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書庫チェロ好き達の宴

試乗のち試奏

 横浜で開かれた新型マツダ・ロードスター試乗会の帰り、みなとみらいの島村楽器でチェロを弾かせてもらう。前から気になっていたフェレンツ・ベラ・ヴァーチを展示しているという情報をホームページで見つけたからだ。

 ベラ・ヴァーチを知ったのは、7,8年前、銀座ヤマハでやっていた試奏会だ。珍しいハンガリー製の新作チェロで、赤っぽい塗りがきれいだった。定価75万円だから、ハンガリー製にしても一作入魂の作家モノではない。小さな工房である程度の数をつくっているらしい。

 弾いてびっくりした。そのころは今よりヘタッピだったが、A線(いちばん高い音の弦)がキンキンいわない。高いポジションでも、丸く甘い音がする。こんなチェロがあるのか!? とショックを受けた。

 その後、いろいろ経験してみると、A線がキンキンいわないチェロは、新作であれオールドであれ、3桁万円以上出さないと無理である。弦がいちばん振動しにくいA線の音色で、楽器の優劣が大きく決まる。だから、ベラ・ヴァーチはその後もずっと気になっていたのだ。

 島村楽器は、エレキギターも扱っている総合楽器店で、いちばん奥にピアノと弦楽器売り場がある。定期的にヨーロッパに買い付けに行っているらしく、チェロもピンからキリまでけっこう本数を揃えている。
 ベラ・ヴァーチがあった。茶色で60万円台なのはホームページでわかっていたのだが、間近で見ると、アンティークフィニッシュだった。新作なのに、最初からオールド楽器風エイジング塗装を施してある。

 でも、弾かせてもらう。感じのいい若い男性店員は店長で、ほかにも同クラスの楽器を試奏室に何本か持ってきてくれた。
 やっぱりベラ・ヴァーチはいい音がした。これは3グレードある内の中級モデルだという。値段のわりにいい、というか、いいわりに値段が安いのは、ハンガリー製弦楽器にイタリアやドイツのようなブランド力がないのと、労賃が低いせいだろう。ぼくはもともとマイナー指向だから、ハンガリーでもルーマニアでもチェコでもぜんぜんOKである。

 でも、アンティークフィニッシュはNGだ。パッと見、オールドに見せることを狙ってやるわけだが、それじゃあ使い込んでいくうちに木の質感が変化していく弦楽器の意味がない。体と接する部分は、最初から塗装が剥げているような塗りになっているのだが、何年か弾いて、本当に剥げてきたら、そこはどうなっちゃうのか。不条理ですらある。

 普通の塗りがないか調べてもらうと、現在のベラ・ヴァーチはアンティークフィニッシュしかやっていないとのことだった。


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 タダ弾きは申し訳ないので、店長お薦めの松ヤニを買って帰る。

  • ユニクロのGパンというか、ウェザリング仕上げ済みのSL模型というか、お気持ち察します。でも考えるに我々はあとせいぜい15年もすればヨイヨイになるわけで、新しいものを手に入れてそれをイイ感じになるまで使い込むことはもはや叶わない、、、という感慨に浸ってしまいました。かといってアンティークフィニッシュをよしとしないのはまったくそのとおりです。
    ところでチェロの音色は大好きですが、曲としてはバッハ無伴奏のほか、エルガー、ディーリアス、ヤナーチェクくらいしか知らないのです。お薦めのチェロの名曲があったら是非教えていただけないでしょうか。

    [ eas*_o*_th*_*isco*ery ]

    2015/3/18(水) 午前 0:39

  • 顔アイコン

    チェロの名曲としていちばん知られているのはサンサーンスの「白鳥」でしょう。ヨーヨーマが顔で弾いています。
    https://www.youtube.com/watch?v=zNbXuFBjncw

    フォーレの「夢のあとで」も美しいです。2コーラス目で1オクターブ上がって、チェロの音域の広さを見せつける曲です。そのため、むずかしいです。
    https://www.youtube.com/watch?v=fm9-TpHHQCY

    [ 下野康史(かばた・やすし) ]

    2015/3/18(水) 午後 1:03

下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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