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書庫ランニング

 東京マラソンで、タレントの松村邦洋が倒れて、一時心肺停止になったという。シャレにならないニュースだ。幸い大事には至らなかったようで、よかった。

 マツムラの物真似は芸だと思うけど、あの体型でフルマラソンは無謀である。マラソンはあくまで自分で走るものであって、ゆめゆめ“走らされる”ものではない。何かの企画で参加していたというから、お気の毒だ。

 ランニング歴10数年になるが、ぼくの過去最長不倒距離はハーフ・マラソン止まりである。ハーフには3回出た。ベストは1時間55分くらいだから、このトシのホビーランナーとしても遅い。しかし、その程度のペースでも、ハーフを走り終えたあとの感想は、「フルは無理!」の一語に尽きる。だから、42.195キロを走りきれる人を、ぼくは心の底から尊敬する。

 それだけに、マラソンに対する考え方は厳しい。途中1回でも歩いてしまったら、「完走」と呼ぶな。それは「完走歩」である。完走と完走歩はぜんぜん違う。寄席の笑いと、笑いの効果音をつけてもらうレッド・カーペットのお笑いくらい違う。

「走る」というのは、両方の足が一瞬でも地面から離れている運動である。「歩く」に対しては「跳ぶ」といったほうが正しい。競歩の審判はそこのところを監視している。

 GPSの速度計を付けてやってみるとわかるが、人間はそんなに遅く走れない。どれほど歩幅を狭くしても、時速7〜8km以下になると上記の走りのカタチはとれなくなる。歩いてしまうのだ。ということは、フルマラソンを一度も歩かずに完走したとすると、5時間半以上はかからないはずである。「完走した」と胸を張れるのは、4時間台まででしょ、とぼくは考えている。

 タレントが初マラソンを6時間半で完走して「感動の涙」とか言っている。感動するのは自由だけど、その人がやったのはマラソンとは違うものだ。マラソンをナメるな、みくびるな。

 

下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
男性 / O型
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