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「アメリカでは毎48時間ごとに500人が医療ミスで死亡している」という天体物理学者による投稿が物議を醸す中、計算し直してみたら「48時間で1300人以上」だった件について

投稿日: 2019年8月7日

2019年8月6日の米国科学メディアより


sciencealert.com




 

最近のアメリカでは連日のように乱射事件で人命が奪われていますが、そのような中、8月4日、アメリカの著名な天体物理学者であるニール・ドグラース・タイソン (Neil deGrasse Tyson)さんという方が、2日間で 34人の方が犠牲になったということを引き合いにしながらも、以下のようなツイートを投稿し、それが物議を醸しました。

下はその投稿の一部です。
2019年8月4日のニール・ドグラース・タイソン博士のツイートより


Neil deGrasse Tyson

アメリカでは 48時間という時間のあいだに、これだけの数の人たちが、このような原因で亡くなっていると。

500人が医療過誤で死亡し
300人がインフルエンザで死亡し
250人が自殺で死亡し
200人が自動車事故で死亡し
40人が拳銃で撃たれて死亡している

 
これは、乱射の犠牲者の数との比較ということではなく、アメリカの医療従事者の人たちに対して、アメリカの医療をさらにより良くしてほしいというメッセージのつもりだったと博士は後に述べています。
しかし、この投稿の直後から、医療関係者あるいは科学関係者から、この投稿に対しての反対意見が相次ぎました。
つまり、
「アメリカでは、医療ミスでそんなにたくさんの人は亡くなってはいない」
という反論が相次いだのです。
冒頭のサイエンス・アラートの記事もまた、このタイソン博士の投稿の内容に異議を唱えるものでした。これは非常に長い記事で、アメリカの医療ミスの統計についての、さまざまな過ちの歴史などが書かれているのですが、この記事そのものは、ご紹介することに意味があるものとは思えませんでしたが、しかし、そういう医療研究の専門家の方々はともかくとして、私たち「一般人」にしてみれば、そういうものの正確な数値を知りたいのなら、
「最も権威のある医療統計を信じる」
という方法しかないような気もするのです。
たとえば、世界で最も権威ある医学誌のひとつに、イギリス医師会が発行するブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)があります。
その BMJ に、2016年に掲載された「医療過誤(医療ミス)」に関しての論文をご存じでしょうか。そこに掲載されている数が真実に近いものなら、何と、先ほどのタイソン博士が述べた数字よりもさらに、「医療ミスで亡くなっている人の数は多い」ということになってしまうのです。
以下は、その BMJ の論文について報じた AFP の記事です。
 

医療ミス、米国で死因3位

AFP 2016/05/05
医療ミスが米国における死因の3位になっているとの研究結果が、3日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。
研究によると、2013年に、回避可能なミスにより死亡した人は少なくとも25万人に上った。この人数は、脳卒中とアルツハイマー病を合わせた死亡者数よりも多く、また、毎年それぞれ約60万人の死亡の原因とされる心臓疾患とがんに続き3番目に多い。
また、この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。

研究結果をまとめた論文の主著者で米ジョンズホプキンス大学医学部のマーティン・マケリー(Martin Makary)教授は「バクテリアや心臓疾患だけが死因ではない。人はコミュニケーションの失敗、医療の細分化、診断ミス、過剰投薬などによっても死亡する」と述べた。

マケリー教授は「これらを合わせると米国の死因3位になる」と続け、世界の保健問題において報告が実際より最も少ないのが医療ミスだと付け加えた。過去の研究によると、医療ミスによる死亡者は推計で年間25万〜44万人に上る。

 
ここまでです。
この論文に対しても、多くの反対意見が出たと思われますが、しかし、西洋医学の世界で、「 BMJ に掲載されたジョンズホプキンス大学医学部の研究」を信じてはいけないのなら、私たち一般人は何を信じていいのだろう、という話でもあるのです。
ちなみに、このジョンズホプキンス大学の研究の数値に従うと、以下のようになります。
先ほど、タイソン博士は、「アメリカでは 48時間ごとに 500人が医療過誤で死亡している」としまして、そして、この数値に対して「そんなに多いわけがない」という反論をたくさん受けたのですけれど、上の報道にありますジョンズホプキンス大学の研究によるアメリカでの医療過誤での死者数の推計値の中の「最も少ない数」である 25万人だとすると、
250000 ÷ 365 = 684人
となり、「 1日平均で 684人の方が医療ミスで亡くなっている」ことになります。
ということは、48時間で 1368人となり、タイソン博士の数より、さらに大きなものとなりまして、
アメリカでは 48時間ごとに 1300人以上が医療過誤で死亡している
ということになってしまうのでした。
あるいは、ジョンズホプキンスの研究での最大値である「 44万人」ですと、
アメリカでは 48時間ごとに 2400人以上が医療過誤で死亡している
ということになります。
また、上の AFP の報道では、
> この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。
という下りがあることから、医療過誤による現実的な死亡数は、相当なものとなっている可能性があります。
特に、過剰投薬に関しては、結果として、かなり多くの人に害を与えていると思われます。
たとえば、頭痛や関節痛などの時に誰でも服用する「鎮痛剤」ですが、一般的に処方される消炎鎮痛剤のほぼすべてが「非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)」と呼ばれるもので、この薬の「致死率」もかなりのものです。
私も、十数年前に、整形外科で処方されたボルタレンという非ステロイド性抗炎症薬を服用している中で胃潰瘍を発症し、その後、深夜に大吐血をして救急病院に運ばれ手術をして入院するハメになったという思い出があります。
こういう薬の副作用などについては、一般的には医療過誤には入れられませんが、医療過誤に「薬の害」の事例を含めますと、相当な数になっていくと思われます。
なお、先ほどの鎮痛剤に関して、非ステロイド性抗炎症薬 - Wikipedia には、以下のような記載があります。
NSAIDsを処方された患者の10〜20%に消化器症状が現れ、アメリカでは年間に10万人以上が入院し、1万6500人が死亡している。また、薬剤が原因の救急患者の43%をNSAIDsが占めている。
日本人の場合は、アメリカ人より、ピロリ菌という胃に炎症を発生させやすい細菌を胃に持つ人が多いですので、アメリカでの事例以上に、鎮痛剤から胃潰瘍になる方は多いと思われます。
ちなみに、ピロリ菌に関しては、私の自身の経験(ピロリ菌の除菌)から、「ピロリ菌は、人間にとって悪さをする細菌ではない」と確信していますが、それについては以下の記事などをご参照下さればと思います。除菌したことは本当に誤った選択だったと思いますが、一度除菌されたピロリ菌が戻ることはありません。
そして、最近は、以下の記事でご紹介しましたけれど、なんということもない症状に使われる「ありふれた薬」が、認知症の発症リスクを増加させていることなどもわかってきています。
その認知症発症リスクの増加ぶりは、それほど軽視できるものではなく、こういうものは、医療過誤とは言われないものですけれど、「何とかしたほうがいいのではないか」とは思ったりすることもあります。
 
なお、アメリカ人の死因の上位は、以下のようになっています。


CDC

1位の心臓疾患で亡くなる方と、2位のガンで亡くなる方が、それぞれ年間 60万人くらいですが、医療過誤での死亡数に関しては、先ほどのジョンズホプキンス大学の研究の「 25万人から 44万人」という数字を照らし合わせれば、ガンの次の 3位ということになりそうです。

私個人としては、先ほど書きましたように、「薬による幅広い副作用の影響」を考慮すると、あるいは「死因の 1位なのかもしれない」と思うこともあります。
とはいっても、これは医療を非難しているわけではありません。西洋医学というものは、そもそもが「仕方のない犠牲」の上に進んできたものだということの前提上にあると私は理解しています。
副作用のない西洋薬というものが存在しないように、西洋医学そのものの中に「何かを犠牲にして何かを治す」という思想は常にありまして、その思想の流れの中では、医療過誤による死亡数が多いことは当然でもあるのかもしれません。
なお、医療過誤のような経験をしないための唯一の方法は、「医療にかからない」ということになるのでしょうけれど、現実の世の中は、それとかけ離れていることなどを含めまして、なかなか難しい時代です。


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ジェット気流も気温も狂乱している7月の空の下を移動しながら

投稿日: 2019年7月24日

2019年7月23日 熱波の中の米ペンシルバニア州に出現したマイクロバースト


Doylestown, Pennsylvania, July 22, 2019




 
みなさま、こんにちは、In Deepのオカです。
7月22日頃から、やや慌ただしく外出をしていまして、現在、自宅に戻っているところですが、そのようなこともあり、昨日今日とブログを普通に更新できないような感じとなりました。
出先の場所では、わりとテレビがずっとついていたのですが、何だかずーっと同じ内容に関する芸能ニュースが続いていて、奥さんに、
「1975年4月のサイゴン陥落のような騒ぎだけど何があったん?」
と聞き、奥さんも何か言ってくれましたが、よく理解できませんでした。
ところで、移動中、ニュースを見ていまして、世界の気温が「また、熱波のサイクルに入った」ことも知りました。
アメリカでは、体感気温が 50℃になった場所があるようなことが報じられていまして、ヨーロッパのは、また1ヶ月前の熱波に逆戻りの以下のような状態にあるようです。
今週のヨーロッパ各地の予想気温


thesun.co.uk

以下は、ちょうど1ヶ月ほど前の報道です。

欧州全土で6月異例の猛暑、40度超の予想 フランスなど厳戒態勢

AFP 2019/06/25
欧州全土は24日、6月として異例の猛暑に見舞われた。今週はさらに高温が予想されることから、各地の当局は警戒を呼び掛けている。
気象学者たちによると、この例年より早い熱波の到来は、サハラ砂漠から吹き込む熱風によって起きている。週後半にはさらに高温が予想され、欧州の広い範囲で気温が40度まで上がる可能性もある。
各国政府は、特に子どもや高齢者の脱水症や熱中症への警戒を呼び掛け、医療機関は多数の患者を見込み厳戒態勢で備えている。
 
この再来のようですけれど、実はヨーロッパのこの時の熱波は 3日間ほど続いただけで、その後は、平年より寒い夏が続いていました。
そこにまた熱波ということで、いよいよ体調とか農作物とかも大変かもしれません。
この頃の異常な世界の気温について、以下の記事などで取り上げさせていただいています。
この時のヨーロッパの熱波は、アフリカ大陸からの熱い大気がヨーロッパに流れ込んだために起きたということになっていましたが、そういえば、「最近は、なぜ、気温や天候の変化がこんなに急激に起きるのか」ということについて、それと関係があるかもしれないニュースがありました。
それは、
「太平洋上空を、かつてない速度のジェット気流が駆け抜けていた」
ことがわかったのです。以下は、7月18日の太平洋上空のジェット気流の速度です。
過去最強のジェット気流が太平洋から北米上空に出現


The Strongest Summer Jet Stream to Hit the Pacific Northwest

赤の部分は、時速に換算しますと 260キロメートル超に相当し、これはこの時期の太平洋上空のジェット気流としては、過去最大級の速度となるのだそうです。
ジェット気流といえば、2017年にも、大西洋からヨーロッパの上空で、過去に例がない速度のジェット気流が移動していたことを以下の記事でご紹介させていただいたことがあります。
こういう異常といえる大気の流れが、地球の各地を移動している中で、本来はその地域にはないような気温や気象が「次々と運ばれている」のかもしれません。
そして、今はアフリカなどからの熱い大気による熱波となっていますけれど、気流の流れが、北極や南極からの大気を運んでくるようなものとなった場合には、熱波が一転して寒波になることもないではないのかもしれません。
以下の記事で取り上げましたように、基本的に、今の地球の大気の流れは崩壊しつつありますので、何が起きても不思議ではないです。
そんな中で、日本の多くは記録的な日照不足です。
今年は夏以降も激しい気温と気象の異変が続きそうですけれど、私もみなさまも何とか穏やかに過ごせるとよいのですけれど。


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アメリカで多くの大学生が「ツナを常食することで高レベルの水銀に曝露している」ことが判明。大型のマグロの水銀含有量は予想以上に高い模様。なら、マグロの一大消費国である日本は…

投稿日: 2019年7月5日

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究を紹介した科学メディアの記事より


ineffableisland.com




 
最近は、「この食べ物のリスクはどうだ、あの食べ物には何が含まれている」というようなことを述べる記事も多くなっていて、心苦しい部分はあります。
本当なら、「そんなもん大丈夫でえ! 何でもかんでも食べようぜ」と主張したいのですけれど、各国の大学や研究所などの論文で、何かが発表されると、「ちょっと気になりますね」というようなことになり、読んでいるうちに、
「ああ、これはご紹介しておかないと」
というような気持ちになることが多いです。
確かに今の世の中で「危険な食品」が多くなりすぎていることは事実なのかもしれません。
昨日、最近の科学論文の一覧などを見ていましたら、
「マグロに含まれている水銀と、その消費量についての調査」
についての記事を見たのです。
論文は、アメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校の「学食」で食事をとる学生たちを調査したもので、私はアメリカの学食事情を知らないのですが、みんな大変によくマグロ、つまりツナを食べるようなのですね。
そして、多くの学生たちが「マグロの過剰摂取により、体内の水銀の安全基準を超えている可能性がある」ことがわかったというものなのです。
私は、
「マグロもかよ」
と呟きながら、しかし何だかんだと、刺身という形でなら、おそらく世界で最もマグロをよく食べているかもしれない私たち日本人はどうなんだろうと思った次第でした。
先にその論文を取り上げた科学記事を掲載しておきます。
これを読む限りでは、お寿司とか刺身定食などで、頻繁にマグロを食べている場合は、結構な水銀量に曝露している可能性がありそうです。
 

Tuna Eaters Are Unaware of Mercury Exposure Risks
ineffableisland.com 2019/07/01

マグロを食べている人たちはその水銀曝露リスクに気づいていない

最近の調査によると、ほとんどのアメリカの大学生はマグロ(ツナ)を大量に摂取すると、神経毒性の水銀にさらされることを知らず、推奨量を超えて摂取していることが多いことがわかった。
大学の食堂で食事をする学生たちの中には、有毒な重金属である水銀が含まれるマグロを、推奨される量をはるかに超えて食べ続けている人が多数いる。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究者たちは、マグロの消費習慣や水銀曝露の危険性について、キャンパスの学生たちを調査した。同時に、学生たちの毛髪サンプル中の水銀レベルを測定した。
その結果、彼らの毛髪に含まれる水銀レベルは、学生が食べたマグロの量と密接に関連していることが見出された。さらに、学生たちの中には、その毛髪の水銀レベルが「懸念されるレベル」と考えられるものより上であった人たちもいたのだ。

マグロや他の大型魚は、その最も有毒な形(メチル水銀)でかなりの量の水銀を含んでいる。大学生を対象とした調査では、マグロを食べる人の半数が 1週間に 3回以上マグロを食べていると報告しており、これは、水銀に関するアメリカ環境保護庁(EPA)の基準線量を超える可能性がある。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の環境毒物学の専門家であるミラ・フィンケルスタイン (Myra Finkelstein)准教授は、次のように述べる。
「私たちの調査の結果は、魚をたくさん食べる人たちの毛髪中の水銀レベルに関する他の研究と一致していました」
 
神経学的影響
マグロや他の大型魚は、最も毒性の強いメチル水銀の形で、かなりの量の水銀を体内に含んでいるが、ヒトが、そのような高レベルのメチル水銀にさらされると、神経学的損傷を引き起こす可能性がある。
神経学的発育と生殖の健康への影響のために、水銀曝露についての懸念は妊娠中の女性と子どもたちにとって最大のものだ。フィンケルスタイン准教授は、大学生は神経系がまだ発達している最中であり、また、生殖できる年齢であるため、水銀への曝露は制限すべきだと述べる。
准教授は、環境中の水銀について学生たちが知らないことがわかり、また学生たちがどれだけのマグロを食べているのかについて聞き取りをした時から、この研究を行おうと考えたという。
フィンケルスタイン准教授は以下のように言う。
「学生たちが毎日マグロを食べていると言った時、そして彼らに、マグロを食べることより水銀にさらされる危険性があるということについての知識がなかったことを知り、愕然としました」
研究は、大学院生のヤスヒコ・ムラタ氏が主導し、科学誌「エンビロンメンタル・トクシコロジー・アンド・ケミストリー (Environmental Toxicology and Chemistry)」に掲載された。
調査では、約 3分の 1の学生が毎週マグロを食べており、そして、マグロの食事の 80%が大学の食堂で行われていた。大学の食道では、マグロは、サラダバーに常時ならんでいる。
そして、マグロを食べる学生たちの半数は、アメリカ環境保護庁によって設定されたメチル水銀の基準用量の最大安全レベル( 1日当たり体重 1キログラムあたり 0.1マイクログラムのメチル水銀)を超えている可能性がある「週に 3回以上マグロを食べている」と答えた。
結果が発表される前に、フィンケルスタイン准教授は、この調査結果を、食堂を監督する大学の管理者と話し合った。今後、キャンパス内の食堂の新しい看板は、マグロに含まれる水銀についての情報と魚の消費のためのガイドラインを学生たちに与えることになるだろう。
フィンケルスタイン准教授は、マグロに含まれる水銀のこの問題は、食堂を備えたあらゆる種類の施設にあてはまることだと言う。特に、子どもや若い人を対象にした学内食堂や寄宿学校などでは懸念になる可能性があると述べた。若い人たちが、この水銀の問題を知らず、非常に多くのマグロを食べている可能性がある。
 
マグロの食事は週に1回以下で
ほとんどすべての魚は水銀を含んでいるが、マグロ、特に大型種は比較的高レベルの有毒金属を蓄積することが知られている。
魚を食べる場合は、水銀が含まれている量の少ない魚は週に 2〜 3回食べて問題はない。水銀の少ない大型魚は、カツオやコシナガ(最も小型のマグロ類)などだ。
そして、水銀レベルの高いマグロは、週に1度にするべきだという。水銀レベルの高いマグロには、ビンチョウマグロやキハダマグロがある。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校で調査を受けた学生のうちの何人かは、週に 20回以上、マグロを摂取していたと報告されている。
研究者たちは、食堂で出されているマグロの水銀含有量を分析し、数ヶ月にわたって定期的にサンプルを集めた。その結果、マグロの水銀含有量は変動することがわかった。
研究者たちは、アメリカ環境保護庁の水銀の基準投与レベルを下回るためには、体重60キロの人の場合、1週間に低水銀マグロなら 2食まで摂取できるが、高水銀のマグロは 1週間に 1食未満までと計算した。
しかし、マグロや他の魚の消費に関するこのような勧告には難しい面もある。すなわち、魚は非常に栄養価が高く、有益なオメガ 3脂肪酸や他の栄養素を含んでいるという事実があるためだ。このことによって話は複雑になっている。
さらに、水銀濃度は魚の種類によって大きく異なる。アメリカ食品医薬品局および環境保護庁は、妊婦、および幼児の介護者のために魚を食べることについて助言を出している。

 
ここまでです。
摂取量に関しては曖昧ですけれど、大型のマグロは「 1週間に 1度以上はダメ」ということを、このフィンケルスタイン准教授は言っているのですね。
その場合の体重の基準を 60キロとしていますが、
「じゃあ、子どもはどうなん?」
と思わざるを得ない部分はあります。
10キロくらいの体重の小学生などでは、もうほとんどマグロを食べることそのものができないレベルなのでは? と思ってしまうのですが。
日本では、マグロの刺身は幼稚園児くらいから食べますし、ツナマヨのおにぎりも子どもたちの好物だと思いますけれど、この基準だと、小さな子どもだと、週1でもダメとなりそうですね。
週に1度や2度、マグロの刺身や、あるいはツナサラダなどが食卓に上がる家庭は少なくないと思いますだけに難しい話です。
まさか、ドヴしに「水銀を摂取している」とは誰も思っていないわけですし。
この研究でこの健康への影響が、わりと現実味があるのは、
「学生たちの毛髪の中の水銀量が、実際に食べたマグロの量と比例している」
という点です。
マグロをたくさん食べるほど「体内の水銀量が上がる」ということは事実のようなのですね。
うーん。
日本の食生活の中では、マグロは子どもたちの好きなものだけに、これはちょっと複雑な話ですね。
ちなみに、基本的には、大型魚になればなるほど、水銀量のレベルも高くなると書かれていますけれど、日本で消費される代表的なマグロの大きさの比較は下のようになります。
代表的なマグロのサイズの比較


maguroya.com

最も人気があって、値段も高い本マグロが一番サイズが大きく、ということは、一番水銀量のレベルが高いということになるのですかね。本マグロは記事ではふれられていませんので、ちょっとわかりません。ミナミマグロは、インドマグロと表記されて販売されていることもあります。
まあしかし、一般の日本人の食卓からマグロを排除するというのは、基本的にできることではないですので、小さな子どもや妊婦さんに対しては少し気にする、ということでいいのかなとも思います。
水銀は神経毒ですから、場合によっては、たとえば、ほんのわずかな率だとはいえ、ワクチンによる大きな後遺症が出る人たちがいるように、水銀の影響というのは、人によっては無視できない部分はあるのかもしれません。
今は海のものもいろいろとあります。
昨年、「記事にしようかしまいか」と悩んでいるうちに、時間が経ってしまって、ご紹介できなかった海外の報道があります。
それは、タイトルが、
「養殖サーモンは、世界で最も有毒な食品のひとつだ」
というものです。
これは、ノルウェーの養殖サーモンが調査されたもので、その結果、養殖サーモンが極めて化学的に汚染されていることがわかったことが報じられたものでした。
2018年3月の米メディアの記事


Farmed Salmon — One Of The Most Toxic Foods In The World

その記事の中でコメントを出している女性の科学者は、こう言っていました。
「妊娠した女性や、子どもたち、若者たちが、養殖されたサケを食べることを私は勧められません」
もちろん、すべてのサケが汚染されているということではなく、この記事は、ノルウェーの養殖サーモンを調査した結果ですが、それでも、日本においてもサケはあまりにも身近な食べ物で、特にお子さんのいる家庭では学校行事などで、おにぎりを作ることがあるでしょうけれど、まずはサケですしね。
考えてみれば、サケといいマグロといい、子どもが好きなものばかりなのが何だか切ないです。
今の、そしてこれからの子どもたちは何を食べればいいものなのか。

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アメリカでも日本でも数百万人が服用しているかもしれない高血圧の薬バルサルタンから「強い発ガン性物質」が検出されて、アメリカ中が大騒ぎ

投稿日: 2019年6月20日

2019年6月19日の米ブルームバーグより


Bloomberg




製薬という行程の闇

ブルームバーグを見ていましたら、「アメリカで、高血圧の治療に非常によく処方されている薬から、発ガン性物質が発見された」という記事がありました。
それは、バルサルタンという高血圧治療薬、つまり血圧を下げる薬で、スイスに本拠地を置く国際製薬企業ノバルティスから発売されているものです(商品名は、ディオバン)。
これをを少し調べてみますと、日本でもかなりの売上があるもののようですので、もしかすると、ご本人か周囲で服用されている方もいらっしゃるかもしれないなと思いまして、そのブルームバーグの記事をご紹介しようと思います。
まあ、「血圧を下げながら、効率よくガンになる」というようなものは、もう何のために何を服用しているのかよくわからないですしね。
なお、ノバルティの日本法人であるノバルティスファーマ株式会社での、このバルサルタンの 2017年の売上は 128億円で、同社の売上ランキングの 9位でした。
今回ご紹介する記事は「アメリカ国内の問題」としての記事ですので、日本で販売されているバルサルタンとは関係ないとは思います。
しかし、記事にあります「薬が流通するまでの行程」の真実を知りますと、アメリカと同じようなものである可能性も否定できないのかもしれません。
とりあえず、ブルームバーグの記事をご紹介します。
オリジナルの記事は、後半に、アメリカの薬の承認や流通についての複雑な状況が書かれてありますが、割愛しています。
 

Fourth Carcinogen Discovered in Heart Pills Used by Millions
Bloomberg 2019/06/18

何百万もの人たちが服用している高血圧治療薬から4番目のクラスの発ガン性物質が発見された

米オンライン薬局の調査の中で、広く処方されている高血圧治療薬の中に、またもガンを引き起こす化学物質が発見されたことが、アメリカ食品医薬品局 (FDA)に報告された。

米コネチカット州に本拠を置くオンライン薬局バリシュア (Valisure)が、アメリカ食品医薬品局に提出した内容によれば、スイスの国際的な製薬会社ノバルティスを含むいくつかの企業によって製造された「バルサルタン」という薬からジメチルホルムアミドと呼ばれる溶媒が検出されたという。

ジメチルホルムアミドは、世界保健機関(WHO)によって発ガンの可能性が高いと分類されている物質だ。
バルサルタンは、以前にも、発ガン性化学物質である N-ニトロソジメチルアミンが中国企業によって作られた製薬から 2018年7月に検出されている。それ以来、数十種類のジェネリック薬品のバルサルタンが販売停止となっている。
このバルサルタンは、高血圧症に対する数十年前からある治療薬で、他の薬と一緒に丸薬として出されることがある。
薬局バリシュアは、アメリカで現在実際に市場に出回っているバルサルタンから、発ガン性物質のジメチルホルムアミドを発見した。現在アメリカに出回っているバルサルタンは、販売停止となったバルサルタンの代替品として、アメリカ食品医薬品局はその安全性を強調していた。
しかし、その薬から発ガン性物質であると分類されているジメチルホルムアミドが発見されたというのは、政府機関の取り組みについての難解さを示す。
ノバルティスの広報担当は、電子メールで「ノバルティスは現在、あくまで許容の限度内で微量のジメチルホルムアミドが溶剤として薬に含まれている可能性を完全に排除することはできていません」と述べた。
食品医薬品局は、回収された薬がどのように汚染されたかを調査している。
なお、食品医薬品局は、バルサルタンを高血圧治療薬として処方されている患者は、主治医の判断が出るまでは、服用を続けるべきだと述べている。突然、薬の服用を中止することは良くないという。
 
薬の製造プロセス
バリシュアの調査結果は、薬の製造は、一般的に理解されているよりもさまざまな過程を経ていることを示唆している。
バリシュアの CEO デヴィッド・ライト(David Light)氏は、以下のように述べている。
「薬というのは、製造過程でさまざまなプロセスを経て、数多くの人々の作業のあいだを通過していきます。新品の薬でさえ、それは 10キロメートル以上走った後の中古車のようなものなのです」
薬が作られる際には、最初の原料は、薬剤の中に入れられる前に形を変える必要がある場合もあるだろう。そのような材料を分解する場合に、ジメチルホルムアミドのような溶媒が使われるかもしれない。
ジメチルホルムアミドは他の溶剤よりも安価であるため、ジェネリック医薬品事業から経済的な打撃を受けている製薬企業には魅力的な物質でもある。

アメリカ食品医薬品局は、薬剤中に、1日分で約 880ナノグラムに相当するジメチルホルムアミドの曝露を許可している。その後、アメリカの政府機関は 2017年に許容溶剤レベルを改訂した。その後、 WHO は 2018年にジメチルホルムアミドを発ガン性物質として分類した。

バリシュアは、ノバルティス社を含む、同社がテストした 6社の製薬会社のうち 5社によって製造されたバルサルタンにジメチルホルムアミドを発見した。
バルサルタンが、アメリカで承認されたのは 1996年のことだ。
ノバルティスは、ディオバンや、材料の供給元から提供された文書には、薬を作る際にジメチルホルムアミドを使用していないことを示唆していると報じているが、しかし、供給業者は、ディオバンの不活性成分を含む材料を提供している。
バルサルタンを取り巻く焦点は、主に中国の供給業者 (Zhejiang Huahai Pharmaceutical Co. Ltd.)および、インドの供給業者(Hetero Labs Ltd.)によって製薬企業に供給されている有効成分に集中している。

 
ここまでです。
ここにあります「薬が作られる経路と仕組み」の記述から、それはなかなか複雑なものなのだなあと改めて知りました。
同じ「バルサルタン」薬を、いくつもの会社が作っていて、そして、今回、問題が見出された流通経路には、「薬や原料を提供している中国やインドの会社」が絡んでいたりしているわけで、
「薬というのは、どこをどう行き来しているのかわかりにくく、製造責任の所在がどこにあるのかもわかりにくい」
ものだということを知りました。
おそらく、販売されているすべての薬はそういうものなんだと思います。
いろいろな場所で、いろいろな処理がなされ、いろいろな作業がおこなわれ、そして結局、
「その薬がどんなものかの全体象を知っている人はほぼいない」
と。
以前、以下の記事でふれましたけれど、「血圧の基準がさらに下げられる」という状況になりつつある今、このバルサルタンではなくとも、高血圧の薬を処方される人々の数は日本でもアメリカでも増える一方でしょうしね。
 
なお、日本でもアメリカでも「高血圧の基準」が変更されるたびに、飛躍的に高血圧患者が増えてきたという歴史があります。
以下は、日本での「血圧の基準と、高血圧患者の数の推移」のグラフです。
 
それと共に、高血圧の薬の売り上げは、飛躍的に上昇しました。


yoshiokajimusho.net

このグラフは、2008年までのもので、その後、高血圧の基準が変更されていますので、ここからまた一段も二段も売上は上昇しているはずです。それまで病気でも何でもなかった人たちが、「ある日、あなたは病気です」と、高血圧の薬を処方されるようになるという繰り返しで現在に至っています。
血圧の薬には、もともと問題のあるものも多く、たとえば、「 ACE阻害薬」というカテゴリーの高血圧治療薬を服用した人たちが、
「肺ガンの発症率が最大 31パーセント増加した」
という研究が、権威ある英医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に掲載されていたことがあります。
このACE阻害薬というジャンルの降圧剤を服用している日本人は、200万人いるそうです。
200万人規模の人たちの肺ガンの発症率が 31パーセント増加すると考えると、なかなか迫力のある話だと思います。
 
なお、日本は薬の処方大国ですが、その中でも、高血圧の薬と、抗ガン剤の売り上げは圧倒的です。
たとえば、2015年の日本国内の薬の売上の上位 100 のうち高血圧の治療薬が 10種類ランクインしていて、抗ガン剤にいたっては、13種類がランキングに入っています。
バルサルタンも、2015年の売上 100位のうちの 52位となっていますので、かなりの人に処方されていると思われます。
私自身は、何年も血圧を測ったことがないので、自分の血圧をまったく知らないですし、今後も人生で測ることもなさそうですが、「血圧というのは、それぞれの固体差があって当然なのでは?」とは思います。
体格や体重によって、年齢の差によって、あるいは仕事や運動量の種類などによって血圧は違うでしょうし、あるいは動脈の年齢によっても違うでしょうけれど、その差があるのは当たり前なのではないかなと。
そして、年老いていくにつれて、人それぞれの相応の状況で、疾患になったり死亡したりする。それはみんなが違う。
それでいいのではないかなと。
年齢も性別も職種も体格も体重も異なる人々に、みんな同じ基準の血圧を目指させるなんて、不健康で非人道的な話だと思います。
いずれにしても、アメリカのバルサルタンは、「 6社のうち 5社から発ガン性物質が見つかっている」ということですので、日本のものも何ともいえない部分がある可能性がないわけではなさそうなことも想定されそうで、関係のある方はご留意いただければと思います。

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日本の海が死に続けている理由は、デッドゾーンが過去最大となりつつある米メキシコ湾と同じなのかそうではないのか

投稿日: 2019年6月13日

2018年のサイエンスに掲載された世界のデッドゾーン(死の海域)の分布


Declining oxygen in the global ocean and coastal waters




 

海はどのように死んでいくのか


shokuhin.net

今日のナショナルジオグラフィック日本語版の記事に、「メキシコ湾周辺の海のデッドゾーンが過去最大になりつつある」という記事が掲載されていました。
冒頭部分を抜粋しますと以下のようなものです。

「死の海域」が過去最大規模のおそれ、米国南部

ナショナルジオグラフィック 2019/06/13
米国南部の海が死にかけている。ミシシッピ川の河口あたりの海は毎年「デッドゾーン(死の海域)」と呼ばれる酸欠状態になるが、科学者の予測によると、2019年は観測史上で最大規模に達するおそれがあるという。
例年、春に雨が降ると、陸地の肥料や下水に含まれる養分がミシシッピ川に流れ込む。淡水は海水よりも軽いので、河口から海に出た水は表層近くにたまって循環を妨げる。養分を多く含む淡水層では藻類が大発生し、この藻類が死んで分解される際に大量の酸素が消費される。
そうしてできる低酸素の海では、生物たちは窒息して生きていけない。これがデッドゾーンだ。今年、メキシコ湾の大陸棚の上には、東京都の面積のおよそ10倍に当たる2万平方キロメートル以上ものデッドゾーンができると予測されている。
記事そのものはかなり長いものですので、全体にご興味のある方は上のタイトルのリンク先からお読み下さればと思います。
この記事を読んで驚いたのは、2万平方キロメートルというデッドゾーンの「面積」でした。
後で数字を示しますが、これはおそらく前年のピーク時の 7倍から 8倍に達するものと思われます。
そして、デットゾーンが拡大した理由などを考えているうちに、何というか、「何が何でも海を殺してやる」という見えざる意志が働いていることを実感します。
これだけ書くと、どういうことかおわかりにならないかと思いますので、順を追って書いてみたいと思います。そして、それと共に、
「メキシコ湾で起きていることは、日本の海で起きつつあることと似ているかもしれない」
ということも書かせていただこうと思います。

まず、この記事にあるメキシコ湾のデッドゾーンの面積ですが、科学者たちの予測では「 2万平方キロメートル」以上になると記されていますが、仮にこのような面積になった場合、最近と比較してどれほどものすごいものかといいますと、昨年の 8月に、以下の記事で、メキシコ湾のデッドゾーンが縮小していることをご紹介したことがあります。

これは、2018年8月2日の米ワシントンタイムズの報道の内容をご紹介したものです。
それによれば、拡大し続けていたアメリカのメキシコ湾のデッドゾーンが、2018年に急激に縮小していたことがわかったというもので、具体的な数値としては、
2017年のデッドゾーン面積 が 8,497平方キロメートル
だったものが、
2018年のデッドゾーン面積 は 2,720平方キロメートル
と、3分の 1程度にまで縮小したのだそうです。
以下は、2017年のメキシコ湾のデッドゾーンの状況で、この頃は 8,000平方キロメールほどあったものと思われます。
2017年8月のメキシコ湾のデッドゾーンの状況


NOAA

なぜ、2018年に急速にデッドゾーンが縮小していったのか、その理由はわかりません。
もちろん、人為的なことは一切行われておらず、「自然のメカニズム」の中で、デッドゾーンが縮小していったのですが、正確な要因は不明のままです。
いずれにしましても、このように、昨年のメキシコ湾のデッドゾーンは、3,000平方キロメートル以下の規模に縮小していたのですが・・・今年のデッドゾーンの状況の予測は、先ほどのナショナルジオグラフィックの記事にありましたように、
「 2万平方キロメートル以上に拡大する」
という絶望的な面積になっていくと考えられているのです。
先ほどの地図のデッドゾーンの領域が、大体 8,000平方キロメートルほどだと考えますと、2万平方キロメートルとなりますと「メキシコ湾沿岸の大部分が生命のいない海域となる」といっても言い過ぎではないと思われます。
どうしてこんなことになったのかということも、また明確な理由はよくわからないのですが、その中の理由のひとつとして、科学者たちは以下のように考えています。先ほどのナショナルジオグラフィックからの抜粋です。
今年のデッドゾーンが特に大きくなることについて、海洋生態学者ナンシー・ラバレー氏は驚きではないと述べる。
今春、米国中西部では、前例のない大雨に見舞われた地区が多く、海に流れ込む水の量が大幅に増加した。この大雨は、多くの農家に被害をもたらし、トウモロコシや大豆などを作付けできなかったところもある。
これは同時に、畑にまかれた窒素やリンを多く含む肥料が、すべてミシシッピ川に流れ込んだということでもある。
「ああそうだった」と思い出しました。以下の記事などで取り上げさせていただきましたけれど、今年の春、アメリカでは非常に広範囲が、かつてない大雨と洪水に見舞われていたのでした。
いくつかの州の地域では、いまだに農作が開始できていないそうで、今年のアメリカは、州によっては、農作において建国史上最悪となる可能性が報じられています。
以下の図は、ミシシッピ川などからメキシコ湾に大量の水が流れ込む様子を示したものです。
アメリカの主要河川からメキシコ湾に流れ込む水流の様子


NOAA

大小様々な河川が、最終的にはメキシコ湾に流れ込んでいる様子がわかります。
そして、今年は、通常を大幅に上回る「水」がメキシコ湾に流れ込んだわけですが、そこには、過去記事などで書かせていただいた、
「水システムに入りこむすべての要素が通常よりはるかに多く流れ込んだ」
はずです。
この「水システムに入りこむさまざまなもの」に関しては、最近の記事としては以下のようなものがありまして、河川の汚染の状況はかなり深刻ですが、それらの水は最終的には「海」に入っていきます。
ナショナルジオグラフィックの記事では、農地から流れた大量の肥料が、メキシコ湾に流れ込み、そこに含まれるリンや窒素が海中の栄養を豊富にすることで藻の発生を促し、それらの結果として「海中の酸素が減少」し、海域がデッドゾーンになっていく・・・というのが、デッドゾーンが作られる数々の理由のうちのひとつと言われています。
それに加えて、今年のアメリカの洪水は大規模でしたので、それはもうあらゆるものが、海中に入っていったと思われます。
除草剤や抗生物質などの薬も大量に流れたでしょうし、今年のアメリカの洪水では、住宅街や工場なども多く水に浸かりましたので、さまざまな化学物質を含むいろいろなものが大量に海に入りこんだと思われます。
いずれにしても、今年のアメリカの黙示録的ともいえる洪水が、メキシコ湾のデッドゾーンの拡大に影響を与えたことは間違いなさそうです。
そして、せっかく 2018年に、自然による自力によってデッドゾーンが 2700平方キロメートルほどまでに縮小していたものが、一気に 2万平方キロメートルにまで拡大、ということになったようです。
今のアメリカとヨーロッパの自然状況は、「絶対に環境を良好にはさせない」という強い「意志のようなもの」に支配されている感じがします。
ところで、最初にご紹介したナショナルジオグラフィックの記事の最後に、海洋生態学者ナンシー・ラバレー氏は以下のように述べています。
「メキシコ湾の原油流出事故のことは当然覚えているでしょう」とラバレー氏は言う。「デッドゾーンの問題は、何十年もの間に水滴がゆっくりと落ちるようにじわりじわりと変化した結果生じたものです。しかし、その影響はあの事故と同じく、重大です」
ナンシー・ラバレー氏は、2010年のメキシコ湾の原油流出も、デッドゾーンの拡大の要因のひとつだということを言いたいようです。
なお、このナショナルジオグラフィックの記事の最後には「参考記事」として、2014年4月の「メキシコ湾流出原油、今なお生物に打撃」という記事がリンクされていました。
それによれば、メキシコ湾の原油流出事故から 4年経った 2014年でもなお、以下のようなことが観察されていたのだそうです。

メキシコ湾の原油流出事故から4年後の2014年の状況

・ 2010年4月以降、900頭以上のハンドウイルカが原油流出域で死亡または座礁している状態で見つかった。
・原油で汚染された海域を泳ぐイルカに低体重、貧血、肝臓疾患や肺疾患の兆候が見られる。
・毎年、原油流出域では約500頭のウミガメの死骸が見つかっている。
・流出した原油に含まれる化学物質がクロマグロやキハダマグロの胚に不整脈を引き起こしていることが示された。
・BP社の油井近くを泳ぐマッコウクジラは、その体内に含まれるDNA損傷性のある金属の量が以前よりも増加している。
原油流出から相当年数が経っても、生態系への影響はなかなか消滅しないことを示しています。
結局、ここから、「メキシコ湾で起きていることは、日本で起きようとしていることと似てくるかもしれない」という考えにつながるのです。
 
今から 1年半ほど前に、九州北西の沖(海域は中国領)で、史上最悪かもしれないと言われた原油流出事故があったのをご記憶でしょうか。以下の記事で取りあげたことがあります。
先ほどのメキシコ湾の、
・原油流出から 4年後のメキシコ湾の生態系の状況
・原油流出から 9年後の、つまり現在のメキシコ湾のデッドゾーンの状況
を考えますと、日本の海域に同じような「生態系の異変」が起きても不思議ではないと私は以前から考えています。
流出した原油が現在どのような状況となっているのかはわからないですが、原油流出から 3ヵ月目、つまり、昨年の 4月頃には以下のような状況になっていた可能性が高いです。
2018年4月の流出した原油の分布の予測


Reuters

そして、まだ、原油流出から 1年半ほどですが、「今」、日本の周辺の海域で、たとえば漁にどんなことが起きているのかご存じでしょうか。
この春以来ずっと「記録的な不漁」という言葉がさまざまな漁において報じられているのです。
もちろん、それぞれの原因はよくわからないわけですが、ただ、
「日本の海域に大きな異変が起きている」
ことは事実かもしれません。
今、世界中で、「人間の食べるもの」と関係するさまざまなものが自然形態の中で危機にさらされていますが、世界の中でも特に古来から海の恵みを大切にしてきた日本で、「海が死につつある」というのは、危機感のある話だと思います。
以下、つい最近の「不漁」についての報道のタイトルとリンクです。そして、おそらくは、今後も同じような報道が続いてしまうのかもしれません。
 

2019年5月-6月の不漁に関しての報道

記録的不漁続くサクラエビ 秋漁も見通し厳しいか
産経新聞 2019/06/08

テングサ記録的不漁か 西伊豆で漁開始、着生や生育悪化
 静岡新聞 2019/05/17

コウナゴ不漁、東北でも深刻 福島は今春ゼロ
 日本経済新聞 2019/05/18

メギス、新潟県で記録的不漁 飲食店など悲鳴
 日本経済新聞 2019/05/22

スルメイカ不漁、函館市が漁船燃料補助 食品企業支援も
 日本経済新聞 2019/06/03

ホタルイカ不漁続く 富山湾、過去10年で最少の425トン
 共同通信 20109/06/11

サンマ不漁深刻 八戸港2隻「ほぼゼロ」
 Web東奥 2019/05/29

江戸前ノリ異変 収量ピークの4分の1 千葉沿岸
 東京新聞 2019/06/07


 
この他にも、ワカメやモズクといった海藻類も記録的に収穫できていないようで、海苔などは現在次々と値上げしていっているようです。
環境の異変は、今後さらに、実際の生活に強く関わってくるようになっていくのではないかと思います。
特に、一度死んでしまった海はそう簡単には戻らないと思われ、日本の海域のこれらの問題は、なかなか難しい事態となっていくのかもしれません。


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