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原発にこだわるワケ

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 今回の統一地方選でいちばん驚いたのは、神奈川県知事に初当選した黒岩祐治の第一声だった。「脱原発にシフトする。太陽光発電を推し進め、神奈川県からエネルギー革命を起こそう!」とブチ上げたのである。

 黒岩はフジテレビのキャスターだ。フジサンケイ・グループのジャーナリストがまさかこんな主張をするとは思わなかった。このマニフェストはいつから掲げていたのだろう。ぜひブレることなく実現してもらいたい。

 対照的だったのは、予想通りというか案の定というか、4選を果たした石原都知事の発言である。「みなさんね、冷静に考えないといけないですよ」と前置きして、原発を見直す動きにクギを刺したのだ。4月11日明け方のNHKテレビ開票速報で、スタジオのキャスターとやりとりしたなかでの発言だ。「化石燃料が枯渇しようというときに、これからのエネルギーをまかなうのはやはり原発しかない」と、かなり目の色を変えて、強い口調で言ったのである。

 このときだって、放射線を浴びながら現場で作業している人たちがいた。放射能禍で家に帰れないどころか、行方不明の肉親や知人の捜索にすら立ち入れない周辺住民もいる。彼らに比べたら、今のところ微々たるものであるにしても、東京都民だって、有形無形に原発事故の被害や影響を受けている。
 なのに、このタイミングで首長が言うか!? 原発擁護を。

 この想像を絶するズレはなんなのか。よりによってこの時期に、いったい何が、イシハラを、原発見直し牽制に走らせるのか。かくも強い彼の“信念”はなんなのか。と考えて、ハタと気づいた。そして、後頭部をブン殴られるようなショックを受けたのである。
 今から書くことは、ぼくの推測だ。けれども、そんなにハズれてはいないと思う。むしろ、今ごろ気づいたのかよとか、今さら言うなそんなこと、と思う人もいるかもしれない。

 核武装したいのではないか。原水爆を持ちたい。だから、合法的にプルトニウムが生成できる原発は、何があっても手放さない。石原都知事のようなタカ派の政治家にとって、原発というのはそういうものなのではないか。国策としてこれまで日本が原発推進政策をとってきた背景には、自民党タカ派のそうした思惑も大きかったのではないか。

 ここへきて日本の大手マスコミでも東電批判が行われるようになった。学者から政治家からジャーナリストから、しまいにはお笑い芸人まで集めて、東電を叩くバラエティみたいなテレビ番組もあった。

 でも、今回の事故の話題を大衆受けする東電叩きに落とし込むのは、原発推進コア層にとって、実はシメシメなことなのではないか。そりゃあ、東電は悪い、でも、原発に罪はないよと。
 考え過ぎだろうか。                                  

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下野康史(かばた・やすし)
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