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「ルボラン」誌(6/26発売)の取材で、新木場のSANOMAGICを訪ねる。5年ぶりの再訪。 佐野さんのつくるマホガニー製ロードバイクも、今やすっかり有名になった。現在は、造船からシフトして、すっかりこっちが本業になっていて、なんと、2020年までバックオーダーを抱えているそうだ。といっても、年産たった3台だが。 2007年につくり始めた当初は、「木で自転車がつくれるか!」、「木の自転車が走るもんか!」みたいなことを自転車関係者からさんざん言われたようで、実際、話していてもトゲトゲしていて、おっかなかった。失礼ながら、「佐野さん、まるくなったなあ」というのが今回の第一印象。 たしかにSANOMAGIC製自転車の欠点というか“罪なところ”は、あまりに美しいため、工芸品に見えちゃうことである。最初から、走るモノとして見てもらえない。 「濡れたら、どうすんだよ」みたいな、初歩的な誤解もある。 木場に9代続く船大工の家に生まれ、若いころから佐野さんが手がけてきたのは、高級なマホガニーのヨットである。船は濡れるのが仕事ですね。 自転車の場合、最大32層にも重ねるマホガニーの積層材は経年変化でも、けっして狂わないそうだ。 使う既製品はカンパニョーロの変速機とブレーキ、スポークとタイヤくらいで、金属部品もすべて自製するか、つくれないものは図面を起こして専門業者に依頼する。 取材中、こっちが気を使って「ここは企業秘密?」とクッションをきかせると、「いや、そんなこと、ないですよ」と言って、なんでも教えてくれて、最後は設計図まで持ってきて説明してくれる。 たとえばブレーキのキャリパーは、一見、木のフレームに直付けされているように見えるが、もちろんそんなはずはなく、削った部分に広い面積のマウント用金属プレートを入れ、それを木のフタで隠している。話を聞いていると、よくそんなメンドくさい、手の込んだことをやるなあ、という溜息の連続である。 これも、SANOMAGIC自転車の大切な“構成部品”の一部です。 価格は最初から変わらず、税別200万円。と聞くと、ぼくはどうしてもチェロ(弦楽器)と比較してしまう。世界で最も高級なクレモナ(イタリア)製の新作チェロもそのあたりがスタート価格で、人気作家のものはその何倍もする。 でも、チェロは音を出すだけだが、自転車は人を乗せて走るのだ。しかもロードバイクはときにクルマ以上のスピードで。 従業員はゼロ。職人ひとりがつきっきりで、1年に3台しかつくれなくて、そのうち利益は? と考えたら、高いなんてとても言えない。 オーナーからの要望がきっかけで、20インチの小径車もつくり始めた。70コマの巨大なフロントギアで、700Cに負けない高速性能を追求する。 最近のSANOMAGICはマホガニーのスピーカーづくりにも精を出している。 箱よりも、火星人みたいな台座の形状がスゴイ。低音を直接、床に伝えないためらしい。 http://sanomagic.world.coocan.jp/ |
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