に急進的な形で地球の環境の変化が進行していることを感じます。

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