写真あれこれ

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今週日本で行われたCP+に我々dpreviewも参加した。訪れたブースの中で最も混み合っていたものの一つが、シグマブースだ。シグマは交換レンズメーカーとして有名だが、CP+では最新のカメラであるdp2 Quattroを発表した。dpreviewの編集者であるバーナービー・ブリトンはシグマCEOの山木和人氏とQuattroや現在のカメラ産業について、また、家族経営の会社のトップとはどのようなものかについて、話を聞いた。

−dp2 Quattroはデザインを変更してきましたが、この理由は何でしょうか?

このカメラはとても解像度が高く、ベイヤー換算で3900万画素相当になります。この解像度を活かすために、ユーザーはコンパクトカメラとしてではなく、一眼レフを構えるように撮影するだろうと予測しました。左手でレンズをしっかりと持ち、右手でシャッターを切る。そういう発想でデザインをしました。

−一眼レフのようにと言っても、内蔵ビューファインダーはありませんね。

そうですね。でもオプションとして光学ファインダーを用意しました。

−前モデルであるDP2 Merrillはバッテリーがほとんど持ちませんでした。Quattroは大きなバッテリーを搭載しましたが、このことで撮影枚数に違いはあるのでしょうか?

はい、DP Merrillはおよそ一つのバッテリーで100枚程度しか撮影できませんでしたが、QuattroはCIPA基準で200枚ほどの撮影ができます。

−それでも、撮影枚数としては少ないですね。Foveonセンサーの消費量が多いからなのでしょうか?

このカメラの内側にあるシステムはとても巨大です。実際ハイエンドの一眼レフと同等のシステムを積んでいます。最新の技術を使い回路そのものはとても小さく造りましたが、システムそのものが大量の電力を消費します。巨大な画像データを処理するために高速のプロセッサーと大容量のメモリーを搭載しているからです。

−新型センサーのRAWファイルの大きさはどれくらいなのでしょうか?

被写体にもよりますけど、平均して55MBほどです。Merrill世代では平均45MBほどでした。

−dp2 Quattroに搭載されている新型センサーの開発はいつ頃始まったのでしょうか?

ここ数年ですね。実は今回の元になった特許は2005年頃に取られたのですが、開発に本腰を入れはじめたのはMerrillセンサーが発売されてた後です。

−現在DP2 Merrillを使っているユーザーがQuattroを使うメリットは何かあるのでしょうか?

Quattoroを使ってもこれまでと同様のFoveon画質を楽しむことができます。とても解像度が高く、高コントラストの被写体はそのまま、低コントラストもあるがままに、全てをそのまま写しとります。このFoveon画質こそが私たちがずっと誇りに思ってきたものです。

それに加えて階調表現が豊かになりました。解像度が増し、14bit RAWに対応したおかげです。これらの大きな変更の他にも、画像処理そのものも見直しました。これら全てが画質の向上に貢献したと思います。

−高感度性能も向上しているのでしょうか?

そうですね、約一段分向上しています。しかし、低感度ではdp Quattroより画質の良いカメラはありません。既存の一眼レフでこれと同等の画質を得るのは容易ではないでしょう。

その理由の一つとしてミラーショックがあります。フォーカルプレーンシャッターは解像度低下の原因になりますし、位相差AFでは正確にフォーカスすることが困難です。光学ファインダーもこのレベルになると精度が足りなくなります。センサー、ファインダー、AFセンサーと三つの光路を完璧に合わせるのは至難の業なのです。

さらに、レンズ交換システムそのものが、カメラとレンズのマウントの精度に依存しています。しかし、この光軸を完璧に合わせるのは不可能です。

それに対してdp2 Quattroはレンズの光軸とセンサー面を完璧に合わせられます。このことで、中心から周辺まで最高の解像度を得ることができるのです。

−SDシリーズの将来はどうなるのでしょうか?

もちろん、今後もSDユーザーを大事にしていきます。

−レンズの売り上げに対してカメラの売り上げはどのくらいなのですか?

とても少ないですね。売上高では10%以下です。

−シグマは一眼レフとミラーレス用にレンズを供給しています。現在のシグマにとってミラーレスは重要ですか?

まだそれほど大きくはないですね。統計によると、カメラとレンズの販売数の比はミラーレスで1:1.3、一眼レフで1:1.7です。つまり、通常の一眼レフのユーザーの方がより多くのレンズを買っていることになります。ミラーレスユーザーは傾向として、レンズ付きのキットを買うことが多く、ほとんどユーザーは追加のレンズを買わないままです。

ハイエンドなミラーレス、例えばSONY NEX-7やオリンパスOM-Dなどのユーザーは、多くのレンズを買っていますが、ミラーレスのユーザーは初心者が大半です。私たちのターゲットはそれよりももう少し上級者です。

−ソニーの新しいα7とα7Rに向けてレンズを作る予定はありますか?

交換レンズメーカーとしてできるだけ多くのレンズマウントをサポートしていくことが私たちの使命です。しかし、開発リソースが限られているので、優先順位もあります。サポートしたいとは思っています。

−ソニー、キヤノン、ニコンといったカメラメーカーと、どれくらいの頻度で意見を交換しているのでしょうか?

全くしていません。もちろん、個人的にそれらの会社で働いている友人はいますが、ビジネスの話はしませんね。

−技術的な観点から見て、ミラーレス用のレンズを作るのは、一眼レフ用のレンズを作るのより難しいのでしょうか?

レンズを作る困難さそれ自体に違いはありません。しかし、そもそもミラーレスと一眼レフは全く別のものです。ミラーレス用のレンズはカメラのセンサーがAFを行い、動画撮影ではフルタイムでAFを行わなければなりません。なので、フォーカス用のレンズは小さく軽量にしなければいけません。

したがって、ミラーレス用に開放F値の明るいレンズを作ろうとすると、一眼レフ用よりも設計は困難になります。しかし、一般論で言えば設計のアプローチは違いますが難易度の違いはないですね。

−動画撮影について言及されましたが、新しいレンズを設計する時、動画への対応はどれくらい考慮されているのでしょうか?

一眼レフ用では、設計方法は変えていません。一眼レフでは未だに位相差センサーが主流だからです。一眼レフを使った動画撮影では、ほとんどのユーザーはマニュアルでフォーカスをしていると考えています。

それに対して、ミーラレス用ではフルタイムAFをサポートしています。したがって、先ほども話しましたように、小さくて軽量なレンズを使うように設計しています。

−複数のマウントに向けてレンズを作っていますが、マウントの違いによる設計上の困難はあるのですか?

基本的に大きな違いはありませんが、ニコン用のレンズは開口部が狭いので、ニコン用の大口径レンズを作るのは少し難しいですね。しかし、どのレンズもキヤノン、ニコン、シグマ用を用意しますし、可能だったらソニーやペンタックス用も造ります。

−2年前にシグマはレンズの設定をカスタマイズできるUSBドックを発売しました。この製品はどのように受け止められていますか?

ユーザーの皆さんはとても面白いと感じてくれているようです。しかし、USBドックはグローバルビジョンのレンズにしか対応していないので、ユーザー数そのものがまだ少ないのが現状です。

−新しいレンズの評判はどうでしょうか?

とてもいいですね。特に35mm F1.4と18-35mm F1.8の人気がとても高いです。

−カメラのセンサー解像度はどんどん増え続けています。2400万画素、3600万画素と将来的にもっと増えていくでしょう。この傾向がレンズ設計のあり方を変えたようなことはあるのでしょうか?

そうですね。ユーザーはより解像度の高いレンズを求めています。解像度の高い画像を得ようと思ったら、センサーと同じくらい、レンズの性能も重要になります。私たちはここ数年品質の向上に取り組んできましたし、Foveonセンサーを使用したオリジナルなMTF測定装置も開発しました。Foveonセンサーの解像度はとても高いので、高周波の被写体に対するレンズの性能をきちんと測定することができます。現在新しいレンズの全てをこのMTF装置を使って検査しています。

−これまでよりも検査に時間がかかったりしないのですか?

いえ、基本的に同じです。

−もしとあるカメラユーザーが、ニコンかキヤノンのレンズと、シグマのレンズのどちらを選べばいいか迷っているとしたら、どのように話をしますか?

もちろん、どのレンズかによって変わりますが、基本的に私たちの製品は高性能なレンズをより手に入れやすい価格で提供しています。

−それはどのようにして可能になったのですか?

そうですね、まず私たちはとても小さい、無駄のない会社組織です。投資は自社工場と開発チームにしかしません。また、人事、営業、マーケティング部門も必要最小限です。広告宣伝費も極めて少ないです。このようにしてコストを縮小することで、製品を出来るだけ手に取りやすい価格になるよう務めています。

−シグマは家族経営の会社です。従業員は平均してどれくらいの年数勤務するのですか?

正確にはわかりませんが、工場とオフィスで働いている従業員の多くは定年まで働きます。女性従業員は出産すると会社を離れることが多いですが、最近は復職するケースも増えています。本社には160から170人ほどが働いていますが、辞めていく社員は毎年一人くらいですね。

−あなたはこの会社に誇りを持っていますか?

はい。従業員が会社に居続けてくれるのには感謝しています。かつて日本では学校を出て会社に入ると定年まで働くのが普通でした。しかし、最近は上場企業は利益を増やすために従業員をリストラしなければならなくなっています。会社に残りたくても辞めなければならないのです。なので、うちの会社のようなケースは珍しいですね。

−近年では家族経営の会社の数は減ってきました。

はい、それは私にとって大きなプレッシャーですね。とても多くの重圧が私の両肩にのしかかっています。しかし、私はむしろこれを長所だと思っています。15年から20年もの間働いている工場の従業員は、製造について熟知しています。彼らにとって品質の高い製品を作るのは難しくはありません。日本人は他の国の人と比べて生まれつき何かに秀でているということはないと思いますが、他の国では工場で働いている従業員は2〜3年ごとに交代していきます。しかし、私たちの工場では熟練の工員が毎日違ったレンズを生産しています。彼らの知識と経験を、私たちは頼っているのです。

−5年後のシグマはどのようになっていて欲しいですか?

私が最も優先しているのは、会社が成長を続け、従業員を守り続けるということです。会社の規模が巨大になる必要はありません。ビジネスを続けるのに必要なだけ、少しずつ成長していければ十分です。

現在のところビジネスは順調ですので、何かみんなを驚かせるようなことがしたいですね。私たちのユーザーが「わっ!」と声に出して驚くような。それが今の私のモチベーションでもあります。会社を大きくするよりも、そういうことがしたいです。

−次の大きなサプライズはどのようなものになるのでしょうか?

カメラですね。私たちの現在のシェアは1%以下です。けれども、この数字を具体的にどうしたいとは思っていません。私はカメラビジネスをもっと安定したものにしたいだけです。

−現在のカメラ市場はとても厳しいです。現在の状況で成長するためにどのような戦略を持っていますか?

他社との差別化がもっとも重要な要素です。これはシグマの設立以来の戦略でもありました。シグマが設立された時、日本には50以上ものレンズメーカーがありました。しかし、現在では、タムロン、コシナ、シグマのわずかに3社だけです。私たちが生き残れたのは、他のメーカとは違う製品を作り続けてこれたからです。




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