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昨日、急用と偽り、友人の見舞いに行って来た。
射抜く様な太陽の陽射し、午前中の雨が嘘の様に晴れ渡った。
水たまりは陽射しを映し、空は青かった。
今、漫画喫茶で書いている。
友人から手紙を貰った。一通、もちろん、友人が書いた物では無い。
友人は頼まれたのだ。その娘は、毎回僕を見ていたらしい。珍しい人間では無い。
僕の名前だけ、宛先、住所、彼女の名前は書かれていない。
小学生が使う様な、可愛らしい、花柄の便せんと封筒だ。
初め、友人が書いた物だろうと思った。封を開けず、友人と話しホテルに戻った。
その手紙は、ベットの上に羽根の様に置かれていた。
「夏の太陽は、どんな感じですか?」
ビールを手に読んだ書き出しはこうだ。友人の字では無い。
素敵な書き出しだと、思った。
窓の隙間から流れ込んで来る風は、もう冷えて来ている。
「真上、空の真上を通る太陽は、私のベットから見えません。」
「芝や木々の緑を引き立たせる、陽射しはどんなでしょう?」
「冬の太陽は、見えます。弱々しく、ちょうど夜勤の看護士が巡回に来た時の様な灯り」
「私は、病気と判断されて、入院生活に入ってちょうど十年になります」
「貴女の病気は、治りません。その弟一声からです」
彼女の病気は知らない。顔さえ知らない。
人は良く心を病み、身体を病む。そう言う事だ。
「治すのでは無く、共存して行くと考えて下さい」
「今十年目です。お医者さんは、今折り返し、十年戦って来たんだから、十年かけて仲良くして行こう。と言われました」
「返事はいりません。何故貴女に手紙を書いたかと言うと、あんたなら同じ様な苦しみを、後十年つずける意味を知っている様な気がしたからです」
短い手紙だ。3分もあれば終わる。彼女は買いかぶっている。
夏の太陽さえ、見事に説明出来ないだろう。さあ、窓を開け、君の皮膚で感じてみれば良い。
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