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NAVI最終号が発売された。最後の特集はアイロニカルなタイトルの「自動車のこれから」。読み応えのある一冊である。
陣中見舞いに行ったときに撮った記念写真で、編集部員のメンバー紹介をしたい。全員ではないが、コアスタッフだ。コンサートのメンバー紹介にならって、敬称略。
前列中央に座っているのが、編集長の塩見智。ベストカー編集部から転職して、四捨五入すればもう10年だと思う。去年の秋に年明けからの新編集長を拝命し、やる気に燃えて、新連載のアポなどを精力的にこなしていた。しかし、それからふた月と経たずに、突然、休刊の決定が下る。編集長として仕事ができたのはたったの2冊だけという、我が国出版界においても前代未聞の処遇を受けた人間である。
後列右端のオレンジセーターは、中村昌弘。NAVIが大好きで、塩見智と相前後して、「XaCAR」編集部から転職。しかし、NAVIの水に馴染んだと思ったら、同じ会社の「CG」編集部へ異動。しかし、あっというまにCGにも馴染み、健筆をふるう。そして、昨年秋に塩見新体制のスタッフとしてNAVIに返り咲いた、と思いきや、この顛末である。
ひとり置いて、後列左から二人目、吉岡卓朗に至っては、もっと気の毒だ。NAVIに来て5年くらいだろうか。昨年の師走に結婚式を挙げ、公私ともどもがんばりますと、勇躍、モルジブへ新婚旅行へ出た。休刊決定はその真最中だった。WRCの出場経験もあるラリードライバーで、運転のうまさと速さは編集部ピカイチ。ぼくの担当編集者として、NAVI本誌だけでなく、単行本も手がけてくれた。どんなに忙しくてもパニくらないところは、さすがラリー仕込みと瞠目すべきものがあった。
ところで、なんでこう、あまりにも唐突に休刊が決まったかというと、要は会社の意志決定をする人間が昨年の秋に突然変わったのである。くわしくは書かないが、塩見新体制で続行するとしたのは、創業一族、休刊の断を下したのは、新しいトップ、ということなのである。しかも、両者は敵対関係にあるわけではない。二玄社のカルロス・ゴーンは、創業経営陣に請われてやってきた篤志家なのである。つまり、悪意はだれも持っていない。かつて10年半勤めた経験で言うと、それは昔から二玄社の社風みたいなものだった。
メンバー紹介に戻ろう。後列の黒セーターが青木禎之。アオダンの愛称で知られる最古参の名物編集記者である。二代目編集長としてNAVIを育て上げた鈴木正文さん(現・エンジン編集長)の信頼も厚かった。アイデアマンで、最近は自ら興したカメラのムック本「フォトNAVI」の制作に忙しかった。クルマに醒めたふうを装っているが、根っからのカーガイで、いまでもアルピーヌA110を大切にしている。
そして、後列左端、テニスのフェデラーに似ているのが、タッキーこと滝本智志。まだバイトの身だが、バイトでこんなに重要な仕事をやらされていた人も珍しい。言われたこと、頼まれたことを、確実にきちんとやってくれる。だから、編集部内でひっぱりだこだった。そういう人間に育ててくれたお父さんが、休刊騒動のさなか、50代の若さで急逝された。おそらく本人は人生最大の難局を経験したのではと想像する。負けるなタッキー!
編集部が消滅したからには、彼らもFor Saleである。ぼくは断言する。まだまだいい仕事しまっせえ。
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塩見さんがジョージレーゼンビ-に見えてきました…。いつか復刊してくれる事信じてます。皆様お疲れさまでした。
2010/3/1(月) 午前 10:53
昨日、NAVI買ってきました。面白かった。読みごたえありました。ナベゾ画伯が亡くなったのは寂しいことでしたが、陶山拓さんが亡くなられていとは知りませんでした。残念です。定期購読やめたあとも下野さんの記事と岡部いさくさんのコラムは立ち読みしてたんですが。
[ ryu ]
2010/3/3(水) 午前 10:44
NAVI最終刊、いつもなら普通に置いてある近所の書店を数軒ハシゴしてやっと見つけました。最後だから仕入れられてないのかと心配したら、二玄社のページでも「在庫切れ」。いらぬ心配だったようです。
最後に垣間見えた塩見さん体制のNAVI、がむしゃらに勢いがあって個人的に大好きです。皆さん「For Sale」とのことですが、そのまま突き進める新たな環境が見つかることを切に願います。
私自身、19年読み続け、来月以降どうしようかと思案中です。
でも大好きなカバタさんの記事は、もちろんおっかけさせていただきます!(36歳男)
[ プー太郎 ]
2010/3/11(木) 午後 6:19
感謝します(涙)。これからもよろしく。
[ 下野康史(かばた・やすし) ]
2010/3/11(木) 午後 9:45