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情報過多の時代の反動か、個人投資家は明確・単純な情報、売買の根拠を求める傾向にあるようです。しかし、Aだから買い、Bだから売りという単純な根拠と売買で、相場で勝てるのでしょうか?
「こうすれば勝てる!」という表現が、初心者向けの投資本の表紙の多くに使われています。 しかし、冷静に考えれば、「こうすれば勝てる」という単純な勝利の方程式が株式市場にあるとして、それを読んで負ける投資家がいなくなるとすれば、勝てる投資家もいなくなるということに直ぐに気づくはずです。 すべての投資家が「こうすれば勝てる」という一つの方程式に従い売買すれば、売り買いは交錯せず、買いだけ、売りだけの状況となり、売買は成立しない(約定しない)のですから。 よく言われる表現ですが、相場とは森羅万象を織り込み株価を決定する市場です。「こうすれば勝てる」というだけでは不十分で、「どのような場合に、どうすれば勝てるのか」を検証する必要があります。
しかし、相場が森羅万象を織り込む限り、相場では似た局面はあっても、同じ局面は二度と訪れません。ということは、「このような場合に、こうすれば勝てる」という方程式も、存在しないということになります。
直近の似た相場局面の例を挙げてみましょう。昨年8月の民主党(鳩山)政権誕生と1993年8月の細川政権誕生に類似性はあります。本年7月の欧州版ストレステスト前には、2009年5月の米国でのストレステスト前後の株価の推移が参考とされました。今月は、ドル円85円割れ、日経平均9000割れを窺う展開で、2009年11月末のドバイショック時が比較、参考とされました。 これらは似た部分はあるものの、環境は異なっており、当時と同じ投資行動をとっても必ずしも勝てるわけではないことは、誰の目から見ても明らかでしょう。 あくまでも、過去にはこのような場合に「あのようになったが…」という参考程度にしかならないのです(その「あのようになった」ことが株価材料となり、短期的にはそれと似た値動きを見せることもありますが)。 であれば、出版社は「こうすれば勝てる!」というタイトルではなく、「このような場合に、こうすれば勝てる可能性は高まるが、必ずしも勝てるわけではない!」とするべきでしょう。しかし、そのような長ったらしい、頼りない、ネガティブなタイトルの投資本が、消費者、投資家の目に留まるはずもなく、出版社としては、インパクトのあるタイトルを表紙に付けるしかないのが実状のようです。 投資家も大衆も単純な表現、力強い表現を好み、それに影響される以下、不快な例となるかもしれませんが、ヒットラーの言葉を引用してみます。
「大衆の受容能力は非常に限られており、理解力は小さいが、そのかわり忘却力は大きい」
大衆は理論的な長いスローガンよりも、単純化、スポット化されたスローガンに同調し易く、影響を受け易いということです。
思い起こせば小泉政権時、「郵政民営化」のたった5文字で、自民党は選挙で歴史的な大勝を飾りました。そして、昨年は鳩山氏の「政権交代」の更に短い4文字で、歴史的な政権交代となっています。
若者は「ヤバイ」、「カワイイ」など短い言葉で多くを表現する傾向にあります(私の世代では、なにがヤバイのか良く分かりませんが)。ツイッターが人気となっていますが、短くつぶやけることが人気の理由の一つとなっています。 例を上げればキリがありませんが、短いこと、単純・簡単なことが、大衆の注目を集めやすい、支持を受け易いことは明らかでしょう。しかし、短いこと、単純・簡単なことは飽きられ易い(長くは続かない)ことも歴史を振り返れば明らかです。
大衆メディアの多くは、雰囲気に流され、弱い部分にフォーカスする肯定よりも否定に賛同が集まり易いのも、幸福よりも不幸に興味が集まり易いのも大衆の傾向です。それは大衆の欲求と言っていいかもしれません。 その欲求に合わせるように、メディアからは、芸能人の恋愛・結婚報道よりも、不倫・離婚等のゴシップ報道時間は長く、国民に有益な法案可決よりも、一政治家の不祥事の報道時間が長い傾向にあります。また、株価上昇や円安の報道に比べ、株価下落や円高の報道は大きく取り扱われやすくなっています。 大衆メディアの多くが、雰囲気に流され、弱い部分にフォーカスするようになっているとも言えるでしょう。 大衆は単純化・スポット化を好み、そしてそれに影響され易く、大衆メディアは雰囲気に流され、弱い部分にフォーカスする。然るべくして、光と影は鮮明化され、極端な意志が形成され、一方向への流れが強まり易い傾向にあります。 株式市場でも単純化された情報に投資家は流されやすい このような大衆の傾向、趣向は、株式市場にも現れます。典型的な例としては、報道、株価材料と、それに対しての市場の反応でしょう。
日経新聞社のまとめによれば、8月第1週末までに決算を発表した3月期決算企業の11年3月期通期の連結経常利益は前期比40%増で、期初予想(35%増)を上回る見通しとなっていました。8月9-10日の日銀金融政策決定会合では「日本の景気は海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある」、「先行きは回復傾向をたどるとみられる」との景気認識が示されていました。 これらを過去のものとして切り捨て、買わない根拠とすることもできますが、普通の見方をすれば、少なくとも悪材料ではないでしょう。 しかし、10日に開催された米国のFOMCで、「景気回復ペースや雇用は、ここ数ヶ月で鈍化した」、「短期的な景気回復ペースは、以前予想されたよりもさらに緩やか」など、景気認識が下方修正されたことはしっかりと悪材料視され、日本株は年初来安値を窺う展開となりました。
一方を過去のものとして切り捨て、買わない根拠とし、同じく過去のものである他方を正当な悪材料とし、売りの材料とするのは、やや合理性を欠いた市場の反応に見えないでもありません。
今月は、円高(ドル安)が嫌気され、輸出企業の業績下振れ要因とされていますが、大手輸出企業であれば為替予約(ヘッジ)も入っている筈で、額面通りに下ブレするわけではありません。実際、この円高水準でも、上方修正している輸出主力企業は見受けられます。 株価の先行性、慎重な日本人の国民性の為だとしても、8月第2週時点では米株以上に日本株が悲観され、売り込まれなければならない理由はさほど見受けられませんでした。 負けないために報道の特性を理解して市場に臨む現在の株式市場では、「米景気減速懸念」、「円高」、「中国景気鈍化懸念」、「政府日銀の無策」などが悪材料として取りざたされ、
売るための、買わないための正当な理由とされていますが、これらの単純化された報道に過度に影響された市場心理が、今の軟調な日本株式市場の一因となっているように見えます。
単純化、スポット化された情報に、そして弱い部分にフォーカスされた場合に、市場の反応は傾きやすいということを認識し、その歪んだバイアスを補正して市場を見て、手掛けることで、株式市場では良好なパフォーマンスを得る場合もあります。「野も山もみな一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし」という格言などは、まさにこれでしょう。 ただ、補正し過ぎると自身の相場観が歪み、損失を被ることもあります。「裏の道にも落とし穴、行くも行かぬも時によりけり」という格言もあるのです。あくまでも、常識と良識の範囲内で判断し、無理のない投資資金で相場を張るのが肝要ということです。 相場に勝利の方程式はありませんが、報道の特性を理解して市場に臨むことで、勝てるかどうかはともかくとして、妙な負け方をする可能性は低下させることが出来るのではないかということを、今回はご紹介してみました。
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モノ事を単純化し、二元論で考えると、こんな状態になるのでしょう。
>相場とは森羅万象を織り込み株価を決定する市場です。
相場でなくても同じですよね。(苦笑)
ヒットラーが日本に現れないと良いのですが・・・
歴史上、強い閉塞感に対して、国民は強い指導者を求める傾向があります。
閉塞感の後は熱狂が歴史のパターンですが、さて、日本の場合はどうなんでしょう。
2010/9/13(月) 午後 9:49 [ K9 ]
まったく同感。
それではK9さん、早速証券会社へGO!
傑作です。
2010/9/14(火) 午前 3:43
内緒さんへ
物事を簡略化すると、良いか悪いかだけなんですよね。
森羅万象を二元論、場合によると、より過激な表現はそのどちらか一面でさえも、切り捨てる傾向があります。
正直、善悪論って短く済むんですよね。
一方、物事を多面的にみると、それなりの労力と能力が必要となります。(情報処理能力)
受け手の能力不足と、モノを伝える側の能力不足。
どっちもあるのでしょね。
2010/9/14(火) 午前 6:37 [ K9 ]
水がめ座さんへ
傑作、有り難うございます。
現在、海外投資を検討中です。
折角の円高ですからね。
個人として有効利用したいです。
2010/9/14(火) 午前 7:06 [ K9 ]
頑張って、資金増やしてくださいね〜♪
私のも増やしてくれるなら、預けますが〜(笑)
2010/9/14(火) 午後 8:59
当たるも八卦、当たらぬも八卦、、(^^;
2010/9/15(水) 午後 1:42
yatugatakeさんへ
頑張って稼ぎます。(笑)
尚、水がめk9証券は、顧客満足度を最優先にしており・・・
2010/9/18(土) 午後 0:16 [ K9 ]
>当たるも八卦、当たらぬも八卦、、(^^;
基本はそれですね。
まぁ、後は覚悟ですね。
2010/9/18(土) 午後 0:18 [ K9 ]