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 最後のプレゼンテーションと開催地決定の朗報を聞くためにIOC総会へ行っている日本の招致関係者が、メディアから汚染水問題を問い詰められて困っているらしい。
 
 汚染地下水がダダ漏れになっていることが明らかになってから、ヨーロッパではトップニュースの扱いだという。あたりまえだ。日本は放射能で海洋汚染をし続けているのだから。中国や韓国の原発で同じことが起きていたら、日本政府やマスコミはどれだけ大騒ぎするだろう。
 いま世界で日本ほど原発を動かしたり、ましてや外国に売ったりする資格のない国はないのである。
 日本には「恥の文化」があるとか、よく言うよ。この件に関しては、まさに“Shame on You!”だ。
 
 だから、日本の代表団に対して、世界のメディアがこの件についてツッコんでくるのは当然だ。一方、放射能汚染水問題をウチらにツッコまれても、という日本のオリンピック関係者の気持ちも少しはわかるけど、だからといって、「250km離れているから東京は安全」という答えはないだろう。

 まず、250kmというのが間違いだ。福島第一原発からは東京駅まで直線距離で225kmである。千葉県と接する東京の端っこまでなら210kmだ。微妙に誤魔化すんじゃない。
 そもそも、日本はヨーロッパから1万km離れているのだ。1万km先の心配をしている人に、250kmなんて誤差の範囲である。

「250km離れているから東京は安全」という、まるで原発事故は他人事みたいな言い訳を聞いて、うがった見方かもしれないが、距離の問題とは別に、東京は都会で、福島は田舎という意識がやっぱり日本人にはあるんじゃないだろうかと思った。その意識が、実際の距離以上に東京と福島を離れていると感じさせるんじゃないだろうか。

 ヨーロッパの国はもともと群雄割拠する都市国家の集まりだから、日本のような中央集権的な考え方はない。
 BMWのあるミュンヘンと、メルセデスとポルシェがあるシュトゥットガルトは230km離れている。仮にミュンヘンの原発で同じような汚染水流出があったとして、シュトゥットガルトの人が「離れているからこっちは安全」だと思うとはとても考えられないし、そんな発言をしたら、ミュンヘンで大変なシュトゥットガルト・バッシングが起きる。同国人がそういうことを言うのかと。

 福島の原発では、東京で使う電気をつくっていた。オリンピックに使うお金があるなら、放射能汚染水問題の解決に使うべきだと思う。                                                                                            

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下野康史(かばた・やすし)
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