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2011弦楽器フェア

 チェロ友達と「弦楽器フェア」に行ってきた。大手の楽器店や楽器商から、小さな製作工房までがブースを構える弦楽器のショーである。会場は日本武道館の隣にある科学技術館。

 入場料は1000円だが、その気になればすぐに元が取れる。出展される高価な楽器をけっこう自由に弾かせてもらえるからだ。
 楽器商がマンションの一室でやっている弦楽器店なんか、ふだん気軽に立ち寄って弾かせてもらう雰囲気など、ゼロである。来店前に電話でアポをとらなきゃいけないところもある。そんなところ、気の弱い人間が行ったら、ただじゃ帰れません。

 それが年に一度のこの催しでは大違いなのである。太っ腹なところだと、「ご自由にお弾きください」と貼り紙をしたブースに、楽器と弓が置いてある、なんてこともある。そのため、会場には買い気たっぷりの音大生ふうも目立つ。格違いにうまいプロらしき人は、弾き始めると人だかりができて、即席ミニコンサートみたいになっている。

 同じ科学技術館では毎年冬、ハンドメイドメイド自転車ショーが開かれる。小さなフレームビルダーが自信作を持ち寄るマイナーながら楽しい催しだが、さすがに試乗はできない。「エーッ、木製フレームなの!?」と、目で驚いたあと、北の丸公園のなかで乗れたりすると、サイクルモード並みの人気イベントになりそうだが、無理かな。


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「海峡を渡るバイオリン」の著書もある在日韓国人のカリスマ弦楽器作家、陳昌鉉さんがつくったチェロ。この人のバイオリンは世界的に有名だが、チェロもつくっているとは知らなかった。
 お聞きしたところ、大きいからタイヘンなので、やはり1年に1本くらいとのこと。ヴィオラもチェロも、構造的には“大きなバイオリン”に違いないのだが、チェロになると、バイオリンの3倍くらい木を使う。しかし、なかなかバイオリンの3倍の売値はつけられない。売れなかったら、場所もとる。需要(奏者人口)の問題はべつしても、チェロの出回る本数が少ないのはそうした理由も大きい。
 陳昌鉉チェロ、音もきれいだったが、見た目も美しい。年1本だと、完全な受注生産だろうな。


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 大手楽器商のブースで弾かせてもらった18世紀の英国製オールド。作者はジョン・ベッツ(1752〜1823)。日本だと江戸時代中期から後期の人ですね。
 濃いブラウンのせいもあって、年式よりもっと古びて見える。耐久消費財のゴミ捨て場にあっても、一顧だにされないんじゃないか。
 ところが、音を出したとたん、シビれた。今まで弾かせてもらったオールドで、あんまりピンときた楽器はないのだが、これは惚れました。
 弦に軽く弓を当てただけで「アッ」と声を漏らすくらい、いわゆる“発音”がいい。すぐに大きな音が出る。エンジンでいえば、スロットルレスポンスにすぐれるのが、いい弦楽器の一大特徴だ。音色もまったく雑味のない丸い音。具体的には、ぼくみたいな素人が弾いても、いちばん高いA線がビャービャー言わないのだ。「楽器より練習だ」とは思うけど、いい楽器は七難隠してくれるのも事実である。
「いかほど?」と、店の人に聞いたらファイルを調べながら「えーと、ですね。ジョン・ベッツは……イッセン……」。さよか。

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 会場の一角にひっそりと置かれていたストラディバリウスのチェロ。バイオリンより桁違いに現存台数は少ないはず。今までに生で聴いたチェリストのだれかはステージで使っていたかもしれないが、こんな間近で現物を見たのは初めて。修業中の陳昌鉉さんが楽屋で初めて本物のストラディバリウスを見たとき、どんなニスを使っているのかを知りたくて、持ち主の目を盗んで“舐めた”という話が前出の本に出てくる。
 さすがにこれは、弾くどころか、触ることさえ御法度。ケチ。値段はブガッティ・ヴェイロンくらいかな。
                                                                                                                                                                       

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