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木材の工芸的利用 明治四十五年 農商務省山林局編纂 発行者日本山林会
復刻版発行 昭和五十七年 林業科学技術振興会
全1308頁の大著です 2.3頁づつ清書していきます。
原本は仮名文ですが、ひらがなに変換してあります。また旧字も改めてあります。句読点の 。及び反字分のアキは私の判断で入れ 、は原文にあるものそのままにしています。一部送り仮名も追加もしました。
{ }内は私の追加したものです。なお( )内は原文通りです。
目次
総論/第一章 木材の性質/第一節 木材の外観
第一項 色 第二項 光沢 第三項 木理 第四項 紋理(杢目) 第五項 雅致 第六項 精粗 第七項 木材の形状 第八項 木材の大さ
第六項 精粗 // (一)彫刻に適するもの (二)旋[金偏ヲツケル]作に適するもの (三)漆器板物木地に適するもの (四)製図板に適するもの (五)裁縫板.俎板.蒲鉾台.蒲鉾板に適するもの (六)張板に適するもの (七)洗濯板に適するもの (八)刀剣鞘に適するもの (九)道具の柄に適するもの (十)櫛に適するもの (十一)尺度に適するもの (十二)鋳物木型に適するもの (十三)「ブロック」の「シーブ」に適するもの (十四)火薬製造用摩擦球に適するもの (十五)経木に適するもの (十六)碁盤及将棋盤に適するもの (十七)学校塗板に適するもの (十八)「シャツトル」に適するもの (十九)機具及糸繰機に適するもの (二十)鉛筆に適するもの (二十一)硝子の研磨に適するもの
第六項 精粗
木材の精緻(Feinheit)は粗野(Grobheit)に対する名称にして Xに木材の外観をさゆうするのみならす木材工作の方法並に工作品の価値を上下するものなり。精緻の木材とは其の横断面に於いては年輪判明ならず 縦断面においては秋材と春材とを区別するに困難なるものをいう。而して細胞の絶対的大きさは木材の精粗に関係すること少し故に細胞大にして軟なる精材あり。Lindenholz(しなのき)の如き是なり。細胞小にして堅なる精材あり。Buchsholz(つげ)の如き是なり。細胞の大さの差小なる程、其の集塊によりて木材精粗の度は益々大なり。
木材の精粗は木材の種類によるのみならず 亦 其の立地気候の関係によりて大いなる影響を及ぼさる。
精材にありては其の横断面に於て髄線は微小にして殆ど見えず 其の細胞の大きさは木材柔細胞組織に近似し 其の高さは低し。故に木繊維と密に組成す。
之を要するに春秋材の硬度の差少なく 孔環なく 且つ一般に導孔小に 且つ髄線極めて微細なるものを精材という。俗に「目の立たざる木」というもの即ち是なり。精材は木材利用上大いに尊重せらる。
(一)彫刻に適するもの
彫刻材に適するもの、古来さくらは版木彫刻材として唯一の良材たり。其の他 菓子型、置物彫刻等に欠くべからず。さくらの模擬材としてはかば類、みずめ、みねばりを用ふ。
つげは我が邦における精材中の王にして美術的絵描きの版木及び洋風木版、字母、印判、根付等に賞用せらる。殊に此の木は木口強きを以て此の断面を利用する場合甚だ多し、薩摩産は木理疎にして質平等ならず、三宅御蔵両島産を可とす。欧州高加索{コーカサス}産は質 軟かく木心{キゴコロ}宜しく従いて狂い少なしという。
いぬつげはつげに似るを以てこれに代用せらる。
いてう{銀杏}は印版木として筆法を失わず。唐土にては園亭の額に作り 又 譜を刻むに用ふという(大和木経)越後にてはいてう板 又は此の木を以て作れる箱類に肉合彫(シシアイボリ)を施し彩色するものあり。
ほヽのきは小仏像の塗下(ヌリシタ)として彫刻緻密のものに用ふ。一般にはひのき、かや、ひめこまつを用ふ、塗下にあらざる小仏像は白檀を用ひ之が代用として和白檀を用ふ。
ほヽのきは又 仏壇欄間彫刻の微細なるところに用ひられ ひのきは少しく粗なる処に用ひられ 又 ひめこまつも用ヒラル。京都、大阪にては此の彫刻材として外国輸入品包装箱の古材、「シンガーミシン」箱、鷲印「ミルク」箱、瑞西{スイス}時計箱 牛缶箱等に用ふ。仏像彫刻にひのきを用ふるは天平時代より始まる古代の仏像は皆 所謂 毛柾(ケマサ)にして年輪極めて微細なるひのきの柾目を用ひ且つ現今の如く数片を結合せるものにあらす。
奈良の一刀彫人形はひのきの古材を用ふ。
もみじ及いたやかへでは繊維通直のものに限る。其の屈曲せるものは 材片剥離し彫刻材とならず。
唐木類は置物彫刻材に用ふることあるも堅きに過ぎて運刀の妙を尽くす能はず。故に美術家は之を好まず。
日光に於てはとち板を用ひ家具を製し 之に種々の彫刻を施し 宮島にてはさくら、みずめ等を以て盆を作り之に宮島風景の粗絵を刻せり。
今欧州に於ける美術的彫刻材を見るに瑞西{スイス}及チロール等にて行はる、動物、額縁、時計置台、装具入等にはリンデ{Lindenbaum}(しなのき)を最も可としスピリツツァホールン{?Horn}(もみじ)ロスカスタニー{Rosskastanie}(とち)ヌスバウム{Nussbaum}(くるみ)ヲプストバウム{Obstbaum}(果樹)之に亞ぐ。或は彫刻物はアイへ{Eiche}(なら)ブッヘ{Buche}(ぶな)を用ひ 下等品にはレーグフーレ{?}(ハイマツ)チュルベル{?}(高山のまつ)を用ふ。
版木類にはビルンバウム{Birnbaum}(なし)アッペルバウム{Apfelbaum}(りんご) アホールン{Ahorn}(もみじ)ブックスバウム{Buchsbaum}(つげ)を用ふ。
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NOTE
>いてう{銀杏}は印版木として筆法を失わず
>もみじ及いたやかへでは繊維通直のものに限る。其の屈曲せるものは 材片剥離し彫刻材となら
2014/10/2(木) 午後 9:04 [ contemporary Eat & Art ]