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昭島市制施行50周年記念「彫刻銀河」冊子 p18 あとがき
文責/リレー彫刻展事務局(事務局所在地キ・アリ)
市役所ロビーでの展示の際、苦言を呈した方がありました。(何故か匿名でしたが)「目の見えない人や障害者に危険だ。公共の場に置くのはいかがなものか」(別の方から「目の見えない人には安全だけが大切で芸術など必要ないと考えるのですか」との反論も記してありましたが。)彫刻の設置にはこのような一面的な苦言がいつまでたってもつきまといます。
民主的で平等な社会にあっては、私たちはだれもが主権者です。だれもが主権者であるが故に、私たちは他の主権者を思いやり理解しなくてはなりません。その理解を持てない人は民主主義と平和主義の破壊者です。目の見えない人には芸術なんかより安全をと考えることはそういう考え方です。目の見えない人が来たらだれもが駆け寄って安全な道を示し、また「彫刻がおいてあるんですよ。この作品はきれいなピンクの石でできてますよ。」と教えてあげることが、私たちすべてが主権者として生きることです。
美術とは差別の無い世界です。美術が戦いや飢えや天災、人間の愚かさがくり返された歴史をのりこえて、長い命を保つのは、それが人間の希望だからです。美は平等や平和のシンボルだからです。だから最近発見されたミケランジェロの小像は、作者不詳にも拘らず、作られた当初の姿のまま人の手から手へ500年間大切に伝えられてきたのです。この優れた小像は、どれほど多くの人に愛や平和を説いてきたことでしょうか。
今「広場”彫刻銀河”」に設置された作品たちは子供たちの原風景になるでしょう。疲れた大人を慰めるでしょう。耳の聞こえない方に風の音をとどけるでしょう。目の見えない方たちに初めての形と色を見せるでしょう。それを信じるからこそ、私たち作家は、わずかな曲線の狂いを数日かけてもただし、たとえ見返りがないとしても努力を続け、産みの苦しみに耐えることができるのです。
芸術の持つ力は皆さんが思うよりずっと大きいものです。もう一歩近づいてみませんか。
最後に、他に見られぬ希有なロングラン彫刻展を企画実行し、さらに彫刻銀河広場というコンセプトのある常設を、市民のために実現された市当局に敬意を表します。ことに初めての彫刻展と設置という難題にもめげず、市民のために尽力された担当職員の方々に感謝いたします。また主旨をご理解頂き、予算を度外視した優作を提供して下さった作家の方々に感謝いたします。
出来上がった”彫刻銀河”を軌道にのせ輝かせるのは、市民の皆様の力です。最高の広場につくりあげていただきたいと思います。
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