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「ニコニコドライブ」の取材で初めて青梅鉄道公園へ行き、E10というSLに会った。 1948年に5台だけ生産され、現存するのはこの1台だけ。元SL小僧のくせに、恥ずかしながら今の今まで、こんなSLが存在したなんて知らなかった。 A.B.C.D.Eだから、動輪の数は5つ。まずそれが国鉄のSLとしては異例である。小さめの動輪をたくさん回して、グイグイ牽引する大型貨物用機関車だ。 しかし、大型SLなのに、炭水車(英語では“テンダー”=女房)を牽いていない。石炭と水を機関室の後ろに搭載する、いわゆる「タンク機」である。なんで? と思ったら、なんとバック運転用としてつくられたからだという。 たしかに、バックで走るなら、炭水車は視界の邪魔だ。と同時に、後ろ向きに走れば、乗務員がトンネル内で煙害に苦しめられることはない。つまり、山岳区間で使うことをメインに設計されている。 鉄道車両の車輪は、内側に脱線防止用のフランジが出ている。駅に入る前のきついカーブで、よく電車の床下から聴こえてくるキーキーいう金属音は、フランジがレールと擦れている音である。 E10の動輪の真ん中2本には、そのフランジがない。ツルツルの丸坊主タイヤみたいになっていて、ギョッとする。固定車軸が5本も連なり、クルマでいえばホイールベースが長い。きついカーブでスムースに曲がるためにフランジレスにしたらしい。 顔つきは美丈夫な大型旅客用のC62やC61にそっくり。でも、フロントに馬車馬の目隠しのようなデフレクター(除煙板)は立っていない。バック運転なら必要ないわけだ。 馬力を象徴するシリンダーは、見るからにデカイ。でも、後ろへ回れば、尻切れトンボのタンク機。青梅では小型タンク機のC11と縦一列に展示されていて、変わったプロポーションがいっそう際立つ。後ろ姿はまるでオムツをした大人みたいだ。
見れば見るほど興味深いSLである。
屋根付き展示ではないのに、見たところ保存状態はいい。左右10本の動輪を駆動するクランクがいったいどんな音を立てるのか。C53(日本唯一の3気筒)と並んで、復元してもらいたいSLナンバーワンである。 |
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2014年05月01日
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