経済

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]

最近、震災復興に絡み巨額な財政出動を行なう事で日本経済浮揚を提唱する論調が目立つが、その点について、中身の検証のない財政出動に対し筆者は反対である。
 
なぜなら、額ありきの財政出動の無残さ(現状維持の効果はあったが。。。)は失われた20年で立証済みであるし、現にそれを否定して経済を立て治らせた先駆者がいるのだから、その成功例こそを私は参考にして欲しいと考える。
 
ところで、その成功例とはなんだろう?
言わずと知れたサッチャーである。
 
サッチャーが指導者に任命される以前のイギリス。
ゆりかごから墓場までと言われた高福祉政策と伴に、ケインズ学的な経済政策によりイギリスは深刻な不況に陥っていた。
 
高福祉政策については本項で論じたい趣旨でない為、言及を避けるが、私が言及したいのはケインズ学的な経済政策によって、なぜ?イギリスが苦境に陥ったかである
 
サッチャー登場前夜のイギリスにおける喫緊の政治課題の一つは石油ショックからの脱却であった。
その課題に対しイギリスはケインズ学的な手法(イギリスだけでなく他の欧米諸国も)を基に大規模な財政出動を。
この場合、公共投資(今も昔も公共投資は最も効率的な財政出動)を行ない景気対策としていたが・・・
 
が、景気の下支え効果は確かにあるのだが、一向に景気浮揚しない。
 
当時の知己(ケインズ学的な財政出動の失敗経験)により石油ショックからの脱却に苦労した欧米の経済学派の分析によると、
イギリスをはじめとする欧米諸国が石油ショックからの脱却から失敗した理由として、
製造業(イギリスでモノを造り輸出する能力)等の競争力が低下し始めていたにも関わらず、橋や道路等の旧来インフラ整備に拘ったからであったと現在総括されている。
 
確かに公共投資には景気の下支え効果(失業者対策)はあるのだが、当時の産業政策によって新たな産業が生まれたわけでなく結果、過剰なインフラ整備能力だけを持つにいたり持て余せてしまったのである。
 
それどころか、継続した財政出動を求める業界団体が、労働者が現出し、容易に財政出動を削減できなくなり、かつ、安易な財政出動の削減は上記業界団体だけでなくイギリス経済全体に大きな影響を与える為、非効率だが止める事が出来なくなり自縄自縛状態に当時のイギリスは陥っていたのである。
 
景気浮揚目的の公共投資が劇薬、麻薬と言われる所以である。
その効果の大きい所は間違いないのだが、一度、政策的に公共投資を行なうと、その政策実行を目的とした巨大な産業セクターが形成され事で、その財政政策を見直せなくなるのである。
 
結果、非効率にも関わらず、景気の下支えの為にもイギリスは財政出動を続けなくてはいけなくなってしまったのだ。(この状況を打破する為にサッチャーは闘い続けた)
 
故に石油危機の苦い経験により欧米では公共投資による景気浮揚策に慎重である。
 
効果ありと判断される指標とは、
公共投資を止めても、その止めた事で失職した以上の雇用が、
その公共投資によって整備されたインフラ整備により、産業が生まれか否か、雇用が確保される否かで判断されるようである。
逆に非効率な場合とは、費用の割に産業が生まれず、雇用が発生しない場合。
 
 
成熟社会におけるインフラ整備が、そのまま産業勃興になかなかつながり難いのは誰もが実感しているだろう。
(新興国はその限りでない)
 
 
日本で言うと、アクアライン等が代表例だろうか?
残念ながら巨額な費用、巨額な維持費の割に産業が生まれていない。
あの維持費を千葉・神奈川両県が委託したら両県の県民はなんと言うだろか?
 
 
バブル崩壊以降の日本軌跡は石油ショック当時の欧米に、そのまま当て嵌まるのである。
であるからこそ、欧米の識者達は日本が失敗するのを見越し日本の経済政策を冷笑し続けていた。
(金融危機以降、その冷笑が文字通り凍りついたが、以前の失敗に基づき、投資先は額を絞り慎重に選んで行なっている。)
 
 
 
『市場は基本的に不安定なものであり,自己調整機能をもたないと考え、計画的に政府が金融援和公共事業等によって需要を喚起する必要がある』と考えたケインズ。
 
ケインズ主義の極端な例が共産主義、社会主義経済。
そして、その結果はご存知の通りだ。
 
一方、
不完全な知識にもとづいて生まれ、つねに進化を続ける秩序が、あらゆる合理的な計画をしのぐ』と論じたハイエク。
 
その思想はフリードマンによって先鋭化され、サッチャー、レーガンの輝かしい成功体験を経て、金融危機で、その頂点を迎え破綻した。
 
 
さて、今の日本に巨額な公共投資を行ない、その公共投資によって形成される産業以上の雇用を生み出せる産業セクターを造れるような分野が果たしてあるのだろうか?
公共投資を止めても大丈夫な産業である。
 
公共投資(輸血)によって組織の血流が良くなっても、その輸血がなくなって組織が壊死するようなら、それは現状維持。
むしろ輸血を前提に体が出来てしまう事こそが問題とも感じる。
(公共投資の副作用)
 
輸血を止めても組織が壊死しないような治療。
それこそが日本に求められている。
 
 

急激な円安について

円安が急速に進んでいる。
ほんの前に史上最高値(実効レートではない)をつけたと思ったら、わずか半月で10%超の下落である。
 
円安自体は、アメリカの利上げ観測が予想されている為、基本、下落基調なのだが、
やはり、この円安の理由は原発(放射能リスクと言い変えても良い)に関する日本への不信なんだろう。
 
諸外国の日本の原発に関する不信は極めて高い。
ルピーに引き続き、菅直人がタイム紙よりバンブラーという有難くない命名を頂いたようだし(戦略国際問題研究所(CSIS)の日本専門家、マイケル・グリーン氏の発言を引用)、 不信は頂点に達しているようだ。
 

ウォールストリートジャーナルが自衛隊を評して 「大活躍している唯一の組織」と評したが、日本の政治・行政(中央の官僚組織)組織は、諸外国から機能不全に陥っていると見られているようである。
 
 
日本の秩序ある被災者の行動は世界から称賛を受けたが、日本のエリート層には、今、世界から侮蔑と軽蔑のまなざしを受けている。
 
 
それが今の日本売りの真相だろう。
 
 
世界の理想の軍隊とは、兵:日本人、将軍:アメリカ人と言われて久しいが、
戦後65年。
兵は強いが将軍は相変わらず無能と外国から思われているようだ。

 
日本経済底入れ時期の予想と、その将来
日本経済予測(2010年1月記載)
 
 
相変わらず、苦しいですね。
日本経済。
さて、いつ立ち直るのやら・・・。
 
最初に日本が苦しいのは構造不況だからです。
その原因は大きく分けて2つあり、ひとつは、グローバル。
そして、もう一つは成長を前提とした社会システムの崩壊です。(年金、医療etc)

グローバルの本質的対応は、グローバル以前の教育システムを改め、それに対応した教育システム変える必要がありますが、現状、行われていません。
外需の取り込みが、日本の短期的な回復には必要なのは間違いありません。
日本の主な輸出先は中国とアメリカになります。

個人的にはアメリカの回復は2011年頃と予想しています。
よって、2010年の日本の経済回復の主因は中国になると予想しています。
が、どうも別のバブルが生まれているのようで、予断を許さない状況になりつつあると感じます。
結局、過剰流動性が、新たな獲物を求めて蠢動しているようです。
 
中国、危ないかもしれません。
優良な投資資金が一斉に逃げ始めています。(中国の技術情報開示要求に対応する為、外資が逃げ始めています)
今、中国に向かう投資資金(ドル)は、実体経済ではなく、ハゲ鷹さんです。
2010年の上海万博までは頑張ると言われている中国バブルですが、アメリカにニヤリされるかもしれません。
ハゲ鷹さんにとって固定相場制を維持する元は格好の餌食です。
元高圧力を回避するために、中国はドル買い介入を続けています。
ただ、中国は賢いので、アメリカ政府に圧力を掛けています。
さて、どちらが勝つか?
日本としては、暫く眺めているのが妥当と思います。
今さら出かける企業は、イタイ目にあうかな?
将来的には成長基調に戻ると思いますが、調整局面があるのは織り込んでおいた方が良いでしょう。

また、今年の夏あたりから民主党不況(輸血を止めるので当たり前だが・・・)もあるので・・・
中国ボンと民主不況(?たぶんマスコミは言うでしょう)がダブルで来ると、日本は総崩れになります。
ただ、中国ボンは2011年(調整局面、崩壊ではありません)ぐらいと予想しますので、基本、L字回復になると思います。

しかし、これまで下支えしてきた分野(財政出動して来た分野)は、補助がなくなるので徹底的に苦しくなるでしょう。

マスコミがミスリードをしない事を祈ります。
 
 
 
以上、昨年の記事の転載でした。
論拠を知りたい方は2010年記事に記載している各種記事に飛んでください。
 
そろそろ、公共投資に依存し過ぎた地方がバーンアウトし始めています。
おそらく、小泉改革と同様、マスコミは『婦人の仁』を訴えるでしょう。
 
前原氏のような日本人にとって聞こえの良い政治家の『匹夫の勇』、そして、マスコミの主導する『婦人の仁』
によって日本は益々、苦境に陥りそうです。
 
生活保護費と必要性のない公共投資に何の違いがあるのかわかりませんが。。。、その公共投資を求める方々が日本全国に溢れています。(即時性は高くイタミ止めとしての効果は抜群、麻酔で使う麻薬のような効果が期待出来ます。もしくは血の足りなくなった地方のへの輸血効果として評価すべきですが、、、)
 
実態の伴わない女子供のやさしさを指して、韓信は項羽の事を『婦人の仁』と評したそうです。
目の前の弱者を見ると不憫に想い涙し、思わず手を差し伸べてしまう優しさは大事ですが
(タイガーマスク運動と同じ
 
手を差し伸べるだけでは、根本的な解決に至りません。
なぜ?弱者が生まれるのか?
そこに目を向けず、弱者対策をしても、より多くの弱者を産む事になると思います。
本来、私達庶民は、思わず手を差し伸べてしまう優しさだけ十分なはずなんですが。。。、それだけでは対応できない状況に対し悔しく感じています。
 
魚でなく、釣竿を、そして釣り方を教授する事こそが日本を救う一つの要素と思っています。(十分条件ではないのですが。。。)
そう思わずにいられない状況です。
 
口惜しい事に今の状況は20年前から予測されていた事です。
(インターネットが発達していない時期にも関わらず、私でも十分予見できる程度の状況)
 
なぜ?歴代政権が改革をしなかったのか?
その意味を、理由を検証しない限り、日本は同じ事を繰り替えしそうです。
 
来年も同じ記事を書かないで済む事を願って止みません。
過去の予想記事は以下の通りです。
2009年 アメリカの景気底入れと回復時期の予想
2010年 アメリカ経済予測(2010年1月記載)
 
 
2009年の経済予測では、2011年後半にアメリカは本格的な回復基調に復帰すると予測していましたが、どうも半年ほど早く本格的な回復基調に入ったようです。
アメリカの場合、単純に住宅市場、株式、雇用、そして雇用者報酬(総て個人消費関連)を俯瞰すると大体の状況がつかめるのですが、左記4種類の内、株式、雇用者報酬が目に見えて回復し始め大きく上昇して来ています。
住宅、雇用も冷え込んではいましたが、徐々に回復して来ているようです。
 
私の予想よりやや早い回復の理由は何かと原因を問えば、量的緩和という核爆弾による勝利でしょう。
基本的に自律回復すると予想してはいましたが、基軸通貨国だけが使える手段を他国の迷惑も省みず使い切りましたね。
 
2010年の記事で新興国のバブルを引き起こしてニヤリしていると書きましたが、アメリカはデフレを回避する為に、新興国にインフレ(場合によるバブル)を誘発させる事で、見事に復活です。
サンデルさんの正義で、このやり方はアリなんですかね。
 
中国や韓国、ブラジルを始め、新興国は通貨防衛としてドル買い自国通貨売り介入を行ないましたが、所詮、通常兵器。
自国のインフレ圧力に対抗出来ず、利上げが相次いでいます。
そして、その利上げにより過剰投資マネーが流れ込むと。。。。
 
 
*誰も住まない立派な街。日本の車の通らない道や橋と同じ。
 
中国では鬼城なるゴーストタウンを投資目的で多数建設してますが・・・、中国転ぶと日本の影響も大きく何とも複雑な心境です。
投資資金(間接投資)中心のアメリカは資本を引き揚げれば済みますが、中国に直接投資し、中国にモノを売っている日本は大変です。
因みにアメリカは破綻させる事で儲ける事も可能な投機手段CDSがあるので、どっちでも良いのでしょう。
酷い国です。(苦笑)
 
さて、アメリカの回復は間違いなさそうですが、アメリカのとった政策による副作用はないのでしょうか?
勿論、あるわけで、それが2011年以降の不安定要因になるのだろうと予測してます。
 
インフレ誘導する為に自国の通貨安を誘導した以上、当たり前ですが、それは悪いインフレ、つまり一層の資源高を呼び起こすでしょうし(アラブ諸国の混乱の一部はアメリカの責任でもある)、財政赤字の単年度の規模は日本とアメリカが双璧。
 
そして、回復が確定すればインフレ対策でアメリカ自身が何処かのタイミングで0金利政策を見直し利上げを行なうの必要があるのでしょうが、それは今の流れと逆の動きを誘発する以上、メリットがデメリットになる瞬間でもあり、非常に難しい金融調整、舵取りが必要と思われる状態でもあります。
アメリカの行動は確かにアメリカに有利な状況をもたらしましたが、同時にコントロールの難しい過剰流動性をもった過大な資金バブルを発生させました。
 
この過剰資金バブルの荒海を乗り切れるかは、マエストロ(一時、評価を押し下げていましたが)、バーナンキ氏のウデ次第でしょう。
最も不安定要因を孕みつつも、潜在成長率の低い日本と違いアメリカからは閉塞感を感じません。
 
但し、自力でなく他国の富みに依存した極悪な回復を現在している以上、その歪みは波乱要因になりますので、注意は必要そうです。
 
富樫文太郎さんからの転載記事です。
ほんと、お粗末です。
そんな『お粗末な格付け』を説明できないのが、私達の総理です。
 
米国の有力な格付け会社S&P(Standard&Poor's)は1月27日に日本の長期国債の格付けを従来のAA(ダブルA)からAA−(ダブルAマイナス)に引き下げた。そのことは発表直後に市場で円の為替相場と国債相場の下落(国債利回りは上昇)、28日には東京株式相場の下落をもたらしたし、28日には国会での論戦のテーマとなった。
 また日本の新聞は、読売(28日)が1面トップに「日本国債格下げ」という特大見出しの記事を掲載したのをはじめ、どの新聞もそれに準ずる大ニュース扱いをした。
 格下げの理由は、「日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下するとS&Pは予想する」(S&Pホームページ、日本語版)という点にある。
 しかし、そうした可能性そのものはすでにほとんど周知のことであるから、“何をいまさら”ということになる。他方では、菅直人内閣が内閣改造(1月14日)を行い、財政健全化論者の与謝野馨氏を経済財政相に迎え、今年6月までに「社会保障と財政の一体改革プラン」を作成しようとしている矢先のことなので、“どうしてこの時期に”という疑問が起きる。
 
 ただし、菅首相が財政再建計画の作成を優先し、デフレからの脱却と経済成長の底上げ(それによる税収の増加)を軽視していることには私は賛成できない。そもそも同首相は、昨年9月の民主党代表選挙に際しては「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と絶叫していたが、それもすっかり忘れたかのようである。そして、もっぱら財政健全化とそのための消費税引き上げを迫る自民党、経済界、マスコミに迎合し、ひたすら保守化路線をとることで政権の延命を図っている。
 したがって、 同じような保守的思想の格付け会社なら、むしろ最近のそうした菅内閣の財政健全化路線を評価すべきではないか。ところがS&Pは「民主党率いる連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けているとS&Pは考えている」(同上)と述べている。たしかに民主党政権には「債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」のは事実だが、菅首相は今それを作ろうとしているわけである。格付け会社としては、すくなくともその努力を買い、またその結果を見るのが妥当なのではないか。
 
 ところがS&Pは、菅首相が目指す「一体改革」案について、「これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低いとS&Pは考えている」(同)と予断している。その案がまだできていないのに、である。
 さすがに、そのような予断で国債の格付けを下げるのは無理と考えてか、S&Pはさらに、「2011年度予算案と関連法案が国会の承認を得られない可能性さえあるとS&Pはみている」(同)という。つまり、こんどは政局の予想にもとづく財政不安が国債の格付け引き下げの論拠とされる。それはそれで理由になるが、その程度のことなら素人でも言える。
 そもそも、上述の、「連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」という文章は、意味不明である。それについては、英語の原文の日本訳が悪いのだ、と人は考えるかも知れないが、このレポートを書いた担当者は小川隆平氏(在シンガポール)で、日経との電話会見では「ディレクター」と名乗っている(日経、28日)。 
 
 いまでは多くの人が知っていることであるが、日本の国債の約95%は国内で消化(購入)されており、半分内外を外国の投資家に依存している米国やドイツとかなり異なり、それだけ外国投資家の意向に左右される度合が小さい。また日本は対外経常収支の継続的な黒字国であり、世界第2の対外純資産保有国であり、その点で、世界最大の対外債務国である米国とは決定的に異なる。この点については、S&Pも申し訳的に、日本国債の格付けは「高水準の対外純資産残高と比較的強固な金融システム、多様化された経済により『AAー』の水準で下支えされている」と付け足している。それなら格下げなどと言わなければいいのである。
 他方、私が以前に当「診断録」(10年5月5日号)で書いたように、国民が税金や社会保障の掛け金として国民所得のうちのどれだけ(比率、%)を収めているかを示す「国民負担率」は39.0%(10年度)で、英国(以下は07年の数字。48.3%)、ドイツ(52.4%)、フランス(61.2%)、スウェーデン(64.8%)などに比べて格段に低い。その分だけ、今後もし危機に陥ったような場合に、国民の負担を増やして危機に対処する余裕を残していると言える。(追記:高福祉低負担)
 
 そういう事実を市場が評価しているため、日本の国債の売れ行きに不安が生じたことはなく、その金利(10年ものの市場利回り)は年1.215%(28日)で、ヨーロッパでの最優良債と見なされているドイツの10年国債の3.192%、米国10年国債の3.41%よりも格段に低い(優良債ほど金利は低い)。
 その日本国債の金利は、S&Pによる格下げが伝えられた27日には1.25%まで上昇したが、28日には上昇前の1.21〜1.22%に逆戻りした。つまり、S&Pの格付け引き下げは市場によって否定されたわけだ。 
 
 そもそも、S&Pに限らず、米国の格付け機関は08年の金融危機を生んだ米国の住宅バブルの中で、サブプライムローンといわれる信用度の低い住宅抵当債権をまとめて証券化した金融商品を、優良証券と評価するといういい加減な格付けをしたのだった。米大統領の経済報告(09年)も、「信用格付け会社は誤った前提条件を使って当初の査定を行い、その後相当数の格下げを行った」と指摘している(萩原伸次郎監訳、毎日新聞社、09年)。
 また、10年のギリシャ国債の支払危機に際し次のようなことがあった(当「診断録」10年5月9日号参照)。すなわち、ユーロ圏諸国及びIMFによるギリシャ支援のパッケージがようやく取り決められ、その援助の具体的条件についての協議が4月21日にアテネで開始された矢先、27日にS&Pは突如ギリシャとポルトガルの国債格付けの引き下げを発表、ギリシャ債をジャンク債(不良債券)扱いとしたのだった。その衝撃で、27日から欧米アジアの各市場で株、債券、為替の下落が始まったのだった。
 こうした無責任な行動にEU当局は激怒、その後EU諸国で格付け会社を規制する動きが起きたのである。日本でも09年に金融商品取引法の改正で「信用格付会社」の登録制が導入された(注)。
 
 (注)格付け会社には、この金商法にもとづいて登録をした業者と無登録の業者があり、格付け会社自身の市場あるいは社会からの信用度は当然に登録業者の方が高い。実は、今回日本国債の格付けを行ったS$Pの格付けは無登録のものである。
 すなわち、上記のS&Pのホームページによると、「スタンダード&プアアーズ・サービシズが提供する信用格付けには、日本の金融商品取引法に基づき信用格付け会社として登録を受けているスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社が提供する信用格付け(以下『登録格付け』)」と、当該登録を受けていないグループ内の信用格付け業を行う法人が提供する信用格付け(以下『無登録格付け』)があります。本稿中に記載されている信用格付けのうち、「※」が付されている信用格付けは無登録格付けであり、それ以外は全て登録格付けです」とあり、問題の日本国債の格付け「AAー」及び従来の「AA」には、いずれも「※」マークが付されている。
 つまり、今回の日本国債の信用格付けは、S&Pによる格付けと言っているが、それはS&Pグループ内の無登録会社が行ったもので、登録されている「S&Pレーティング・ジャパン株式会社」によるものではないのだ!
 
 以上のように、今回のS&Pによる日本国債の格付け引き下げは、それを実施した格付け会社の内容や格付けを公表した時期などの点で不可解であるし、格下げの理由に関しては全く説得性が無く、とても精細な調査と検討にもとづいて結論を出したとは思えない。単なる思いつきか、民主党政権の政策批判のためのもの、さらには投機についての仕掛けなのではと疑われる。 (以前も在りました
 そうした点についてFinancial Times (27日電子版)は、菅首相が財政再建を最優先課題ととらえ、改革プランを6月までにまとめる予定だと伝えた上で、「この格下げは、最低でも、税の改革についての与野党の協力を求める菅首相の呼びかけを、野党が蹴飛ばし続けることを一層困難にするだろう」と、S&Pの民主党政権批判の意図とは異なる“菅応援”の効果を持つと評価した。
 また同紙は、ダボス会議(世界経済フォーラム)に出席中の野村ホールディングスの氏家純一会長の次のようなコメントを伝えた。「今回の格下げはビッグ・サプライズではない。それは財政改革の理由の助けになり得るだろうし、与謝野馨新経済財政相が財政改革のための法律を通しやすくする」。
 
 ところが、野党は自民党も公明党もS&Pによる国債格下げを菅政権攻撃の好材料と受け取っただけのようで、28日の国会では、前日にこの格下げのニュースについて「私はその点に疎い」と語った菅首相の失言を取り上げて、例によって揚げ足とりの論議をするだけに終った。とてもFinancial Times の期待に応えるような政治感覚は持ち合わせないようだ。
 それにしても、日本の政治家やマスコミはどうして外国の一格付け会社の見解、それも「無登録格付け」(どのマスコミもこの事実を伝えていない)にこれほど大騒ぎするのだろうか?それは、格付け会社と聞くだけで、とくに一般に外国(なかでも米国)の機関と聞くだけで、その言うことを単純にありがたがる性(さが)のせいだろうか。 (この項 終り)

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
K9
K9
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(11)
  • fusion
  • みずがめ座
  • フレディ
  • yatugatake
  • dunubの窓
  • seitaisalonoasis
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事