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書庫チェロ好き達の宴

チェロ四重奏デビュー

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(磯野正明チェロ教室発表会、オオトリのお楽しみは磯野先生の模範演奏。今回は速弾き超絶技巧のポッパー作「ハンガリー狂詩曲」)


 先月、糸魚川にゴールして携帯を開けたら、チェロ友達からメールが入っていた。次の発表会でやる四重奏アンサンブルを昨年末から練習してきたところ、本番1カ月あまり前になって、ひとりが腹部大動脈瘤で入院してしまった。代役を引き受けてくれないかというのである。年に一度のイトイガワ、息も絶え絶えだったゴール直後にガーン!である。

 曲はゴルターマンの室内楽。ゆっくり“聴かせる”6分くらいの小品。パートは2番チェロ。最後みんなが下がってゆくなか、2チェロがハイCの高い音で終わる。そこだけは心配だったけど、なんとかなりそうだったので、混ぜてもらうことにした。チェロは4人くらいのアンサンブルがいちばんおもしろい。

 で、きのうはその本番だったのだが、前日夜の練習後半あたりから、すごく気分が悪くなってきた。ン、なんだこりゃ……熱ではないか。のど風邪をこじらせたらしい。
 熱を測ったって、いまさら代役の代役を頼むわけにはいかない。明日は這ってでも八王子カレッジタウンホールへ行かねば。アスピリンとビタミンCを飲み、汗を出すために、首にタオルを巻いた田吾作状態でウンウンうなりながら苦しい一夜を過ごす。

 午後になるとまた熱が出てきたが、頭がボーッとしているおかげで、本番でもそれほど緊張せずにすんだ。途中、2小節くらい迷子になったが、残りの人がちゃんと弾いていてくれれば、リスクはヘッジされる。素人アンサンブルの妙味だ。
 最後のハイCは過去最高の出来くらいにうまくいった。隣の弦につけたサインペンの目印も観客席からはけっして見えていないはずである。

 家に帰って初めて熱を測ったら、38.5℃あった。この熱でも人前でチェロ弾けるのだから、イトイガワのおかげでオレも体力ついたよなあとヨメさんに言ったら、イトイガワで体力落ちてるから、そんな熱が出るのよと口答えされた。                                                                                                                                                             
下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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