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 新型BMW・M3(つまんねー)の原稿を14日昼に入れて、ささやかなお盆休みに入る。

 ささやかなお盆休みの、ささやかな目標は、ファットバイクで梅野木峠に登る! である。

 今まで、ロードレーサーで登ったことは何度もあるが、ファットバイクではない。重さ16kg。ほとんどロードレーサーの2倍ある重量級自転車で、あの激坂峠を制覇できるのか。

 今日も朝から暑い。だが、風があるのが救いだ。
 多摩サイを羽村堰の手前で降りて、武蔵五日市へ向かう都道を進む。

 平坦路の巡航は、意外やファットバイクの得意種目である。重いので、一旦スピードに乗ると、勢いで進む。
 だが、上りになると、途端にスピードが落ちる。それに抗おうとして“踏む”と、一気に疲れる。これで梅野木なんか登れるのか!?



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 でも、ヘトったおかげで、圏央道・日の出IC手前の公園にこんな吊り橋ふうの名所を見つける。いつもだと、このへんで寄り道するなんてありえないのだ。

 ウチから35km走って、いよいよ約3kmの峠道にさしかかる。
 とっくにインナーの最軽ギア。まずはつるつる温泉脇の“壁”を登る。
 ドカ座りのまま、坂に気づかれないようにそーっと脚を回す。超遅いが、超遅くてもフラつかないのがファティーのいいところだ。

 入口の壁をクリアすると、勾配はちょっとラクになる。
 たまにローディーが下りてくる。心なしかみんな憐れみの表情を浮かべながらあいさつをくれる。

 さすがお盆。何度か乗用車ともすれ違った。ホンダのミニバンだったか、落石の溜まった路肩ぎりぎりにクルマを止め、ずっと手前で待っていてくれる。ありがたや。最敬礼とスマイルと投げキッスでお礼する。「クルマ対自転車」なんて二項対立の先入観はいけませんね。

 尾根の向こう側に出る手前から、再び壁のような激坂。しかし、この暑さでも、耳から心臓が出かけることはなく、意外に“登れた”。
 ただ、最後の緩斜面800mがなぜかいつになくツライ。そのため、峠に着いたときは、しっかりイッパイイッパイだった。



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 梅野木峠から右へ下りてゆく未舗装の林道がある。出来たのはわりと最近だ。
 わざわざファットバイクで来たのは、実はあのダート路を下りてやろうと画策していたからなのだが、体力の残量と相談して、やめる。どこにも通じていなくて、引き返してくることを考えたら、お盆の惨事だ。



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 来るときに気づいたのだが、さかな園とつるつる温泉のあいだにオシャレな自転車店が出来ていた。

 帰りがけに寄る。「サイクルギャラリー RIN」という店。オーナーは地元の自転車好きで、名前のとおり、こだわりのクロモリロードレーサーなどが飾ってあり、販売もする。7月に出来たばかりなので、まだ品数は少ないが、タイヤやチューブや補給食なども置いてある。

 こんなところで商売になるんだろうかと思うけど、梅野木峠ではヒルクライム大会が定期的に開かれるようになり、週末はこの道も自転車通りがけっこう増えた。

 御主人に聞くと、峠から下りてゆくダートの林道は秋川街道に通じているという。少し涼しくなったら、また来よう。
 つるつる温泉入口の信号から9km先の梅野木峠まで、店一軒ない道に出来た地元通の自転車店。救われるサイクリストも少なくなさそうだ。

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下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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