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日常と非日常
今度の地震はそこに住む人の日常を、突然に奪っていった。
東京の友人から、3月11日(金)地震発生の日に都心から帰れなくなり、しかたなく会社に泊まったと連絡があった。
それまでテレビや映画の世界でしか見たことのない世界が、突然自分の周りに出現したようだと告げられた。
コチラ側から見て楽しんでいた、アチラ側の世界。それが逆転し、コチラ側の世界と、アチラ側の世界が入れ替わってしまったのか。
自分が映画の一場面の中へ、突然放り込まれてしまったかのような感覚。
大阪に住む私に取って、今回の巨大地震は、すべてテレビの中からやって来た。
大阪でもかなり揺れがあった。その後テレビをつけると、アチラ側ではタイヘンなことが起こっているのがわかった。
津波のスゴサをテレビ中継で見る。恐ろしい破壊力だ。
しかしテレビから目をはなせば、そこには何気ない普段と変わらぬ自分の部屋があり、妻や子供たちがいる。
スーパーへ買い物に行けば、まったくいつもどおりの賑わいがあり、商品が並べてあり、特に変わったことは何も無い。
注意深く見ると、電池売り場から単一電池の場所がカラッポになっているとか、婦人の生理用品がないとか、その程度であり、多くの人は気づかずに通り過ぎていく。
最大の関心事は、福島原発であった。
このブログを読み返してみても分かるが、地震三日目の土曜日の朝まで、私は楽観的であった。
原子炉には制御棒が挿入され、核分裂は停止し、あとは余熱をとるだけの作業で、多少の放射能漏れがあったとしても、暴走や再臨界などあるはずもないと、たかをくくっていた。
それが崩壊熱の除去に失敗してから、にわかに危機的状況が出現。加圧炉の爆発の可能性が出てきた。
この時点で、自分の頭中で、悲劇のドラマが始まった。
原子力発電所の爆発と、大量の放射能の拡散。チェルノブイリの再現。これを想像した瞬間から、自分はドラマの中へ連れ込まれた。
想像力のドラマの世界へ・・
東北地方の1/3が使えなくなる。大量の避難民。
何時爆発するかもしれない原発・・・・それを想像すると、自分の周りを眺める目は、非日常へと変化した。
ただ目に見える現実は、まったく普段と変わらない。ただやってくるかもしれない悲劇を想像する時だけ、自分の頭の中で非日常が動き出す。
この奇妙なアンバランス。
ブログ記事で危機感に満ちた記事をアップすると、共感を寄せるコメントが入る。ブログ上での危機の共有が始まった。
中に、極めて楽観的な主張をする人がいた。
私はそのコメント主に噛み付いた。
「空想的、楽観論にふけるな」と・・・・本気でいかった。
それを今振り返って、笑えるだろうか?
危機は確かにあった。人間の頭の中で、、、、可能性として。
悲観論 → 非日常
楽観論 → 日 常
我々の日常生活を支えているのは、楽観論である。
人は、知らず知らずに楽観的に生きている。それがなければ社会は成り立たない。あした地球が滅びると分かっている時に、誰がきょう会社へ行ったりするだろうか。
そして悲観論は、強い連帯感を生み出す。
それは福島原発事故を、必死で修復しようとして働いていた人々も同じであろう。
「ナンとしてでも、炉の爆発を防がなくては」という真剣な思いだ。
その強烈な意思が現実を変えていく。
その結果、悲劇は回避された。
不思議な人間の心の働きと、その結果に驚嘆するのだ。
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未だ危機は去っていませんが、悲観論が強い連帯感を産みだしたとのご指摘に賛意を示します。
コメント仕切れないの記事にしました。
日本は良い国です。
2011/3/20(日) 午後 0:20 [ K9 ]
和平交渉人さん
はじめまして。
この記事はエネルギー問題を議論するつもりで転載していません。
危機に関する人の心情心理の動きを題材にしています。
記事の中身とコメントがあまりに乖離していますので、コメントは差し控えさせて下さい。
2011/3/20(日) 午後 0:54 [ K9 ]
「傑作」☆
水がめ座さんの所からの転載ですか。
私も突然その非日常の中に、否応なしに放り込まれた一人です。生きてる間にこんな体験をするとは、思ってもみませんでした。
k9さんは現在如何でしょうか?帰宅難民になられたと言っておられましたが、まだ出勤に不便を託ってるでしょうか?
電気・水道のライフラインが突如途絶えてしまって、その不安感と言ったら・・・・。心細くなり、精神的に滅入ってしまいましたよ。
今はどうにか復旧しましたが、もう二度と体験したくないです。
2011/3/21(月) 午前 10:59 [ - ]
ZODIACさんへ
出勤には不便をかこっていますね。会社も操業に苦労しています。
計画停電もありますし、まぁ。
最も東北の被災地を思いますと、自分の苦労など些細なものです。
傑作ありがとうございます。
2011/3/21(月) 午後 1:22 [ K9 ]