つぐ日記

Spring has come!!(2015年)

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

イメージ 1

 
 
「下北サンデーズ」を読む

下北沢小演劇界を舞台にした石田衣良の一本。

下北沢っていうところは、演劇で有名なんですねー。小生、勉強不足でまったく知りませんでした。

作中では、下北沢に松多グループという演劇マニアのオヤジの会社が所有する四つの演劇場があって、小さいほうから順に、駅の南口正面にある客席数80人の「ミニミニシアター」、同じビルの一階上で客席数150人の「駅横劇場」、南口から少し離れた場所にある客席数300人の「ザ・マンパイ」、そして、下北の頂点、北口にある客席数600人の「松多劇場」になります。

人気が出て、集客力が上がるにつれて、上の劇場へ出世していくシステムになっており、彼ら演劇人はこれを「劇場すごろく」と呼ぶ。

ちなみに、この「松多グループ」というのは、「本多劇場グループ」として下北沢に実在していて、背景として、そこそこリアルな設定がされているようです。ちなみに実在の本多グループが所有する劇場もほぼ同じような構成のようです。

で、本作の舞台となる劇団「下北サンデーズ」。結成以来この十年、最下層の「ミニミニシアター」の常連で、上昇志向は強いながらも、上昇気流を掴めない。そんな劇団一座な訳です。

大学進学のために上京してきた田舎娘、里中ゆいかは、何をトチ狂ったか、芝居経験ナッシンにもかかわらず、十年鳴かず飛ばずの弱小劇団「下北サンデーズ」の門を叩く。
なんでも、前回上京した時に観た彼らの芝居に心を打たれ、打ち込むならこれだ!!と閃いてしまったらしい。

しかし、天性の勘のよさと運動神経とクソ度胸で入団わずか一ヶ月で初舞台を踏み、それが大成功!
彼女の巻き起こした上昇気流で劇団はあれよあれよと「劇場すごろく」を駆け上がっていくわけです。
しかし、長年の極貧生活に慣れた劇団員に訪れた突然の成功によって、鉄の団結力を誇った「下北サンデーズ」に空中分解の危機が訪れる。成長痛ならぬ、成功痛ですね。
しかし、そんなサンデーズの内情とは裏腹に、世間評価はうなぎ上り。ついに下北演劇すごろくのアガリ、「松多劇場」で日本中から最も実力のある八劇団がトーナメントで日本一を争う演劇界の甲子園「下北ヌーベル演劇祭」へご招待!!


一体全体、どうなるのかーーー!!?っていうストーリー。


つぐのすけは全然知らなかったのですが、少し前に上戸彩を主人公にドラマになっていたらしいですね。
しかし、読んだ感想で言えば、十歳若いミムラ!!十歳若いミムラこそがこの主人公に相応しい。じゃぁ、ミムラが十歳若作りすればいいのか、と問われれば、それは難しいでしょう、と答えざるを得ないのですが、読んで感じた主人公のイメージが十歳若いミムラだったと申し上げたかっただけなのです。

一見ポーっとした印象ながらしっかりと自分を持っていて、クソまじめで、普通の女の子なのに、実はグラビアに耐えるルックスで、映画の主人公の話までくる。


上   戸   彩   で   は   力   不   足   だ。


読んでみてください。きっとあなたもそう思うはずです。、、思わないかも知れませんが。


それに、上戸彩ではチャラけたイメージでドラマ化されたように感じてしまうのですが、この本を読む限り、主人公を含め、出演者は超真面目でなければならず、超クソ真面目に、社会的には不真面目と思われていて全く金にならないというか、借金までして演劇に全身全霊を傾けて苦悩し喜ぶマゾヒズムな変態的な姿が面白く、美しく、清々しく、それゆえに、成功とそれによって生じる不和や人間関係に感情移入ができ、読む者に感動を与えるのではないかと思う訳です。余計な笑いを添加すればするほど本書の良さが失われるのです。そんなものは、クリープを入れてしまったコーヒーです!って、ドラマを観てないのに想像だけで批判してもしょうがないんですけど。

主人公、里中ゆいかと、一癖も二癖もある下北サンデーズの面々の人間模様が実に面白く、本当に作品通りなのかどうかは知りませんが、演劇界の一端を垣間みることができる一冊。
成功というものは、一体なんなんだろうか、、と、ふと考えてしまう一冊でもある。
個人的には、石田衣良には「小演劇」という径の小さい穴を、もっと深く深く深く深ぁーーくコアなところまで掘り進んで冒険していただきたかった。演劇界の変態性について一体何が出てくるか分からない程の深さまで掘ってくれたらもっと良かった。


最後の展開が少々やり過ぎに思えましたが、なかなか面白かったです。



イメージ 1

 
 
「十三人の刺客」大石直紀著を読む


最近、軽い読み物を大量に購入したため、軽い本のレヴューが続くかも知れません。続かないかも知れません。わかりません。

随分昔に片岡千恵蔵主演で映画化されたもの(未見)をこの度リメイクすることになり、それに合わせてノベライズの本書が世にだされた次第です。

なんと申しますか、コテコテなんですね、コテコテ。
昔のテレビ時代劇の王道を行く、将軍が「しんさん」などと町人に呼ばれて一緒に酒を飲むような突飛な設定&万人受けすること間違いなしな展開で、正直、娯楽時代劇としてあたりまえすぎなストーリィー。まぁ、映画のノベライズですので、これは著者の責任ではありませんが。

そんなストーリィーをさっくりとご説明しますと、明石藩主・松平斉韶(なりつぐ)は時の将軍の異母弟。その性、残虐にして冷酷。こんな藩主を持った明石家家臣と民百姓はエライ目に遭っております。
この斉韶のキャラがスゴい。やりたい放題っぷりがすさまじいです。

斉韶一行が参勤交代で江戸滞在中に、家老の一人がそんな「やりたい放題キング斉韶」を諌めんと、幕府の筆頭老中土井大炊頭宅の門前で割腹自殺を遂げるわけです。
しかしねぇ、老中も困る訳なんすよ。斉韶の悪評は散々聞いているし、今回の割腹&上申でなんらかの処分をせにゃならんところなんですが、なんといっても相手は将軍様の弟君。うかつには手を出せないし、将軍は弟をアホみたいにかわいがっているし。

しかし、その斉韶は将軍の覚え目出度く、来年は老中になることが確実なわけで、こんなヤツが天下の政を采配したら日本は、、ダメじゃんっ!ってなわけで、参勤交代を終えて播磨国は明石へ帰る途中で暗殺しちゃおう、ってなことになったわけです。まぁ、そもそもこの老中土井の思考の大飛躍がどうかと思うのですが。
そこで白羽の矢が立ったのが、剣の達人お目付役の島田新左衛門。彼は腕に覚えある志のある同士を集めるのですが、その数、島田を含めてわずかに十三人。
この十三人で二百人からの侍が守る明石藩主・松平斉韶をやっちまおう!!おーっ!!ってな無茶なことなってます。

で、極悪人松平斉韶を守るのが明石藩家老・鬼頭半兵衛。名前からして強そうですが、コイツがデキる。しかも、主人公の島田新左衛門とは同門で剣の腕を鍛えた親友同士。相手の性格と手の内を知り尽くした者同士が、一方は主君を守るため、もう一方は日本の将来を守る為に対決する、、、ってなお話です。

そんなわけで、キャラの立った悪役がいて、悪役を守るすっごく強いヤツがいて、数で劣るイイもんがそれをやっつける、と。これで、由美かおるの入浴シーンさえあれば、寝たきりのじいちゃんが飛び上がって狂喜乱舞しそうなよくある構図が出来上がっており、痛快っちゃぁ痛快、平凡っちゃぁ平凡な勧善懲悪時代劇ムーヴィーの様相を呈しております。

しかし、老中土井の思考の飛躍があまりに大きすぎて、リアリティに欠けるかと。物語の根幹である老中からの暗殺指令ですが、相手がどんな困り者でもさすがに老中が将軍の弟の暗殺命令なんて出さないでしょう。
大老・井伊直弼が安政の大獄で御三家だろうが御三卿だろうがおかまい無しに蟄居謹慎を申し付ける!やったように、、とは無理としても、なんとか政治的にやるだろうに。
そもそも、この土井大炊頭だったか別の土井大炊頭だったか、土井家はみんな土井大炊頭なんでわからんのですが、政敵の水野を老中から追い出して、水野が老中首座に返り咲いた時は報復を恐れて老中を辞任したような記憶がございます。老中なんてのはその程度の度胸ですから、将軍の弟暗殺なんて大それたこと、できるわけがないかと。
やはり、物語の土台に堅固なリアリティがあって、それゆえに物語が生きてくると思うのですが。そんなわけで、読んだ感想は平日夕方4時頃から再放送している昔の時代劇と同じ地平にとどまっております。

どうせなら、明石藩内での物語に閉じておいた方が良かったのでは。
例えば、藩内の藩主派と反藩主派の闘争で、「このままでは明石藩は滅ぶ!」との危機感を持った十三人が二百人の藩主派を相手に大立ち回り!!お互いに子供の頃から知る者同士が敵味方に分かれて激突するってなほうが、よほどリアルだったのではないかと思うわけです。よくある「お家騒動」ってやつで、スケールはグッグーッと小さくなりますけど。

とまぁ、なんだかんだ書きましたが、悪人がやられてすっきりであることは確か。
映画では、主人公の島田を役所広司が、松平斉韶を全然イメージが違いますが稲垣吾郎が、他にも、オイシイ役者が多数出ておりますので、ストーリーに不満はあれど、楽しみな一本。間違いなく観ます。

最初にも書きましたが、本作は映画のノベライズなので、リアリティの問題は著者の責任ではございません。
小説そのものとしては、全体の重厚感に欠ける印象では有るものの、描写も小気味よく、キャラの設定も丁寧でありながらしつこくなく、クライマックスまで一気に読める、十分に楽しめる一冊。

勧善懲悪時代劇愛好家にうってつけ。



 
 

イメージ 1

 
 
「サクリファイス」近藤史恵著 を読む。

店頭で自転車ロードレースの表紙を見て、手に取ってみる。
書斎ヒルクライマーのつぐのすけとしては、大変気になる表紙だ。

帯には「全国書店員が選んだいちばん売りたい本 第二位」とあり、ときわ書房本店宇田川拓也氏の評として「わずか280ページにロードレースの魅力とスリリングな人間ドラマを凝縮し、さらにミステリーとしての仕掛けに、恋愛小説の趣まで備えた傑作!いやいや驚いた、すごい!」とあった。

何を大げさな、、と数ページぱらぱらと立ち読みでめくっていくうちにグイグイ引き込まれ、即購入。

宇田川氏の書評通りの傑作でございました。

普段なら、ここでまるっとストーリーを書いてしまうところですが、ミステリー小説ですんでここは書かずにぐっと我慢しときます。

何しろロードレースの描写、チームのエースを支えるアシストを主人公にしたところがなんとも素晴らしく、ミステリー部分が最後には感動にかわるなど、無茶苦茶良かった。
物語の最後に、タイトル「サクリファイス」の真の意味がわかります。
実は一回目読了後にもう一度読みました。一度目は純粋にミステリーとして存分に楽しめ、二度目は自転車ロードレースチーム内のドラマとして十分すぎる程楽しめた、希有の一冊です。

ロードレース好きもそうでない人も、存分に楽しめる一冊、、だと思う。
続編「エデン」は未読だが、是非とも読んでみたい。

こういうのを映画にすれば良いのに。


ストロングオススメ。


イメージ 1

 
 
「マグマ」を読む。

この小説、米系ファンドが日本の地熱発電事業に参画しようというもので、主人公は九州の地熱発電会社にファンドの代表として派遣された女性。なんとか地熱発電ビジネスを軌道に乗せようとするも、様々な困難がぁぁぁぁぁ!!という作品。
日本の地熱発電の現状や問題点をワクワクドキドキしながら知ることができるプロジェクトエックス的な一冊。

本書の作者は、外資ファンドと日本の企業の闘いを描いた「ハゲタカ」の作者である真山仁。

この「ハゲタカ」、NHKのドラマでもやっていたのでご記憶の方も多いかと思います。経済ドラマがお好きであれば、間違いなく面白い、抜群な作品でした。
不況日本に襲いかかるアメリカのハゲタカファンド代表鷲津(大森南朋)。ハゲタカに立ち向かう日本の銀行マン芝野(柴田恭兵)。
昨今の世界の経済事情を考えると、ハゲタカファンドの侵略は今は昔の出来事になっていて、いわゆる「旬」は過ぎてますが、それでもワクワクドキドキ読める(観られる)かと思います。
物語の面白さもさることながら、小説のハゲタカファンドの日本人代表も、銀行マンもキャラが立ちまくっていて、それぞれが立つ土台の脆さ危うさも垣間見え、最高に面白かったです。ドラマでは、大森南朋が非常によろしいのですが、柴田恭兵は何をやっても柴田恭兵でして、でも渋いのでいいのではないか、好きだし、とそんな感じです。
ドラマのストーリーは原作とはかなり異なっていますが、どちらにも面白さがある作品でございました。
ドラマでは、いままでは、というか本作以降もどちらかと言うと地味な役回りが多い大森南朋が、ハゲタカのドライな面とウェットな面をうまく出していて素晴らしかった。
大森南朋、いいです!


「ハゲタカ」、小説・NHK DVD共に経済系のテーマに興味が有る方にストロングオススメ。 

「松」

 
と、「マグマ」をご紹介するつもりが、「ハゲタカ」を激しくご紹介してしまいました。
しょうがないので、一応下にもサクッと「マグマ」についてもご紹介。

昨今、地球温暖化が叫ばれておりますが、化石燃料を燃焼させてエネルギーを得る限り、二酸化炭素の排出は止まりませんね。
クリーンエネルギーの研究が様々な分野で進められていますが、地熱発電もそんな注目すべきクリーンエネルギーの一つな訳です。

総発電量が少ないとはいえ、フィリピンでは国内総発電量のなんと25%を地熱発電でまかなっております。対して日本は、、、、な、なんと1%以下!!
しかし、世界で5番目に地熱発電量は多いらしい。なんか、多いのか、少ないのか、よく分からないポジションですが、それだけ総消費電力量が多いと言うことなのでありましょう。
しかし、全発電量のわずか1%以下とは、まことに残念な数字。もっともっと地熱発電が省みられてもいいのではないか、と思ってしまう次第です。

地熱発電が省みられない原因の一つに、発電コストが挙げられます。原子力発電でのコスト約6円/kWhに対して、地熱発電は約9円/kWhでお話にならなーい、というお話。
しかし、実は原子力発電の発電コストと言うのはかなり不透明な部分が多いそうで、実際には地発とほとんど変わらないのではないかという話しもあるそうです。

そもそも使用済燃料の処理方法からして、とりあえず穴掘って埋めとけ、みたいな、まだ決定的な処理法もなく将来先送りな状況ですから、恐らくコストはこれからもっともっと高くなるのでありましょう。

それでも原子力に突っ走る背景には、兵器は持てないから、平和利用とは言え「核」開発に携わっていたいという思惑、政治的な利権構造などがドロドロとございまして、その辺りに本書はピッカーと光を当てております。

まぁ、こんな風に原子力発電に批判的につぐのすけも書いておりますが、現実問題として、現状で脱原発は無理なわけでして、ただ、無批判に原発を受け入れるのではなく、こんな方法もあるんじゃないの、ってな感じで読めばよろしいかと。

最後があまりにもでき過ぎなのが玉にキズですが、こういうテーマにアレルギーの無い人へは断然オススメ!
 
 
「松」

 

イメージ 1

 
 
東野圭吾 「さまよう刃(やいば)」 を読む。
 
 
相変わらずの長文です。ご注意下さい。


つぐのすけにとっての東野圭吾初作品なわけでして、他の作品がどういうものなのかイマイチよく分からないのですが、本作品は少年犯罪と少年法に焦点を当て、少年犯罪被害者家族の心の内面を描き出した、かなり重苦しい問題提起小説となっております。しかしながら、キャラも立っており、ストーリーのテンポが非常に良く、グイグイ引き込まれ、一気に読み終えられる作品でございました。


以下、ひろさんの、配慮ある抑制されたものとはまるっきり正反対に、まるっとネタバレにつき、さぁ、これから読むぞ、と言う方はご遠慮下さいませ。


この小説、主人公長峰重樹は娘と二人暮らし。ある日、娘がケダモノ少年二匹にレイプされた上に殺される事件が起き、長峰がケダモノ二匹に復讐をするというストーリー。
(法律的には傷害致死でしょうが、あえて殺人として書いております)

長峰の娘を失った怒りと悲しみを燃料にした復讐がこの物語の主軸となっており、そこに、法とは、警察とは、正義とはなんであるのかという問い掛けが織り込まれております。

愛する娘を失った長峰が、加害者の娘に対する所業の詳細を知り、その瞬間から復讐の鬼となります。早速、一匹を仕留め、殺人の指名手配犯として警察から追われつつも、逃走するもう一匹のケダモノに復讐すべく鬼の執念で追跡します。

彼が自ら復讐の鬼となるのは、もちろん、娘を無残に殺害されたことが大きな動機の一つである事は間違いありませんが、彼は少年犯罪加害者に対して厳しい罰を与えられない司法には任せられないと考え、司法が罰を与えず、天が罰を与えないのならば、自分がやるしかない!!というわけなのです。


明確な主題、しっかりとしたストーリーと、登場する人物描写も丁寧で、主人公の爆発的な怒りの発露と、復讐からは何も生まれない、しかし復讐しないわけにはいかない、という心の葛藤を丁寧に描き出しておりました。
ただ、ひろさんがご指摘の通り、ペンションオーナーの娘、和佳子についてはもうちょっとカッチリとしたキャラクターが与えられていた方がスッキリしたかと。
随所に見える優柔不断と自己満足、、、ひょっとしたら作者からの何らかのメッセージが込められているのかも知れませんが、つぐのすけにはよく分かりませんでした。そんなわけで、ひろさんがイライラするのも大変よく分かります。イライラは寝不足とは関係ありませんでした。


読後の感想ですが、正直、つぐのすけは主人公である長峰の行動が正しいのか、間違っているのか、その善悪を計る明確な基準を持たないので、なんとも言うことが出来ません。
「法律」という社会のルールを基準に考えるのか、それとも愛する家族を理不尽に奪われた時に生じる、人間のごく自然の感情を尺度に考えるのか。
何をもって「正しい、幸福な結末」と言えるのか。


冒頭で「問題提起小説」と書きましたが、作者も主人公の行為を肯定も否定もせず、まるっと投げ出しています。


読者が考えろ、と。


つぐのすけは、それで良いと思うし、これこそが、この作品を意味あるものにしていると思うのです。
我々が少年犯罪被害者家族になることがあるかもしれないし、無いかも知れない。
ほとんどの人はそんな経験はしない事でしょう。それゆえに我々は無関心なのです。

言わんとしている事は、少年犯罪者に厳罰を!!というような薄っぺらいものではなく、自分自身をこの主人公の立場に置いて見て、わずかでもその気持ちに触れ、少年法のありかたや、正義とはなんであるのか、警察とはなんなのか、といった点について考える機会になればよい、そういう機会が法律を人々が持つ「良き常識」により近づけていける。だから関心を持て、と作者は言っているのではないかと思うのです。
あくまでも勝手な感想ですが。


この小説のようなケースでは、誰もが長峰に同情します。警察内でもそのような考えが多く、法律、警察力と言う正義の刃をどこに向けるべきなのか、何が本当の正義であるのか、さまよっております。
最後に警察の正義は、その「さまよえる刃」をレイプ犯を守る為に長峰に向け、射殺してしまいます。

確かに少年法は加害者に篤く、被害者に薄いもので、多くの犯罪被害者が犯罪そのものに加え、この法律にも苦しめられているのは紛れもない事実であります。
この小説でも、もし少年法が、いわゆる多くの人が感じる常識に合わせたものであれば、この悲劇は防げたと言えます。


山口光市の母子殺害事件の被害者家族の本村さんは、地裁での最初の無期判決が出た直後に「司法に絶望した。被告を早く社会に出して欲しい。私がこの手で殺します」と語っている。
凄まじいまでのナマな怒りである。事件の内容を思えばそのような怒りを感じる事ももっともだと思うが、公の場で血を吐くようにこの言葉を語る心情はどれほどのものだったろうか。
そして、恐らく、これが多くの少年犯罪被害者家族の心情を言い表しているのでありましょう。

司法、警察権力と言う刃が、さまようことなく、正しい対象に振り下ろされなければ、この小説のような事件がいずれ起きるかも知れないと思うのです。


かなりヘビーな内容で、軽く読む本ではございませんが、少年犯罪と少年法について考える一つのきっかけに是非!!
ストロングオススメ!!



「松+」


 
 

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
つぐりん
つぐりん
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事