カゴメのシネマ洞

主にDVD・ビデオ観賞によるレビューであります。 映画館は苦手さっ、トホホ…

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「隠し砦の三悪人」
(1958) 日本
監督:黒澤明
製作:藤本真澄 黒澤明
脚本:黒澤明 菊島隆三 小国英雄 橋本忍
撮影:山崎市雄
美術:村木与四郎
音楽:佐藤勝
特殊技術:東宝技術部
出演:三船敏郎 上原美佐 千秋実 藤原釜足 藤田進 志村喬 他、

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


まだ黒澤様作品未体験な方は、是非この作品を皮切りにしてもらいたい、そんな入門書的な作品ですね。
私、久しぶりに再観しまたけど、やっぱイイわぁぁ〜。
黒澤様にとっては初のシネスコサイズの作品という事もあってか、全編に漲る圧倒的な豪放磊落・痛快無比ぶりで、まさに日本には珍しい超一級のエンターテイメント作品となってます。
アドベンチャー&アクションをここまでストレートに観せてくれる作品ってなかなかないですよん!

まず冒頭の、総勢200人になんなんとするモブシーン。
敵に囚われていた敗残兵が大挙して暴動を起こして、城外へのだだっ広い石段を駆け下りるところはとっても日本の映画とは思えないド迫力!
これに匹敵するのは、エイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」くらいでしょうか?
ほんにどーやって撮ったんだか…。これだけ大勢なのに一人一人の描写が細やかなんです。

それと、何とゆっても観所は、三船さん演じる六郎太の、あの、剣を両手で八双に構えつつ手放しで馬を疾駆させて敵兵に追いすがり、はっしと切り落すシーンですね。
撮影に入る前に“流鏑馬”の特訓を受けたらしいですが、とはいえあれほどの迫真の演技をこなすとは、やはりこの方、尋常ではありません。まっこと超人であります。
もーこんな稀有な役者は出て来ないだろうなぁぁ(寂)。
このシーン、当時は特機などなかったのか全てパーンで撮られてます。シネスコサイズならでは迫力ですね。
この野太く力強くしかも颯爽とした名シーンに魅せられて、思わず「風とライオン」で使っちゃったジョン・ミリアスの気持ちも理解できますなぁぁ・・・。

さてさて、三船さんだけじゃありません。
黒澤様の初期作品群には欠かせなかったレギュラーの一人、藤田進さんもこの映画では美味しい役で出て来ます。
この方、三船さんより強面の無骨なイメージが強過ぎて、どーも使い回しが利かないせいか、この頃からあまり黒澤様の作品には使われなくなってます。
実はこの敵方の侍大将役(田所兵衛)も、本当は先代松本幸四郎が演る予定だったらしい。
よーするに、代役ね。
そのせいもあってか、まるで役者魂に火がついたような気迫の充溢した芝居を見せてくれてます。
三船さんとの槍を交える8分に及ぶ一騎打ちではその絶妙な緩急の間、気合とアクションの際どさで一瞬たりとも目が離せない緊張感があります。
でまた、クライマックスでの「裏切り御免っ!」と、それに続く「ニカッ!」がイイんだ、こりがっ!!
なんとも鮮やか、惚れ惚れしますねぇぇ。
正しく理想的な「丈夫(ますらお)振り」ですなぁ〜・・・(嘆息)。
おっと、その前の“殿様に叱責されて傷つけられた相貌”を晒すシーンも決して見逃せませんぞっ。
あのお顔を見て、「おっ、ダース・ベイダー!」と思った貴方は、スターウォーズフリーク認定書が貰えます、たぶん(笑)。
そう言えば、敵兵の重囲に追われて遥か向こうに早川領を見た一瞬後、山肌の向こうからワラワラと敵兵が群れをなして現れるシーンも、これ、「インディアナ・ジョーンズ」の二作目で使われてるね、確か。

雪姫の上原美佐さんもエエです。
マッチロイ、伸びやかな肢体。ふふふ。そして、険しくも澄んだまなざし。ふふふ。
(千秋・藤原コンビは、時たま衣装の隙間から覗ける姫の下着に相好を崩すこともしばしばだったとか)
ちーとばかり声を張りすぎるのも、それこそ大根なところも、姫の純で徑烈な魂の在り所を如実に示しているようで、カゴメは素直に好感が持てまする。
特に、敵に征服された故国を遥かに眺めつつ、嗚咽を堪えて滂沱の涙をお流し遊ばすその立ち姿の健気さ!
んがぁぁーっっ!
「このカゴメ、いつどこまでもお供致しますぅぅーっ! もう、その鞭でぶってたたいて、気を晴らしてくられませー」言いたくなりますね、ふんとに。(←え、私だけ?)
このシーン、三原さんはなかなか泣けなくって、「私が泣かなきゃ、スタッフさんが帰れない」と思って、よーやっと泣けたという。
うんやっぱ純だな、処女だな。そう決めた。もっとも、今となってはどうでもいいが(笑)。

忘れてた。
ちょこっとだけ出て来る上田吉二郎さんの“やらすぅい人買い親父”もツボですよ。
こういう役やらせたら、右に出る人いませんね(笑)。

まっこと見所満点の作品なんですが、実はカゴメが一番興味を引かれたのは脚本の作り方です。
この作品の脚本は黒澤様を筆頭に四人で書かれてるんですが、まず最初に黒澤様が、簡単なプロットというか設問をします。
例えば、「ここに、山名方(敵役)の関所があり、敵兵が一杯いる。戦わずにこの関所を抜けて通過するにはどうするか?」みたいな。
で、一緒に旅館に缶詰になってる他の三人の脚本家が、「さぁ、どーする、どーする」と、文殊の知恵とばかりに、額を寄せ合い協議して、奇抜で目を引く打開策を考案する、という具合。
要するにちょっと前に流行った、テーブル・RPGですな(笑)。
察するに、「シナリオの弱点は演出でカバーできない」との、黒澤様のお言葉通り、容赦のない詰めの細やかさがあってこそ、このスピーディーでダイナミックな作風が生まれたのでありましょう。

ちなみに、これが製作された1958年は、映画館入館者数が史上最高の11億3千万人を数えた年だそうな。
映画はまさしく大衆娯楽の王者の座にあって、黒澤様の、「俺の映画を観ろ。驚け!そして酔えっ!」といわんばかりの気合の入れようも、その上潮の状況がさせた技でしょうや?!
ううむ、さすが邦画黄金期真っ只中の、際目付けの胸すく痛快娯楽巨編!!
これ観なけりゃ、絶対に損っ!
えっ!もうとっくに観たって?
んじゃ、記憶消しても一回観なはれ(んな馬鹿な 笑)。

なぜ、3POとR2D2のことは書かないかというと、どのレビュー見てもとっくに書かれちゃってんだもんね。
くそっっ!(苦笑)

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シェイクスピアの『マクベス』をアレンジした『蜘蛛巣城』に次ぐ戦国時代をテーマにした作品ながら、こちらは一転して冒険大活劇。三船は勿論、百姓役の千秋実と藤原釜足もはまり役で好演しています。藤田進は、黒澤監督のデビュー作『姿三四郎』の主演で有名ですが、『用心棒』の見かけは強そうだが、金だけ取ってトンズラしてしまう用心棒の先生も忘れられません。

2005/7/28(木) 午後 10:57 [ mannennetaro2005 ]

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「蜘蛛巣城」はちと重い題材ですね。でも、ある意味、黒沢好みですかね? こちらの「隠し砦〜」は、如何にもこの当時の大衆受けを確信した作風で、これはこれで黒澤様の実力をはっきしていると思います。 そうそう、用心棒でも藤田さんの最後の“にこっ”は冴えてましたねぇぇ。(笑)

2005/7/29(金) 午後 2:45 カゴメ

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映画斜陽前夜ではありますが、さすがの東宝もこの時のスケジュール遅れに辟易して、黒澤監督とぶつかります。その後、黒澤プロが作られて、東宝の独立資本での映画製作はこれが最後だったと思います。会社からの独立、製作の自由、という意味ではジョージ・ルーカスがこのことを学んでいますよね。

2005/8/17(水) 午前 6:20 [ dalichoko ]


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