クラシックな日々

真善美愛を追い求める、クラシカルな話題の徒然草です★

読書

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 二女が早稲田の国際教養学部に入学したことに刺激を受けて、しばらく遠ざかっていた国際関係や社会科学関係の本を読もうという気分になりました。
 僕は法学部卒で、経済学の勉強は不十分なので、この機会に国際経済学関連の本を読んでみることにいたしました。

 最初に読み始めたのは、ジョセフ・E・スティグリッツ著『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(徳間書店)です。これは、とても素晴らしい内容ですが、未だ読了しておりませんので、後日記事にいたしたいと思っております。

 この本と平行して読み始めて先に読了したのが、アジア初のノーベル経済学賞受賞者(インド人)で現在ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長のアマルティア・セン著『貧困の克服』(集英社新書)です。

 僕はかねてから、昨今の「勝ち組、負け組」という品のない言葉に象徴されるような、むき出しの社会的ダーウィニズムの臭気を放つ「市場原理主義」に嫌悪感を抱いておりましたので、センの下記の言葉には、我が意をえたりと得心いたしました。
 市場を拡大したり官僚制を縮小したりするだけでは、解決策にはなりません。
 それらも重要なことですが、インドの経済政策と社会政策が真に必要としているのは、東アジアの戦略の中心的要素である人間の潜在能力の発展や、さまざまな制度の相互補完的関係をもっとフルに活用することなのです。(37ページ)
 自然災害であれ政策ミスであれ、破局的事態の回避というかたちにおける人間の安全保障を確実なものにするためには、民主主義と参加型政治が重要な役割を果たすことを、私はここで強調したいのです。
 飢饉やその他の重大な危機が発生する際のきわめて重要な特徴は、不平等の存在です。
 もちろん、民主主義の不在は、それ自体が不平等であることにほかなりません。
 この場合には政治的権利と政治的権力の不平等を意味します。
 しかし、われわれは特に(1)非民主的なガヴァナンス(統治)による政治的不平等と、(2)飢饉そして急激に増大する経済的格差によって生じる、権利の不平等な剥奪との関係に注目しなければなりません。(38、39ベージ)
 境遇に格差が生じたために他の社会集団は無傷だというのに一部の社会集団だけが壁にたたきつけられるようなことが起きないように、社会的保護が必要不可欠なのです。(46ページ)
 不況による負担が社会全体で広く分担されずに、失業者や新たなリストラで解雇されれた労働者などその負担に耐える力のない人々に重荷が集中すれば、何百万人という人々の生活が破綻し、困窮状態に陥ってしまうこともありうるのです。(53ページ)
 センの使う「人間の安全保障」という概念は、国連でも採用されており、2004年からは東京大学大学院総合文化研究科に「人間の安全保障」プログラムが設置されています。
 「人間の潜在能力の発展」という言葉から、僕はセンの政治哲学に、イギリスの理想主義的政治哲学者のトマス・ヒル・グリーンの人格主義との近似性を感じました。



 

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