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書庫チェロ好き達の宴

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 梅雨入りした途端、長雨だ。
 自分が晴れ男ということもあり、外で仕事するときでも、外で遊ぶときでも、晴れることが多くて、日本は「基本ハレ」の国だなあと感じてきたから、今回は珍しい。
 中央線から見たら、多摩川も浅川もドウドウと濁流が流れていた。日野橋の下の多摩サイなんか浸水しているんだろうな。

 それで、日曜日は八王子フィルの「マーラー第5番」を聴きに行く。
 市民オケの“マラ5”。マーラーの交響曲の生演奏なんて、滅多なことでは聴けない。聴けるとすると、サントリーホールで有名指揮者と有名オケがやって何万円コース。それが八フィルのマーラーは自由席のみの1000円。会場は第一級のオリンパスホール。こんなありがたいチャンスはない。

 クラシックの演奏会というのは、昔の天才がつくった曲を聴かせて頂くのが最大の意義である。やるほうにしてみたら、その曲をまずは譜面どおりに演奏させて頂くのがありがたいことなのだ。
 本の「読み聞かせ」にしても、読む人のうまい下手はもちろんあるだろうが、いちばん大事なのはその本の内容そのものである。本が存在しなかったら、読み聞かせすることなんかできない。

 ロックやジャズをやると、「クラシック? なに楽譜どおりにやってるの!」と思うかもしれないし、ぼくも少しそう思っていた。でも、ちょっとやってみればわかるが、とても楽譜どおりになんか弾けないのだ。譜面どおりに弾くのはエベレストに登るみたいにむずかしい。だから、クラシックとして何百年も残るのだ。

 ステージに上がったチェリストに、こないだの「チェロ好き達の宴」で一緒だった人が何人もいた。練習のとき、隣で弾いていたあの人、ぜんぜん音が出ていなかったけど、そうか、この日のマーラーに集中していたのか、と納得する。

 横島勝人指揮の八フィルのマラ5。よかった。演奏終了後、拍手鳴りやまず。
 手弁当の市民オケでこんな大作の名シンフォニーをやるなんて、スゴイ。                                                                                                                        
下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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