カゴメのシネマ洞

主にDVD・ビデオ観賞によるレビューであります。 映画館は苦手さっ、トホホ…

カゴメの特選映画

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カゴメが薦めるまでもなく、とっくにご存知でしょうけど…
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「隠し砦の三悪人」
(1958) 日本
監督:黒澤明
製作:藤本真澄 黒澤明
脚本:黒澤明 菊島隆三 小国英雄 橋本忍
撮影:山崎市雄
美術:村木与四郎
音楽:佐藤勝
特殊技術:東宝技術部
出演:三船敏郎 上原美佐 千秋実 藤原釜足 藤田進 志村喬 他、

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


まだ黒澤様作品未体験な方は、是非この作品を皮切りにしてもらいたい、そんな入門書的な作品ですね。
私、久しぶりに再観しまたけど、やっぱイイわぁぁ〜。
黒澤様にとっては初のシネスコサイズの作品という事もあってか、全編に漲る圧倒的な豪放磊落・痛快無比ぶりで、まさに日本には珍しい超一級のエンターテイメント作品となってます。
アドベンチャー&アクションをここまでストレートに観せてくれる作品ってなかなかないですよん!

まず冒頭の、総勢200人になんなんとするモブシーン。
敵に囚われていた敗残兵が大挙して暴動を起こして、城外へのだだっ広い石段を駆け下りるところはとっても日本の映画とは思えないド迫力!
これに匹敵するのは、エイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」くらいでしょうか?
ほんにどーやって撮ったんだか…。これだけ大勢なのに一人一人の描写が細やかなんです。

それと、何とゆっても観所は、三船さん演じる六郎太の、あの、剣を両手で八双に構えつつ手放しで馬を疾駆させて敵兵に追いすがり、はっしと切り落すシーンですね。
撮影に入る前に“流鏑馬”の特訓を受けたらしいですが、とはいえあれほどの迫真の演技をこなすとは、やはりこの方、尋常ではありません。まっこと超人であります。
もーこんな稀有な役者は出て来ないだろうなぁぁ(寂)。
このシーン、当時は特機などなかったのか全てパーンで撮られてます。シネスコサイズならでは迫力ですね。
この野太く力強くしかも颯爽とした名シーンに魅せられて、思わず「風とライオン」で使っちゃったジョン・ミリアスの気持ちも理解できますなぁぁ・・・。

さてさて、三船さんだけじゃありません。
黒澤様の初期作品群には欠かせなかったレギュラーの一人、藤田進さんもこの映画では美味しい役で出て来ます。
この方、三船さんより強面の無骨なイメージが強過ぎて、どーも使い回しが利かないせいか、この頃からあまり黒澤様の作品には使われなくなってます。
実はこの敵方の侍大将役(田所兵衛)も、本当は先代松本幸四郎が演る予定だったらしい。
よーするに、代役ね。
そのせいもあってか、まるで役者魂に火がついたような気迫の充溢した芝居を見せてくれてます。
三船さんとの槍を交える8分に及ぶ一騎打ちではその絶妙な緩急の間、気合とアクションの際どさで一瞬たりとも目が離せない緊張感があります。
でまた、クライマックスでの「裏切り御免っ!」と、それに続く「ニカッ!」がイイんだ、こりがっ!!
なんとも鮮やか、惚れ惚れしますねぇぇ。
正しく理想的な「丈夫(ますらお)振り」ですなぁ〜・・・(嘆息)。
おっと、その前の“殿様に叱責されて傷つけられた相貌”を晒すシーンも決して見逃せませんぞっ。
あのお顔を見て、「おっ、ダース・ベイダー!」と思った貴方は、スターウォーズフリーク認定書が貰えます、たぶん(笑)。
そう言えば、敵兵の重囲に追われて遥か向こうに早川領を見た一瞬後、山肌の向こうからワラワラと敵兵が群れをなして現れるシーンも、これ、「インディアナ・ジョーンズ」の二作目で使われてるね、確か。

雪姫の上原美佐さんもエエです。
マッチロイ、伸びやかな肢体。ふふふ。そして、険しくも澄んだまなざし。ふふふ。
(千秋・藤原コンビは、時たま衣装の隙間から覗ける姫の下着に相好を崩すこともしばしばだったとか)
ちーとばかり声を張りすぎるのも、それこそ大根なところも、姫の純で徑烈な魂の在り所を如実に示しているようで、カゴメは素直に好感が持てまする。
特に、敵に征服された故国を遥かに眺めつつ、嗚咽を堪えて滂沱の涙をお流し遊ばすその立ち姿の健気さ!
んがぁぁーっっ!
「このカゴメ、いつどこまでもお供致しますぅぅーっ! もう、その鞭でぶってたたいて、気を晴らしてくられませー」言いたくなりますね、ふんとに。(←え、私だけ?)
このシーン、三原さんはなかなか泣けなくって、「私が泣かなきゃ、スタッフさんが帰れない」と思って、よーやっと泣けたという。
うんやっぱ純だな、処女だな。そう決めた。もっとも、今となってはどうでもいいが(笑)。

忘れてた。
ちょこっとだけ出て来る上田吉二郎さんの“やらすぅい人買い親父”もツボですよ。
こういう役やらせたら、右に出る人いませんね(笑)。

まっこと見所満点の作品なんですが、実はカゴメが一番興味を引かれたのは脚本の作り方です。
この作品の脚本は黒澤様を筆頭に四人で書かれてるんですが、まず最初に黒澤様が、簡単なプロットというか設問をします。
例えば、「ここに、山名方(敵役)の関所があり、敵兵が一杯いる。戦わずにこの関所を抜けて通過するにはどうするか?」みたいな。
で、一緒に旅館に缶詰になってる他の三人の脚本家が、「さぁ、どーする、どーする」と、文殊の知恵とばかりに、額を寄せ合い協議して、奇抜で目を引く打開策を考案する、という具合。
要するにちょっと前に流行った、テーブル・RPGですな(笑)。
察するに、「シナリオの弱点は演出でカバーできない」との、黒澤様のお言葉通り、容赦のない詰めの細やかさがあってこそ、このスピーディーでダイナミックな作風が生まれたのでありましょう。

ちなみに、これが製作された1958年は、映画館入館者数が史上最高の11億3千万人を数えた年だそうな。
映画はまさしく大衆娯楽の王者の座にあって、黒澤様の、「俺の映画を観ろ。驚け!そして酔えっ!」といわんばかりの気合の入れようも、その上潮の状況がさせた技でしょうや?!
ううむ、さすが邦画黄金期真っ只中の、際目付けの胸すく痛快娯楽巨編!!
これ観なけりゃ、絶対に損っ!
えっ!もうとっくに観たって?
んじゃ、記憶消しても一回観なはれ(んな馬鹿な 笑)。

なぜ、3POとR2D2のことは書かないかというと、どのレビュー見てもとっくに書かれちゃってんだもんね。
くそっっ!(苦笑)

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「シティ・オブ・ゴッド」
(2002) ブラジル CIDADE DE DEUS/CITY OF GOD

監督:フェルナンド・メイレレス
原作:パウロ・リンス
脚本:ブラウリオ・マントヴァーニ
撮影:セザール・シャローン
音楽:アントニオ・ピント エド・コルテス
出演:アレクサンドル・ロドリゲス レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ セウ・ジョルジ 他、

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


こんなにもスタイリッシュな映画は滅多にないですね。
時間の経緯を現す手法が長けていて、とってもかっこいい!
感覚で観るだけでも充分楽しめるし、よーく考えると暗然としてくる。
まず「映画」として、よーく出来てる。

映画の原作は、パウロ・リンスという人が書いてます。タイトルは、「CIDADE DE DEUS」。
リオデジャネイロ近郊の”神の街”と呼ばれるスラムが舞台で、そこで実際にあった、そして、今も続いている、30年間に渡る血で血を洗う抗争(死者400人以上!)を著した本。
この作品に出逢うまで、監督のフェルナンド・メイレレスは、自分の国の暗部にまったく?!気付いていなかったそうな。
「私は45年もこの国に生きて来たのに、スラムの内側で何が起こってるかも知らなかったし、そのことに無関心でいた」
考え様によっては、このことの方が怖いね。たぶん。

とにかく、映像と音の持つ圧倒的な力感が、限りなくスパークしとります、し続けとります。
最初の出だしから、もう凄み満点!!
鋭利なナイフが、照りつける太陽光線を反射して、体感絶対零度の中で、ギラギラと油の汗をかいてるようです。そこに被さるアップテンポのブラジリアンミュージックが、鮮やかなコントラストとなって、響きます、手酷く。
捉えられた鶏は、他の鶏が次々無抵抗のまま捌かれ、焼かれていく様を、ただ暗然としたマナコで眺めています。たかまる緊張についに堪りかねて、脱走する鶏。流れる汗に皮膚を濡らしながら、それを追いかける子供達。
闇の中で光る悪鬼の目の様にような真っ白い歯を歯茎まで剥き出しにして、嬉々として歓声を挙げ、バンバン拳銃を撃ちつつ追いかけます。
ぐわわわわ〜ん、ごめんなさいっ、ごめんなさいっっ!
て、くらいのハイテンションとド迫力ぶりです(笑)。

それと、この映画は幾つかの章に分かれてて、おおよそ時系列的に展開していくんだけど、それぞれごとに、エピソードによってイエロー、ブルー、そしてブラックの色彩が象徴的に使われて、実に巧みな演出になってます。上手いです。
時には細かく時間軸を前後させたり、オーバーラップやフラッシュバックも使い、観せ方が凝ってます。
もう、それを見ているだけで充分堪能できるほど。

さて、この街では余計なことで逡巡してたら、あっという間に御陀仏であります。
取り敢えず危険そうな奴は殺さなけりゃ我が身が危ない。で、一回でもそれをやったら、とことんまでやらざる得ない。真剣必死、まじなの。生きること、生き残ることが。
だから純粋無垢の可憐なガキが、拳銃持ったら一番怖い。理屈なんて関係無いもん。
今までは逃げ惑うだけの、一番弱いはずだった存在が、他人を屈服させられる有無を言わさない圧倒的な手段を持てば、そりゃ嬉々として夢中になって大手振るってやるわなぁぁ。

小学校低学年みたいな子供が、やっぱり小学校低学年みたいな子供を拳銃でブチ殺すシーンがあるんだけど、「ま、まさか、これってほんとにやってんじゃなかろうなぁ?」
思うくらいのリアルな描写。いやーな汗かくよ。ほんと。

どうも、この映画の脚本や台詞のおよそ60%は、リハーサルで発せられた役者の子達のアドリブが元になってるらしい。
んで、さすがに撮影場所は、抗争の続いている“神の街”ではないものの、「話のわかる40歳のドラッグディーラー(薬の売人)」がテリトリーにしてる、別のスラムで撮影されたそうな(!)。
つまり映画に出演しているほとんどの俳優は、実際にスラムに暮らす生本(ナマホン)のスラムっ子達です。
監督は、彼らを1年間に渡って営々とリハーサルさせて、その間に自然に口から出た文句を元に脚本書いてるわけだ。
当然、演技も子供達(役者)本人によって練られ切ってる。
んだから、あれだけの緊迫感が醸し出されてるわけね。

コントラスト艶やかで、明るい映像の向こうには、その、カッチョコイイ編集スタイルの向こうには、
真実の裏打ちが十二分に施されていて、だから、残酷さと過酷さ、そして美しさと魅了されるような活気が渾然となって溶け合ってるんですね。
いや、脱帽です。かないませんです 恐縮です!

メインの役者連も、粗忽ナシ隙ナシの演技です、これ。
鮮やかです。驚嘆です。私も撃って欲しいです、空砲で(笑)。

この“神の街”は、なぜ“神の街”と呼ばれるのか?
それは、倫理と道徳なんかの、たかが人間だけが創造したに過ぎぬ規範を超越して、
銃があれば、引き金引く指の力があれば、運と才覚さえあれば、誰の命でも何人の命でも自由気侭に奪うことが出来る、ここはそんな、まさに“神々の住まう街”だからだ。
この地では、博愛や憐憫、同情なんかを説く我々人間の如き下郎は、ただの獲物に過ぎません。
「ちょっと君達、聞きなさい」の、「ちょっ・・・」まで言った途端に、銃弾が撃ち込まれます。
2秒も待ってくれませんよ。
んで、ミグルミはがされ、真っ裸の死骸でぽぽいっと路上に転がせられるだけ。それで済み、ね。
ゼの相棒のベネでさえ、彼女と付き合ったり、おしゃれする方が「人殺しよりは、楽しい」から足洗おうとする。
そうゆうレベル。 とーても、敵いませんよ。
「この作品では命が軽い」と評してる人もいるけど、それもちっと違う。
軽いんじゃなくって、ギュウギュウ詰めに鎬削ってんのね。
神である自分の命は限りなく重くって、他人のソレは羽毛並み。生き延びて、他者を屈服させることの喜び・快感を無心に貪り、まったく飽きることのない子供達を前に、我ら人間風情に何が言えましょうや?
説教こくには、相手より上位優位に立たなきゃならんが、どう見ても、アソコでは彼らの方が優位の生命体です、はい。

ブラジル大統領が国民に向かって、
「観てっ、お願い! んで、考えて、お願いっ!」
と演説せしめるに及ばせたという、伝説のこの一品。
まごうことなきスーパーノバ的傑作なので、まだ観てない迂闊な方。はいっ、そこっ!
是非、観るアルヨ、ワラシ、ホンキヨ!
(いえっ、飲んでませんっ)

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「ベティ・ブルー/インテグラル」
(1992) フランス 37-2 LE MATIN: L'INTEGRALE

監督:ジャン=ジャック・ベネックス
製作:ジャン=ジャック・ベネックス
原作:フィリップ・ディジャン
脚本:フィリップ・ディジャン
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
音楽:ガブリエル・ヤーレ
出演:ベアトリス・ダル ジャン=ユーグ・アングラード コンスエロ・デ・ハヴィランド他、

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


うーん・・・。恋は愛ならず、愛は情ならず、情は恋ならず。ですねぇ〜・・・。

要するに、自己愛が投影され尽くすと、
今度は自分自身を食い荒らすほどの、手に負えない獣になるということでは?

思い返してみると、3時間の中で二人が一番安定している時は、
その肉体で愛し合っていたときのような・・・。
会話し始めると途端に何かが狂ってくる。どうも擦り会っていかない。
そのもどかしさのままに、ひたすら求め合わなくてはならない、そうせずに入られない。
そうとう純度の高い恋です。沸点が低くて、あっという間に煮立っちゃう。
とてものこと言葉では追いつかないんだね。もどかしくって。
私なんかも若い頃、狂うかと思えるほどに恋をすると、
相手と自分とでしっかり強く抱きしめ合って、巨大なミキサーに身を投げて、
グチャグチャに交じり合ってしまえたら、どれだけの悦楽かと夢想したことがあったけど、
きっと、それに近しい狂おしさなんだろう、この二人は。

これは、至高の喜びと最悪の孤独、その両面を併せ持つもっとも不幸な恋の形態だ。
この恋を成就させるには、結局どちらかが滅びるか、二人の間に新たな生命を創り出す外ないんですね。
「恋は盲目」だから二人っ切りでも成立するけど、
愛は周囲の人々も巻き込んで、対立や和解も呼び込みながら育まれて、そして強くなっていくもの。
でも、二人の間にはその膨らみや余裕がない。

映画の原題「37−2 LE MATIN」とは、
「朝、37.2度」という意味で、女性が一番妊娠しやすい体温だそうな。
ベティが実は妊娠していないことが判明し、ゾルグとの子供を望んでいた彼女は、
それを契機にして、急速に狂気へと傾斜していく。
彼女が、ずっーとゾルグの小説を世に出すことに固執していたのも、二人の愛の証を求めたからだろう。
二人の間に介在し、彼らを繋ぐもの、そして安定させる確かなものを欲したのは、
そうしないと自分たちの激し過ぎる恋情をなだめ切れなかったからだ。

激し過ぎる恋は、そのまま結晶化すると危険な劇薬と化して、しまいには互いを決定的に破滅させる。
ただひたすら二人の間で純度を増して、どんどん凝固してしまい、剥き出しの心を傷つけてしまう。
聡い彼女はその危険を無意識のうちに感じ取っていたのに違いない。
だから、ベティは子供を宿していない事が判って、ああなる他無かったし、
ゾルグの取った最後の手段もあれしかなかった。
豊かで安定した愛に育たず、純粋で妥協のない恋のままに止まり、そのまま永遠に結晶化してしまった。

あまりにも純粋な恋は、愛にまで育つ事は適わないのか?
その純度の高さがあってこそ、あそこまでまばゆい美しさを放つんだろうか?

ゾルグが途中、近所の奥さんに誘惑される場面があるけど、
あの夫婦の間には、たまさか情はあっても、もはや恋も愛も破綻している。
ちょうど対極の関係として描かれていますね。
とても彫りの深い映画です、これは。

にしても、フランス映画はやっぱり疲れる〜
フランス人って、みんなあんなにハチャメチャなのかなぁ。
日本人から見て、み〜んな普通じゃないような(笑)・・・。
あっ、それとフランスの田舎にも「スパー」ってあるのね!
あのマーク見て少し醒めちゃった(笑)。

185分の長尺だけど一気に観たですよ。でも、さすがに疲れますわ(笑)。
これだけ疲れるということは、なかなかに生半可な映画ではないという事ですね。


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「ビデオドローム」
(1982) カナダ VIDEODROME

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
製作:クロード・エロー
製作総指揮:ピエール・デヴィッド ヴィクター・ソルニッキ
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:マーク・アーウィン
特殊メイク:リック・ベイカー
音楽:ハワード・ショア
出演:ジェームズ・ウッズ デボラ・ハリー ソーニャ・スミッツ

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


うんうん、これこれ!っ的な作品ですね。
クロネンちゃんの「ビデオドローム」

私の中では、「いっちゃってる二巨頭」が、
このデヴィッド・クローネンバーグデヴィッド・リンチなんです。
「変人デヴィッツ」は無敵ですねェ〜。
これにデヴィット・フィンチャー(「エイリアン3」、「セブン」)も加えると、
「イカレる三人のデヴィット」結成となるわけで(笑)。

この映画、主演のジェームズ・ウッズがほんにオドロオドロしい。
彼って、見るからに変人ですもんね。
お腹に入れちゃった銃をオロオロして探すとこなんか、
もうこっちの腹までグリュグリュと違和感がして来ます。
「リング」に遡ること10数年前の作品とは思えないほど、
こちらの身体感覚まで変調させるような迫力ですね。

思うに、クロネンちゃんもリンチちゃんも、
どーしてもどーしてもやってみたいシーン、撮りたいショットのイメージが最初にあって、
それを撮る為に無理くり映画を作っちゃっている気がするんですわ。
だもんで、段々収拾がつかなくなって、必ず最後はグズグズになってしまう。
最後はボロを出さない為に、大急ぎで幕降ろしちゃうみたいな(笑)。
典型的な“破綻型の監督”ですねェ〜。
そこが「またまた、やってくれましたぁ〜」的な良さなんですけど。

この作品もラストはもう監督自身が、自分のイメージが生み出した世界の膨張に手が負えなくなって、
大急ぎでまとめざる得なくなった慌しさが見えますね。
この監督の作品は結構観てますが、一番「らしさ」が出ているのは、
やっぱりこの「ビデオドローム」じゃないすかねぇ?

でも、個人的には、「デッドゾーン」が一頭地抜きん出て好きですけど。
(って、一番クロネンちゃんらしくないけどね?!)
ちなみにリンチは「ストレート・ストーリー」も、どうしちゃったの?と聞きたくなるような作風。
あれ観た時は不思議でしょうがなかった。
こういう作品も出来るんじゃン、思ったもんね。そーとー無理したのかなぁ〜(笑)。
「これって、いつ小人さんが出て来て延々と踊り続けちゃうんだろう?」と、
そればかり気になっていたら、すっかり肩透かし(笑)。
あとリンチらしくないけど好きな作品は、「ワイルド・アット・ハート」かなぁ…。
あれはあれではじけてるけど(笑)。

おおっと! 途中からリンチの話になっちゃった。「ビデオドローム」に戻ります。
クロネンちゃんのやりたい事言いたい事ってのは、常に大体は、
「人間と異質なモノの組み合わせは、人間じゃないって誰が決めやがった!」という点に尽きます。
つまり“人間”と“人間以外のモノ”との境界線はあるのか? あるとしたらどこか?
んで、あってもいいのか? なきゃいかんのか? と、そこまで遡上して行く。
これは単に肉体組成の問題に留まらず、精神の在り様においても追及されてくる。
自己の肉体は所詮は“器に過ぎない”が、かといってアイデンティティの在り所、
その根源としての肉体の変容は、それが包む精神の変容も促さずにはおかない。
さて、そのとき人は、いつまで人で在り続けられるのか? 
はたまた“人ではなくなる”という事があり得るのか?
そういう割かし普遍的な命題がしっかり作品の根底に存在しているので、
これは単に“怖がらせてナンボのホラー物”とは明らかに違います。
普通こういうテーマ性を包含した作品を作るとなると、どうしても観念的な物になっちゃいますよね。
ところがこのクロネンちゃんが作ると、絶対そうならない。
そうなったら評論家先生も浮き足立って、小難しい顔しながら、
“こりゃ名作じゃ”ゆって下さるんでしょうが、決してそうはならない。
てか、たぶん無理(あ、言っちゃった! 笑)。
ある意味、地に足が着いてるの。だからともすればとーてもエロティック!!
そんな、かなーり形而下的に描いているところが、私は常々感心しているところです。
いや、これは逆に相当難しいことですよ、ほんと!

「ビデオドローム」はそんな彼の妄念と執着そして人間観が、
一番クリアーにストレートに描かれた作品だと思う。ま、一度は観ておいた方が良い作品ですね。


「誓い(ガリポリ)」
(1981) 豪 GALLIPOLI

監督:ピーター・ウィアー
製作:ロバート・スティグウッド パトリシア・ラヴェル マーティン・クーパー
原案:ピーター・ウィアー
脚本:デヴィッド・ウィリアムソン
撮影:ラッセル・ボイド
音楽:ブライアン・メイ
出演:メル・ギブソン マーク・リー ビル・カー ロバート・グラブ デヴィッド・アーギュ他、

例の如く、ネタばればれなので厳重注意ね。


カゴメは戦争をテーマにした作品も大好きであります。
もともと小学生の頃からのミリタリー・マニアだったもんで、一時期夢中になって観たもんです。
極限状態での生々しい人間性を描こうと思うなら、戦争ほど適切な舞台はないでしょうね。
その数ある戦争物の中でもカゴメのベスト5に入るのが、この「誓い(ガリポリ)」です。
監督は、「刑事ジョン・ブック/目撃者」、「今を生きる」のピーター・ウィアー
この映画はオーストラリアのアカデミー賞ともいわれるAFI賞を総なめにし、
彼を世界の檜舞台へ押し上げる切っ掛けとなった作品です。
そして、主演として若き日のメル・ギブソンが出てます。

さて、“ガリポリ”と聞いても日本人にはなかなかピンと来ませんよね。
一応簡単に説明すると、ガリポリは第一次大戦の時のトルコの要塞です。
この要塞攻略戦で連合国側(英仏とオーストラリアなど)は甚大な被害を受け、史上名高い激戦となり、
オーストラリアはもちろん英米の人々にはよく知られる地名となりました。

遠い故郷の地から、はるばる何日もの船旅で送られてきたオーストラリアの若者たち。
その数およそ6万人。死傷者は、彼らのおよそ半数に当たる2万7千人に達しました。
いわば日本にとっての203高地(日露戦争の激戦地)みたいなものですね。
当時の闘い方は典型的な塹壕戦で、敵の塹壕陣地に向って一斉に突撃し、
肉弾迫撃で奪い取ろうという物でした。要するにごり押しの人海戦術みたいなもんです。
当然、攻める側はそのころ本格的に使用され始めた機関銃でバタバタとなぎ倒されます。
まったく悲惨の極地です。

しかも彼らは、ニュージーランドの兵隊と合わせて“ANZAC”と呼称されて、
まるで英国軍の為の生きた盾、捨て駒として突撃を命じられます。
戦地から遠い母国オーストラリアの平和には、ほとんど関係のないこの異国の地で、
若い彼らは国の名誉の為に闘い、次々と打ち倒されて行きます。

主人公は二人。田舎育ちの青年アーチー(マーク・リー)と都会育ちのフランク(メル・ギブソン)
彼らは、母国では共にその駿足を競いあった短距離ランナーで、
良きライバルでありながらも、兵士としての強い絆で結ばれていきます。
その二人を襲う過酷な運命と、指揮官の判断ミスが生む悲劇的な結末を、
決して感情に流されない冷徹なカメラがジーッと追っていきます。
親友であるアーチーと部隊を守るべく、伝令として必死に駆けるフランク
彼の帰隊を待ちわびながらも、突撃発起点に立つアーチー
ついに突撃準備を下令する指揮官、そして突撃の号令と同時にならされるホイッスルの無情な響き
ラストのフリーズ・ショットは、有名な写真家キャパの代表作に匹敵すると賞する批評家もいるらしい。
カゴメは、このクライマックスのシーンを観て言葉も出ませんでした。ただ戦慄するのみ・・・

前半で描かれる、広大で詩情溢れるオーストラリアの大地の活写も、
後半の酸鼻極まるシーンでの迫真性と対比させ、強調するのに効果を発揮してます。
メル・ギブソンの若く輝かんばかりの演技と、ひたむきなマーク・リーの真摯な演技が、
余すところなく存分に絡まり、傑出したヒューマンドラマを紡ぎ出しています。
この映画は、もっともっと多くの人に観られるべき作品です。間違いなく。
どうか機会があったら是非是非、
このオーストラリアの国民感情を代表した秀作を一度ご覧下さいませ。


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