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半世紀ぶりの八高線

 日曜日は、以前からの懸案だった東飯能(ひがしはんのう)へ行った。埼玉県飯能市にあるJR八高線と西武鉄道のターミナル駅。

 ファットバイクだと、いつもサイクリングロードから山に行ってしまうので、一般道を延々走るのは勝手が違う。ファットタイヤで国道16号とか、なんとかバイパスとかを走っていると、いかにも“おのぼりさん”って感じだ。


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 でも、ファットバイクなら道路の左端をストレスなく走れるので、意外や疲れない。
 舗装路といっても、路肩はオフロードですよ。ロードバイクだと戦慄の、こういう縦方向の段差もおかまいなしだ。乗り心地もいい。同じタイヤでもう5年以上乗っているが、まだパンク知らずである。


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 うちから30km。東飯能駅に着く。西武線だと、池袋まで1時間。大きな駅ビルが屹立していて、“駅舎”ってものがない駅である。


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 東飯能にやって来たのは、この写真を撮るためだった。八高線の下り電車。
 何系とかは知らない。べつに電車に興味があるわけじゃないのだが、撮影に来たのは、下の写真があったからなのだった。


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 昭和44年2月9日。中学3年のとき、同じ場所で撮った(国鉄!)八高線下り貨物列車。
昭和44年ということは、1969年。つまり50年前のちょうどいまごろですね。この日は今日よりもっと寒かったと記憶している。

 このモノクロ写真、逆光気味なので、撮った当時は大きく伸ばさなかったのだが、去年、フィルムスキャナーでデータ化して、パソコン画面で初めて大写しにした。以来、現場はいまどうなっているのかなあと思っていたのだ。

 桑畑には道路が出来て、住宅が建ち並んでいた。踏切は拡幅され、遮断機が付き、道路信号と連動していた。
 しかし、地形そのものは変わっていない。おかげで、場所は難なく見つけられた。
 50年前は、このあと、隣の高麗川まで線路伝いに歩きながら、SLを撮った。

 半世紀のときを隔てた定点シャッター。だから何だって話ですが、人生、是自己満足。

平成最後の花粉症

 きのうおとといから、花粉がキターッ!
 
 それはそうと、元号が変わるんですね。
 昭和から平成になったときは、いつ変わるかという話はタブーだった。
 覚えてますか。昭和天皇の容態がいよいよ悪くなったころ、日産が流していた新型セフィーロのコマーシャルが問題になったことを。井上陽水の「お元気ですか〜」篇。たしかお蔵入りになったんじゃないかと。

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 今回は生前退位なので、そういうことは起きない。各方面で使われた「平成最後の〜」という謳い文句だけで、そうとうな経済効果が発生したんじゃないだろうか。

 前回、新元号は、小渕首相(正しくは、当時、官房長官)が自ら筆で書いた「平成」の色紙を示してお披露目した。小渕さんの雰囲気もあってか、アットホームな演出でわるくないなあと思った。

 こんども同じやりかただろうか。安倍首相が見せる新元号やいかに。
 党の任期規約まで変えさせて長期政権についている人だけに、まさか「安倍」だったりして。あるいは、「改憲」かな。「親米」かも。有史以来初の三字元号で「再稼働」とか。

 いずれにしても、「平成」は31年でおしまい。
 さかのぼれば、昭和が64年、大正が15年、明治が45年。
 新元号になると、かつて昭和の人間が“明治のように古い”と思った昔が、こんどは昭和にとって代わるのかなあ、と思うと、感無量であります。

西伊豆の名峠

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 今月号は雪の心配のない伊豆半島へ。西伊豆の名峠、風早(かざはや)峠へ行った。
 名前のとおり、風は強いけど、ここは本当にビューティフォーな峠です。とくに、半島ど真ん中の湯ヶ島から狭い県道で上がってくると、達成感というか、開放感というか、アナザーワールドに出た感じがすばらしい。


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 風早峠から見下ろせる宇久須にゴールしてから、峠めし。
 観光バスが入るような海産物センターの食堂なんだけど、天日干しの自家製干物はさすがのお味。
 おいしい魚の干物を食べるたびに、干物ほどおいしい魚はないなあと思う。太陽、エライ!


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 金目鯛の目玉のまわりのトロッとしたところがまたウマイ。
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『日本車レビューする韓国人』というYouTube動画がおもしろい。Erin Kimという、清水和夫さんに似た日本語堪能な若い韓国人がやっているチャンネルだ。
 ふだんは韓国で日本車や韓国車の試乗リポートやっているのだが、日本に来てホンダN-VANに乗ったりもしている。自身、S660オーナーでもあるくらいだから、とくにホンダが好きなのかな。


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 N-VANの回は、起き抜けのベッドで「今日はホンダN-VANに乗りに、朝イチの飛行機で日本に行こうと思います」と始まる。
 日本の自動車メディアと同じように青山のホンダビルへ行き、地下の駐車場から広報車を借り出し、千葉県の富津岬で撮影をしている。富津岬もぼくらの業界御用達ロケ地だから、たぶん日本にサポーターがいるのだろう。


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 インプレッションも簡潔でおもしろいが、いちばん感心するのは動画全体のクォリティの高さだ。最後のクレジットを見ると、演出も撮影も編集も、すべて自分ひとりでやっている。なのに、というか、だから、なのか、とにかくセンスがいい。クリエイティブの世界でも、コリアンパワー、おそるべしだ。
 韓国からみた日産ゴーン騒動の3分レクチャーもおもしろかった。

 毎年、700万人を超える韓国人が日本に来る、ということは、赤ちゃんからお年寄りまで、全韓国民の7人にひとりが来日していることになるが、そんなはずはなく、要は1年に何度も来ているリピーターが多いのだろう。
 
 日本語がしゃべれるということもあるけれど、日本をとくに“外国”とも思っていないやにみえるErinの平熱な対日感もうらやましい。

アバンダンド・カー

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↑こういうクルマのことを、いつからか「草ヒロ」と呼ぶようになった。
 最初はなんのことかわからなかったが、「草むらのヒーロー」の略と知って、そういうことかと思った。草むらに放置され、自然に帰ろうとしている廃車のことである。
 なぜそれがヒーローかというと、言い出しっぺが旧車専門誌の『ノスタルジックヒーロー』だからだ。

 当然、ライバル誌の『オールドタイマー』だと「草ヒロ」は使わない。「廃車体」と呼んで、そういう連載ページもつくっている。


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 でも、「廃車体」って、身もフタもないなあ。「御遺体」みたいでもあるし。
 草ヒロもピンとこない。クルマに興味がない人だと、なんのことか、取りつく島もないだろう。棲息地が草むらとは限らないし。


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 じゃあ、こういうクルマ、英語ではなんというのだろう。
 そういえば「捨てる」という意味の“abandon”(アバンダン)という単語があったなあと思ってググったら、ピンポーン!
“abandoned car”でこの手のクルマの写真や記事がいっぱい出てきた。YouTubeにも多数ある。“abandoned car”を探し歩いているイギリス人のチャンネルも見つけた。
 
「赤尾の豆単」で受験勉強した世代なら、abandonを知っている人は多いはずだ。よし、豆単を全部覚えようと思って始めると、1ページ目の最初のほうに出てくるのがこの単語なのである。
 で、ほとんどの人は、アバンダンだけ覚えて、挫折する。

 若いときに覚えたから、いつまでたっても忘れないのだが、生の英会話のなかで、これまでabandonなんて言葉を聞いたことも口にしたこともない。
 どんだけ使わない単語なんだ。長年そう思っていたら、いまごろになって役に立った。赤尾の豆単、ありがとう。
下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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